IRと広報

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1.IRの目的

 IR(インベスターリレーションズ)とは、株主・投資家に対し投資判断に必要な企業情報などを適時、公平に継続して提供する活動であり、株主・投資家(インベスター)との間に良好な関係(リレーションズ)を築くことで、有利な資金調達が可能になるなどのメリットがある。
  最近では、日本企業の海外での資金調達が進み、情報開示、IRに関する意識が高まったことや、外国人投資家が増大するなどによりIRが重要視されるようになってきている。
  IRと広報の違いは、広報は社会一般に対して企業の商品や活動などを広く知らせイメージアップを目的とするのに対し、IRは株主・投資家などに投資判断に関係する企業情報を、良し悪しに関わらず継続して発信するものである。IRを行う上で重要なのは「公正さ」と「説明責任」の意識である。
  従来は、IRの対象は機関投資家が多く情報も一般の人に難しい財務内容などであったが、今日は個人投資家の増大により内容も一般的なものが多くなり、広報と内容が近くなってきている面もある。
  IRの目的は、一言でいえば企業が経営していくための体力(エネルギー)がどれだけあるのかを報せることである。

2.IRの具体的活動

 IR活動の方法には大きく2通りある。1つは対面で話をする方法で、

(1)経営方針や企業理念を紹介する企業説明会 (2)質疑応答により進められるスモールグループ・ミーティング (3)決算説明会 などがあり、密度の濃いやり取りをすることが出来る。
 もう1つは、出版物として(1)アニュアルレポート (2)アニュアルレポートを補完するためのデータをまとめたファクトブック (3)事業報告書 などがある。これは、特定の対象に対し、確実に情報を送り届けることが出来る。これ以外にも、ニュースリリースやIR広告などがあり、不特定多数を相手にする時に有効な方法である。IRのポイントは、自発的に継続的な情報開示を行うことである。また、公平かつオープンな情報開示が必要である。いずれにしても、IR活動を行うには、ターゲットに適した方法で、伝えるべきメッセージを何事もベクトルをひとつにして実施することが重要である。
 最近では、インターネットを活用したIR活動を展開する企業も増えはじめ、自社のホームページでリアルタイムに公開し、情報開示の透明性を高めている。
 インターネットのメリットは、速報性と双方向性である。最新情報をタイムリーに提供できるほか、時間がかからずに更新することもできる。他にも、日本だけでなく世界各国に配信ができるなどのグローバル性や、静止画だけでなく動画で決算説明会の様子を配信できることも大きなメリットである。

3.IRを広報部門が担当するメリット、デメリット

 最近は株主・投資家対応の重要度がますます高まる中で、独立組織を設置する企業も増えてきている。当センターが実施した『第12回企業の広報活動に関する意識実態調査』によると、広報を担当する組織として「広報IR部(室)」を設置する企業は13.0%にとどまっている。【図表 1 参照】
【図表 1】本社機能で広報を担当する組織(231社)

本社機能で広報を担当する組織
出典:経済広報センター『第12回企業の広報活動に関する意識実態調査報告書』2015年
 広報がIRを兼ねた場合、マスコミに発信する情報と、投資家やアナリストに発信する情報を一元化することで統一できるといったメリットがある。その反面、デメリットとしては、広報とIRが持つそれぞれの役割を正しく理解した上で、内容や相手に合わせて開示方法やタイミング、情報量などを判断していかなければならず、時には混乱を招く可能性がある。同じ情報であっても、広報には広報の、IRにはIRのアプローチが必要である。ターゲットそれぞれの特徴を理解した上で、その特徴を上手く活用し、より確実かつ効果的に情報を届けなければならない。
 IR担当者に必要なこととして、(1)コミュニケーションスキルを身につける (2)プレゼンテーション能力を持つ (3)国際的な感覚・語学力を身に付ける、といった技術・能力に加え (4)財務、会計、法律の専門知識を持つ (5)社内情報の収集力などがあげられる。
 広報担当者は、コミュニケーションのノウハウを持っているが、財務や会計などの専門知識は相対的に弱い。一方、財務担当者であれば会計情報には強い反面、コミュニケーションに慣れていない。このような状況からも、IR活動を実施する上では、各部門の連携が不可欠である。
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