メディアとは

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1.メディアの特徴・種類

メディアの特徴

 コミュニケーションのための「メディア(media)」にはさまざまな形態があるが、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの「マスメディア(mass media)」により不特定多数の人々に対して大量の情報が伝達されることを「マス・コミュニケーション(mass communication)」と呼ぶ。また、「マス・コミュニケーション」は、「マスメディア」そのものをさすこともある。
 「マスメディア」の役割は多岐にわたるが、第一に「報道」がある。我々は「マスメディア」を通じ、リアルタイムに、政治、経済、社会の動きを知るのである。第二に「言論・啓発」だ。解説や論説などを通じ、社会の公器として読者や視聴者を啓発し、世論を正しく導く使命がある。第三に「広告宣伝」。「マスメディア」は、企業や団体などの広告やCMの収入で成り立っている。第四に「生活・娯楽情報」の機能だ。生活向上や健康に関する情報、スポーツ・イベント、芸能など娯楽や趣味に関する情報など、多様化、分散化した個人の嗜好に合わせた広範な提供を行っている。いずれにせよ、「マスメディア」は多くの人々に大量の情報を一度に伝える機能を持つため、高い公共性が要求される。特に「言論・啓蒙」機能により、世論を操作したり、偏った報道を行うことは、絶対に避けなければならない。
 一方、1990年代後半から普及したインターネットも同じくメディアであるが、その登場により、双方向かつリアルタイムの情報交流が可能となり、企業はメディアを介さず、様々なステークホルダーとの情報交換が可能となった。また、近年ではソーシャルメディアの普及により、一般の人たちが、ブログやツイッターで情報を容易に発信することが可能となり、“インフルエンサー”と呼ばれる影響力の大きなブロガーなどが出現している。ソーシャルメディアの普及については『インターネット広報』の項で詳しく述べたい。

メディアの種類

 新聞・雑誌・テレビ・ラジオは、四大マスメディアといわれている。
 新聞は全国紙、ブロック紙、県紙、業界紙(専門紙・誌)などがある。「読売」「朝日」「毎日」「日経」「産経」は、通常全国紙と呼ばれている。朝刊販売部数は順に、930万部、710万部、330万部、280万部、160万部(日本ABC協会 2014年7月~12月平均値)であるが、新聞販売部数は減少傾向にある。「中日」「東京」「北海道」「西日本」などのブロック紙は、一つの都道府県を中心に周辺地域をカバーしている。さらに地元の詳細な記事を載せる県紙はおよそ80紙。これら地方紙は、地域ネタを優先して掲載し、全国紙との差別化を図っている。また地方紙の多くが、紙面に載せきれない地域の生活情報などを盛り込んだフリーペーパーを発行し、新聞配達時に折込で配布している。様々なニュースを取り扱うこれらの新聞に対し、業界ごとにその専門分野を記事にしているのが業界紙・誌である。各新聞の特色や読者層を考え、それに合わせて対応したい。

 新聞社や放送局にニュースを配信するのが通信社である。日本には、共同通信社と時事通信社があり、全国規模の取材体制をとっている。特に地方紙の全国ニュースや海外ニュースは、通信社からの配信によるものが多い。通信社は、単にニュース記事を提供するだけでなく、一面トップ候補記事を示したり、企画記事なども提供してくれる。海外の通信社には、AP(Associated Press アメリカ)やロイター通信(イギリス)、AFP通信(Agent France Pressフランス)、新華社(中国)などがある。また、全国紙でも自社の記者でカバーできない部分は、通信社の配信を活用しているところもある。
 新聞が速報性を主体とするなら、時間をかけ、掘り下げて分析し、じっくり読ませるのが雑誌といえよう。代表的な経済誌の2014年7月~12月の発行部数(日本ABC協会)は、『日経ビジネス』(週刊)19万8000部、『プレジデント』(隔週)17万6000部、『週刊ダイヤモンド』8万7000部、『週刊東洋経済』6万3000部となっているが、減少傾向にある。
 テレビは、速報性や同時性、視覚性、娯楽性などが特性としてあげられる。最近は、パソコンや携帯端末でも映像を見ることが出来、差別化を迫られるところだ。
 ラジオは、他の3媒体に比べると利用度は非常に低いが、何かしながら聴取することができたり、携帯も可能なので、一定の需要は続いている。番組のパーソナリティーとの親近感がわきやすいのも特徴の一つである。
 インターネットの普及により、一般のニュースや企業情報など様々な情報をネットから入手する人が増加していることから新聞・雑誌の購読者が減少しつつあるのに加え、長引く不況の影響で広告費も減少しており、主要マスメディアは厳しい状況に立たされている。従来の取り組みだけでは危機感を感じたマスメディアは、積極的にネットとの融合を進めている。この動きについては『インターネット広報』で詳しく述べたい。

記者クラブ

 記者クラブは、元々、情報公開に消極的な公的機関に対し、取材・報道のため、マスメディアが立ち上げた自主的組織である。公的機関に対する監視や、国民の知る権利を守る目的を持っていた。現在は、官公庁をはじめ、経団連や東証ほか民間機関にも記者クラブが置かれている。加盟しているのは、新聞社、通信社、放送局で、雑誌は未加入。加入報道各社にとっては、取材の最前の場となっている。民間企業関連の記者クラブで代表的なものは、「経済団体記者会」(財界)「重工業研究会」(鉄鋼・化学)「貿易記者会」(商社・流通)「兜倶楽部」(証券)「金融記者クラブ」(銀行・保険)「ときわクラブ」(運輸)などである。海外メディア向け発信の場としては「日本外国特派員協会(FCCJ)」や「フォーリン・プレスセンター(FPCJ)」がある。

メディアの組織

 企業ごとに組織や記者の数は異なるが、ここでは新聞とテレビの一般的な組織を紹介したい。
 企業の広報部と直接関係してくるのが、新聞の紙面作りを担当している編集局だ。新聞社の編集局は、記事と写真を提供する出稿部門があり、経済部、社会部、政治部、外信部、科学部、生活家庭部、運動部、地方部など取材先毎に分かれている。このほか、写真部や見出しやレイアウトを考える整理部、文字などをチェックする校閲部がある。
 編集局以外には、広告局、イベント・文化事業局、営業局、販売局などがある。最近はウェブへの展開やクロスメディアも視野に入れ、デジタル局やクロスメディア局といった部署に力を入れている新聞社もある。
 テレビは、様々な番組を放映しているが、企業の広報部門と主に関係するのが報道番組を統括する報道局である。その中には、新聞社と同じように社会部、経済部、政治部、外信部などがある。このほか、情報系番組を提供する制作局があるが、こうした番組でも企業ニュース、商品情報を取り上げている。
 自社の記事を効果的にタイミングよく掲載してもらいたいと思うのが広報担当者だ。そこで、まず、記事やニュースがどのような工程で作られるか知ることが必要である。
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2.記事・ニュース作成のプロセス

新聞

 朝刊・夕刊の原稿の流れと記者の一日の活動を図表【図表 1】にまとめた。図表からも分かるとおり、朝刊も夕刊も、1時30分が一つの区切りとなっている。新聞には早版、遅版があり、通常、夕刊は早版が2版から始まり遅版が3~4版、朝刊は早版が11版から始まり遅版が12~14版で、遅い版になるほど締め切りが遅く、最新のニュースが盛り込まれる。各版の締め切り時間は、夕刊がおよそ10時、12時、13時、朝刊が、22時、24時、25時、25時30分頃となっている。
 記者の原稿を書く時間を考慮すると、翌日の朝刊に掲載してもらいたければ、記者会見は前日夕方まで、資料(リリース)配布は、前日15時頃までが望ましい。夕刊は、午前11時頃がタイムリミットである。
【図表 1】
新聞制作の流れと、経済部記者の1日

雑誌

 雑誌制作のおおよその流れについては、週刊誌【図表 2】、月刊誌【図表 3】をそれぞれ参照してほしい。雑誌には新聞のような速報性はないが、深く掘り下げた内容が多い。読者の手元に置かれる期間も長いため、じっくり読んでもらえる。新聞記事にならなくても雑誌で取り上げてくれることもあるので、出版社の記者とも信頼関係を構築することは重要だ。
【図表 2】
週刊誌 編集の流れ
【図表 3】
月刊誌 編集の流れ

テレビ

 テレビは一瞬で多くの人の目に入ると同時に、映像や音からも内容を理解し易い。放映時間が短くても視聴者へのインパクトは強い。
 テレビ番組の放映までの流れは、(1)テレビ局のスタッフ、あるいは外部の制作会社が番組のテーマに相応しい材料を収集。(2)そのネタを企画会議に提案し、取り上げるかどうか決定。(3)決定した内容の取材。(4)取材した映像を中心に、音響やCG、テロップなども加えて編集。放送作家が台本を用意。(5)番組スタッフ、司会など含めた出演者などで最終確認。(6)放映となる。
 企業広報的には、じっくり時間をかけて取材してもらうものと、リリース発表した案件を直ぐに放映してもらうものと二つある。リリース発表を放映してもらうためのタイミングは、昼のニュースは遅くても11時までに、夕方のニュースは16時までに発表を終えたい。テレビ局用のリリースは、映像も用意しておくと取り上げてもらいやすい。
 また、緊急会見は遅くとも2時間前までには放送局への連絡をしないと、カメラなどの手配が間に合わなくなる可能性がある。テレビは常に時間と映像が勝負であることを覚えておきたい。
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