企業広報賞

第15回(1999年度)

1.企業広報賞受賞理由

*敬称略、受賞者名五十音順

最優秀賞

トヨタ自動車株式会社
調和ある成長を目指す2005年ビジョンを基盤に据え、多角化、グローバル化、企業価値創造経営、環境問題という具体的な経営課題を掲げ、これらの軸に沿った広報活動を展開している。その中でも特に環境問題について、いち早くハイブリッドカー「プリウス」を発売し、消費者の評価を得るとともに、環境憲章、環境会計、環境フォーラム、環境報告書と多面的に活動を展開している。 広報活動においては、積極的でオープンな広報対応を実施し、国際社会から信頼される企業市民像を確立することを目指している。そのなかでも、トヨタの理念、経営戦略、行動の一貫性を浸透させ、環境対応企業というイメージに大きく転換した点を評価した。従来、アディショナルコストとして認識していた環境対応も、考え方次第で付加価値になりうるという発想に先鞭をつけた意義は大きい。環境についての強いメッセージは競争相手をも動かし、環境という観点をグローバル市場での競争力にまで高めている。

優秀賞

マツダ株式会社
厳しい経営環境のもと、フォードと提携する道を選んだマツダは米国型のマネジメントと日本的モノづくりの融合と調和という国際企業の新しい経営スタイルに挑戦する姿を打ち出している。 広報は「変革」をキーワードに変わろうとする取り組みや成果を中心にメッセージを継続的に発信し、オープンに自らの思いを語るミラー社長を前面に押し出し、継続的に社員をはじめメディアやアナリストとコミュニケーションを図っている。フォードとの関係強化による軋轢を感じさせることなく、マツダが本来持っている力が徐々に引き出されているという良い印象を植え付けている。その結果、デミオやプレマシーなど個性的な新商品の開発ともあいまって営業・販売活動にもつながり、マツダのブランドイメージ再構築の基盤となっている。
ソニー株式会社
デジタル化、ネットワーク時代、グローバル市場を念頭に、執行役員制や社内カンパニー制などいち早く取り入れ、時代を先取りした動きは他企業にもインパクトを与えており、日本企業の経営改革のモデルにもなっている。また、上場子会社の100%子会社化によって、ソニーグループ全体を統括し、資源の選択と集中を図るという経営姿勢を明確に打ち出している。 広報においては、時代の要請を的確につかみ、本質的な問題提起や意思表明をすばやく行っている点を評価した。また、インターネットを最大限活用する新しい広報スタイルを積極的に模索している。さらに、従業員へのメッセージも非常に大切にしており、モノづくりの下支えとなる思想が共有され、最終的に商品ブランドの価値を高めている。

優秀経営者賞

佐藤 安弘氏(キリンビール株式会社 取締役社長)
何としてもこの会社を変えるんだ、という強い意識が行動や発言の端々に感じられる。改革への意気込みを社内外に示すことで、着実に伝統的企業風土を変え、社外からの見方を変えさせてきた。逆風の中でも決して逃げることなく、お客さまが本当に求めているものは何か-お客さま満足というスタンスを常に鮮明に打ち出し、トップが率先して「キリンの考え」を語り続けている。
松井 道夫氏(松井証券株式会社 代表取締役社長)
メッセージが非常に明確で分かり易く、時代への先見性にも富んでいる。バブル以前から個人の投資家をターゲットにするマーケティングをいち早く推進し、インターネットによる取引システムもスタートさせ、金融ビッグバンにいち早く対応している姿を印象づけている。顧客に向けた自社情報の発信を経営戦略の中に位置づけ、さまざまなメディアを活用した広報宣伝活動に注力しており、いずれもトップの理念なり考え方がストレートに伝わってくるものとなっている。

功労・奨励賞

渋谷 高允氏(東レ株式会社 常務取締役)
歴代トップの信頼も厚く、長年にわたって経営機能の一部としての広報活動を統括してきた。また、早くから東南アジア諸国に現地法人を持つ企業として、国内広報と海外広報、広聴活動、社会文化活動など企業広報を体系的に構築してきた。計画広報という概念を全社的に浸透させ、着実にやるべきことをやるという姿勢を貫き、非常に安定感のある企業像を作り上げている。
山下 健氏(大成建設株式会社 広報部長)
地道ではあるが前向きな広報活動を続け、ゼネコンに付されたマイナスイメージを払拭しようとする努力を評価した。インフラ整備が基本的に立ち遅れている日本で、これまで見えにくいと言われてきた土木建設業の意義、自社の果たしている社会的役割を、根気よくかつ興味深くPRしている。業界全体が抱える問題や課題についての正確な情報を把握しながら、多彩なパブリシティー活動を展開するほか、幅広い人脈をとおして業界への理解を積極的に訴えている。
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