広報活動の効果測定

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1.広報部門の最大の悩みは効果測定

 広報の効果測定は、永遠のテーマとすら言われている。企業の広報活動が、従来のマスコミ対応や社内広報だけでなく、投資家向け広報(IR)、CSR活動や環境への取り組みなど広範にわたるようになり、広報の効果測定はさらに複雑かつ困難になっている。『第12回企業の広報活動に関する意識実態調査』をみても、広報部門が日頃抱えている悩みとして、全体の7割の企業が「広報活動の効果測定が難しいこと」を挙げている。【図表 1】
【図表 1】広報部門としての日頃の悩み(複数回答)
広報部門としての日ごろの悩み(複数回答)
出典:経済広報センター『第12回企業の広報活動に関する意識実態調査報告書』2015年
 では、各社は実際にどのような効果測定を行っているか。同調査によると、効果測定を「新聞などに報道された文字数・行数・頻度」で行っていると回答している企業が50.2%、次いで、「記事を「プラス」「マイナス」「中立」などに分類し測定」が26.4%と続き、報道分析による効果測定が主流となっている。また、「マスコミ各社が行う企業ランキング調査の結果」(23.8%)や、「自社で定期的に行っている企業イメージ調査の結果」(21.6%)など、日頃の広報活動から総合的に醸成される、企業に対する世の中のイメージを指標とする企業もある。その一方で、「特に指標がない」との回答が約4分の1に達している。【図表 2】
【図表 2】広報活動の成果を測定する指標(複数回答)
広報活動の成果を測定する指標(複数回答)
出典:経済広報センター『第12回企業の広報活動に関する意識実態調査報告書』2015年
 効果測定の難しさを受け、広報活動における目標の設定状況に変化が出ている。同調査で広報活動の目標設定状況を聞いたところ、「アウトプット目標」(例:メディアへの掲載数)を設定している企業が48.9%、「プロセス目標」(例:月10件記者発表する)を設定している企業が30.7%となっている。【図表 3】
 メディア掲載数などの「アウトプット目標」は、発表当日の他のニュースで掲載ボリュームが左右されるなど、外部要因の影響を受けるため、絶対評価が難しい。そのため、広報活動の目標として扱いにくいことがうかがえる。また、より客観的に評価できる「プロセス目標」が選択される背景には、広報部員の業務評価も絡んでいると考えられる。
【図表 3】広報活動の目標設定(複数回答)
広報活動の目標設定(複数回答)
出典:経済広報センター『第12回企業の広報活動に関する意識実態調査報告書』2015年
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2.広がる広報活動と効果測定

 次に、マスコミ報道の効果測定以外の測定方法について説明したい。
 社内広報の効果測定に関しては、イントラネットはアクセス数など、社内報については社内報にアンケート調査用紙をはさみ、記事ごとの評価を調べているケースが多いようだ。
 社会貢献活動や施設見学会などイベントの効果測定は、実施件数や参加人数、参加者へのアンケート調査、さらには理解度、企業イメージの変化などを調査している企業もある。
 また、近年利用が急速に拡大しているソーシャルメディアについては、現状では、ファン数やフォロワー数(『フェイスブック』の「いいね!」数や『ツイッター』のリツイート数など)を目安にする企業が多い。しかし、単にフォロワー数だけでは企業に対するエンゲージメントの程度を判断することは難しいという指摘もあり、今後はより多面的な効果測定が必要になると考えられる。
 なお、危機管理に関しては、表面に出ない広報活動も多いため、「広報担当役員や広報責任者が取締役会などできちんと社内に説明し、社内、特にトップに広報活動の成果を理解してもらうことしかない」ようだ。
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3.広報活動の定期的な振り返りを

 広報部門は日々の対応に追われ、その活動の評価が疎かになりがちである。しかし、広報活動を行う上では、まず目標を設定し、その目標達成のための計画を実行する一方で、年に2回程度、定期的に広報活動を振り返り、改善していくことが重要である。効果測定は、このPDCAサイクルを回し、より効果的・効率的な広報活動を展開するための手法のひとつといえる。効果測定に数値目標を用いるか否か、どのように効果を測定するのかは企業によってアプローチが異なるが、社内外における広報活動の効果を総合的に評価することで、より良い広報活動につなげていくことが大切である。
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