経済広報

『経済広報』(2015年12月号)掲載

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広報と金融リテラシー

小倉 康介(おぐら こうすけ) (一社)全国銀行協会 広報室室長・金融リテラシー推進室室長

 全国銀行協会(全銀協)は、銀行を会員とする業界団体として、以前から「銀行の仕組みと役割」「銀行の業務」「銀行の使い方」など、「銀行」一般に関して幅広い広報活動を行ってきました。また、銀行が提供する商品・サービスについては、その使い方によっては「クレジットの使い過ぎ」「ローンの返済困難」など思わぬ困難を招きかねないことから、適切な利用についての啓発活動を行ってきました。さらに昨今では、「振り込め詐欺」などの金融犯罪が後を絶たず、金融犯罪防止啓発活動にも力を入れています。
 こうした広報活動・啓発活動は、銀行のお客さまである一般消費者を対象とするのはもちろんのこと、社会に出る前の学校段階も肝要であるとの考えから、中学や高校での授業の支援も行ってきたところです。
 一方で近時は、「お金」や「金融」に関する知識・判断力をしっかり持って生活する力、「金融リテラシー」の重要性が様々な方面において指摘されています。人が自立して生活するには、ライフステージの節目から日常生活での場面に至るまで、貯蓄と資産運用、ローンやクレジットの利用、保険加入など様々な金融商品を適切に利用することが求められ、その前提として日々の家計管理や将来を見通した生活設計を要します。このため、生活スキルとしての「金融リテラシー」を身に付けておく必要があり、変化が激しく多様化が進んだ現代にあっては、その必要性はますます高まっているといわれています。
 全銀協では、一般消費者や生徒・学生に「金融リテラシー」を身に付けていただくための活動を「金融経済教育活動」と位置づけ、従来の広報的な側面にとどまらず、銀行業界として重要なCSR(企業の社会的責任)活動であると認識し、近時その取り組みをいっそう強化しています。2013年度には、金融経済教育活動推進に関する組織決定をプレスリリースし、学校での出前授業の模様をテレビや新聞のニュースで取り上げてもらいました。また、2014年度には、「金融リテラシー推進室」という専門部署を立ち上げました。
 以下に同室の活動の一部を紹介します。
(1)講師派遣
 「どこでも出張講座」と題して、学校授業や地域のセミナーなどに無料で講師を派遣しています。学校教員向けには、金融経済教育の授業実践に関するセミナーを各地で実施しています。
(2)教材
 中学・高校・社会人などの対象ごとに様々な教材を制作し、学校、消費生活センター、高齢者団体などに無料で配布しています。学校用には、アクティブラーニングの要素も取り入れ、授業で活用しやすいよう工夫しています。
(3)金融経済教育研究指定校制度
 各地の教育委員会と連携し、研究指定校で教材の提供やその活用方法の助言、講師派遣、銀行見学などを多岐に組み合わせた教育カリキュラムを支援しています。


 全銀協のウェブサイトでは、上記活動の詳細を紹介し、講師派遣や教材の申し込みを受け付けています。また、一般消費者向けに「教えて!くらしと銀行」というページを設け、金融リテラシー向上に資する記事をそろえています。機会がありましたらぜひのぞいてみてください。

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