経済広報

『経済広報』(2016年6月号)掲載

ANGLE

もっと知ってほしい「かがく」のチカラ

鎌田裕司

 

鎌田 裕司(かまた ひろし) (一社)日本化学工業協会 広報部長

 日本化学工業協会は、「化学産業の発展を図り、それを通じて国民生活の向上や持続可能な社会の実現に寄与する」ことを目的として活動しております。現在の会員数は、179社、78団体(2016年4月1日現在)で、化学企業はもちろん、化学製品を製造、販売されている商社、電子機器メーカーなど幅広い企業・団体で構成されています。
 当協会の活動として、まず最優先に取り組んでいるのが、「化学業界の安全の強化」です。化学業界では、ここ数年大規模な事故が発生したことを受け、各企業の保安・安全力の向上を図るべく、当該事故の原因と対策、重点チェック項目をまとめた冊子およびDVDや、企業の改善事例をまとめた冊子などの教育ツールを積極的に提供しています。また、現場人材の育成にも力を入れており、会員企業の保安責任者向けの講座を開講するだけでなく、千葉県や岡山県といった化学工場集積地で行われている現場の人材育成に対し、講師の派遣や後援などを行っています。
 次に、「化学品の適切な管理」についても、力を入れて取り組んでいます。2002年に開かれた持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)において、「2020年までに化学物質の人の健康や環境への悪影響を最小化する」という国際目標が採択されています。当協会では、化学業界だけでなく、他業界における化学品管理にも有用な、化学物質のリスク評価支援ツール「BIGDr(ビッグドクター)」を一部一般公開し、サプライチェーン全体での化学品管理の強化に努めています。また、化学品管理の初級講座である「ケミカルリスクフォーラム 導入編」を、本年度から東京、大阪に加え、地方都市でも開催予定にしています。
 化学工業は、私たちの暮らしを豊かで快適にする製品や、その素材を提供して生活の質の向上に資するだけでなく、ものづくりを基調とするわが国の製造業を支え、また、地球温暖化やエネルギー・資源、水・食糧など地球規模の様々な問題の解決にも力を発揮しています。しかしながら、「化学」というと、「難しい」「危ない」などのイメージを持たれがちであるため、もっと「化学」を知っていただき、「化学」を好きになってもらうべく、「社会とのコミュニケーション」にも力を入れています。「化学」が日常のどこに使われ、どのような効果をもたらしているかを、ホームページ上でイラストなどを交じえ、分かりやすく説明しています。また、「化学」のファンづくりとして、「子ども化学実験ショー」を夏には東京で、秋には大阪で実施するとともに、小規模な「子ども実験教室」を東京で隔月、地方都市で年に2~3回程度開催し、多くの子どもたちに実際に化学実験を体験してもらっています。3年前には、物質を構成する原子の数、6.02×1023(アボガドロ定数といいます)にちなんで、10月23日を「化学の日」と定め、「化学」に関連する産学の組織と共同で化学実験ショーや、ノーベル賞受賞者や企業の役員などによる出前授業といった様々なイベントを行い、普及を図っています。本年度も「化学」をもっと好きになってもらえるようなイベントを企画中ですので、ご期待ください。
URL:http://www.nikkakyo.org/
http://www.kagaku21.net/

pagetop