『経済広報』(2014年12月号)掲載
企業・団体のCSR活動
竹中大工道具館
(公財)竹中大工道具館
昭和10年代の大工道具の標準編成179点。世界では多くても60点ほどで、日本では様々な道具で精緻な建物が造られていた証だ)
昭和10年代の大工道具の標準編成179点。世界では多くても60点ほどで、日本では様々な道具で精緻な建物が造られていた証だ

■お問い合わせ先
竹中大工道具館
TEL:078-242-0216

FAX:078-241-4713

■HP
http://www.dougukan.jp/

 「竹中大工道具館」は、竹中工務店が創立85周年を記念して1984年神戸市の元町に設立し、30周年を機に今年10月に新神戸駅前に移転した。
 60数年前から日本では電動工具が出回り始め、手道具を使う大工が少なくなってきた。大工の精神とその道具を民族遺産として残し、ものづくりの心を後世に伝えることを目的に、日本で唯一の大工道具の博物館を設立した。今日までに収集した資料は約3万500点。その中から約1000点を展示している。
 新館は、地上1階、地下2階建てで周辺の樹木の伐採も最低限にとどめ、自然と建物が調和したオアシスのような空間だ。
 館内は「歴史の旅へ」「道具と手仕事」「世界を巡る」「名工の輝き」「和の伝統美」「棟梁に学ぶ」「木を生かす」の7つのコーナーに分かれ、実物や復元資料、映像での解説や触れることができる道具、海外の道具の展示などを通して、多角的に理解を深められる。法隆寺に残る道具を復元した鑿(のみ)や槍鉋(やりがんな)、鎌倉時代に大陸から伝来し日本独自の仕様に発達した鋸(のこぎり)など、日本の歴史や風土と道具との関わりが興味深い。また、シンボルである高さ7メートル超の「唐招提寺金堂組物」の実物大の模型では、日本の堂宮大工が緻密な計算に基づく技で木を刻み、組んでいたことが実感できる。
 新たに設けられた木工室で、堂宮大工から道具の面白さを学べるのも同館の大きな特徴だ。鉋(かんな)削りの実演を見学したり実際に挑戦することで、大人から子どもまで大工道具の奥深さや面白さを体験できる。また、多目的ホールでは、日中韓の棟梁の技を紹介する企画展などを開催したり、各地の木工作家の椅子を展示するなど、広く開かれたギャラリーの役割を果たしている。
 同館は、日本の建築文化や日本人が昔から大事にしていたものづくりの心を受け継ぎ、未来に向けて新たなものづくりや手づくりの発信の場となることを目指している。日本が世界に誇る伝統と革新を繋ぐ役割が期待される。
数寄屋造りの茶室のスケルトン。日本独特の建築方法で、自然の丸太をそのまま組むという精緻な仕事が求められた
数寄屋造りの茶室のスケルトン。日本独特の建築方法で、自然の丸太をそのまま組むという精緻な仕事が求められた
大工道具が実際にどのように使われたかを分かりやすく立体的に展示
大工道具が実際にどのように使われたかを分かりやすく立体的に展示

(国内広報部主任研究員 杉山佳子)
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