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インターネット・SNS広報

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1.進むソーシャルメディアの普及

縮まる企業と生活者の距離感

 企業は、インターネットの普及により、メディアを介さず、様々なステークホルダーに情報発信することが可能となった。また、一方通行の発信だけでなく、ステークホルダーからの質問や意見などを直接受け、それを公開する双方向コミュニケーションへと変化した。2000年初め頃からCGM(Consumer Generated Media/消費者が生成するメディア)が広まり、企業はマスメディアだけでなく、一般生活者との直接コミュニケーションを重要と考えるようになった。近年ではソーシャルメディアの普及が後押しとなり、企業としてソーシャルメディアのアカウントを取得するなど、企業と生活者の距離が近くなっている。
 ソーシャルメディアの発展により、一般の人たちが、情報を発信するメディアと化している。かつては、影響力の大きな有識者のことを、オピニオンリーダーといっていたが、ネット社会では、影響力の大きなブロガーなどを、“インフルエンサー”と呼ぶ。広報(パブリック・リレーション)には、メディア・リレーション、インベスター・リレーション、エンプロイー・リレーションなどがあるが、これにブロガー(インフルエンサー)・リレーションが新たに加わったという指摘もある。
 また、ブログやツイッターで情報発信する人たちは増えている。
 当センターの『インターネット利用に関する意識・実態調査報告書』(2012年、インターネット利用者を対象)によると、個人的なインターネットの利用で、ソーシャルメディアを使って「情報を発信している」との回答は23%だった。そのうち3割は毎日何らかの情報発信を行っている。
 代表的なCGMには、個人ブログ(日記形式のウェブページ。アメーバブログなど)、掲示板(ネット上で特定のテーマについて意見交換を行う場。2ちゃんねるなど)、SNS(Social Networking Service/会員制のコミュニティサイト。フェイスブック、ツイッター、ミクシィなど)などがある。これらは、専用のソフトウェアを使ってパソコンや携帯電話から簡単にウェブサイトや自分のページを立ち上げることができる。個人ブログは物事に対しての感想や意見、主張を自由に発信することができ、インフルエンサーが数多く誕生した。また、日記代わりに活用したり、趣味の話題や好きな写真をアップできるなど、用途は多岐にわたっている。掲示板は、特定のテーマについて自由に意見を書き込むことができるが、匿名で投稿されることが多いため、真面目なものばかりでなく、誹謗・中傷・嘘など様々な意見が書き込まれる。SNSは、実名の登録を要するもの(フェイスブック)、文字数の制限内で簡易に情報発信するもの(ツイッター)、ゲームに特化したもの(グリー、モバゲー)、ビジネス上のネットワーク構築に特化したもの(リンクトイン)など、それぞれの特徴を持ったプラットフォームを構築している。
 CGMは情報発信者が一般の人であるため、書かれる内容については、誰もコントロールができない。また、一度悪評がでると短期間で広まり、不買運動が起きるなどのリスクもある。『第12回企業の広報活動に関する意識実態調査』(2015年2月経済広報センター発行)によると「ブログ、掲示板、Twitterなどの自社話題の確認について」に対し、「定期的に確認をしている」が51.5%、「定期的ではないが確認をしている」(30.3%)と、8割の企業で、何らかの確認を行っている。
 これらCGMのリスクに対しては、常日頃からネット上での問い合わせに「迅速」「丁寧」「誠実」に対応し、また積極的に情報を開示することで、彼らのネット上での話題を、正確かつ肯定的なものにしてもらう努力を続けることだ。そして必要に応じて、中傷や嘘に対しては、迅速に対応することが大切である。
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2.ソーシャルメディアを活用した企業広報

 ソーシャルメディアを活用して消費者とコミュニケーションを図り、積極的に広報やマーケティングに活用している企業もある。『第12回企業の広報活動に関する意識実態調査』によると、ソーシャルメディアについて、「活用している」と回答したのは48.5%で、約半数の企業でソーシャルメディアを活用している。前回調査(2011年実施)では33.8%だったので、この3年間で、ソーシャルメディアを活用する企業は「3分の1」から「2分の1」になったといえる。
 日本コカ・コーラでは、会員数1000万人以上を有する巨大な自社メディア「コカ・コーラパーク」を中心に、ソーシャルメディアを活用した様々な取り組みを展開している。消費者はコカ・コーラパークの会員になると様々なイベントやゲームに無料で参加でき、ゲームなどでもらえる「パークG」という仮想通貨を集めることでいろいろな賞品が当たる懸賞への応募ができる。また、会員同士で交流を行ったり、ニュースや生活関連などの幅広い情報を取得することができる。サイトの立ち上げ当時から、モバゲーなどの有力SNSとのコラボ企画を継続して展開してきたが、2011年からは、ミクシィ、フェイスブック、ツイッター、アメーバといった有力SNSへの投稿や閲覧を一括で行うことができるよう、サイト自体のソーシャル化に取り組んでいる。
 第一生命保険では、採用活動の一環として、学生との接点機会を増やすことを目的にインターンシップ情報や内定者を中心としたアドバイスなどの情報をフェイスブックで提供した。フェイスブックの活用により、フェイスブック上でやりとりをした学生と実際にインターンシップで会うといった、バーチャルとリアル、両方の世界で交流をすることができ、採用活動の相乗効果を図っている。
 企業によるソーシャルメディア活用の目的は、次のように分けることができる。
 (1)ブランド認知(2)グーグルなどでの検索結果順位の上昇(3)集客・ウェブサイトへの誘導(4)ブランドへの愛着心(5)販促(6)販売(7)顧客サービス(8)企業イメージアップ(9)市場調査(10)商品企画・製品開発(11)人材採用

3.企業のウェブサイト

企業サイトの構築と運営

 また、企業にとって自社サイトの構築・運営は、重要な広報活動の一つとなった。広報活動全体の中で、コーポレートサイトをどう位置づけるか、どのように活用していくかを明確にし、構築していくことが大切だ。
 自社サイトを立ち上げ、運営していく際、必要なポイントは以下の通り。
(1)内容・デザイン
  1. ・ 自社の強み、アイデンティティーを明確にし、それを柱として作成する。
    どのような会社か、目指す方向はどこかが、すぐに分かるようなサイトにする。
  2. ・ ヴィジュアル面も同様に、企業イメージに沿ったデザインにする。
  3. ・ ターゲットを明確にし、彼らが必要な情報を提供する。サイトのターゲットは、顧客、潜在顧客、取引先、投資家、記者、社員、学生とその親などで、それぞれが異なる情報を必要としていると考えられる。ターゲットや情報に優先順位をつけることも必要。
  4. ・ 正確で最新の情報(常に更新に気を配る)を提供する。業者に依頼せずとも自社で簡単、タイムリーに内容を更新できるシステム、CMS(Contents Management System)を導入するなど工夫してもよい。
(2)誘導・機能
  1. ・ 膨大にあるサイトから自社サイトを埋没させないためにも、誘導面を工夫する。
     SEO(Search Engine Optimization/検索結果で上位に表示されるよう特定のウェブサイトの表記方法を検索エンジン向けに最適化すること、またはその技術)や、SEM(Search Engine Marketing/検索キーワード連動型広告や有料リスティングサービスなどによる広告の掲載など)といった対策を検討するのもよい。
  2. ・ 見やすく、使いやすいこと。見出しや分類を工夫する。
  3. ・ 必要な情報に到達しやすい構造にする。
  4. ・ サイト内の検索機能の充実。
  5. ・ 関連サイトにリンクをはるなどして、さらに広範な情報提供を行う。
  6. ・ ターゲットからの評判や改善点・クレームなどきちんと把握するためにも、簡単に投稿できる仕組みを取り入れる。
  7. ・ ブログ形式のコンテンツを導入し、社長や、商品開発担当者のブログを提供してもいい。企業の「人」が出てくることで、親しみを感じてもらい、企業のファンになってもらう。企業側の人だけでなく、一般消費者の新製品についての意見をブログに載せるなど、より身近に感じてもらうことも可能だ。
 自社サイトの構築は、ウェブサイトの持つ特徴(調べやすい、豊富でタイムリーな情報、双方向性、多機能など)を最大限に生かしつつ、他社との差別化、自社の独自性を図ることが大切だ。
 また、当然のことながら、ウェブサイトを立ち上げた後は、アクセス件数や、閲覧者の声などを分析し、常に改善を試みる必要がある。

今後のクロスメディア

 既存のメディアと自社ウェブサイト、様々なプラットフォームのソーシャルメディアを組み合わせていく広報戦略は重要である。今後、パソコンの閲覧だけでなく、常に傍らに置き、見たいときにいつでも見ることができるメディア、モバイル(スマートフォンも含む)も視野に入れた発信を考えていくことが大切だ。モバイルの特徴「いつでもどこでも」で、パソコンによるウェブの閲覧より、さらに距離感が縮まり、リアルとの連動が可能になる。
 急速に進むデジタル化やITにおいて、すぐに取り入れることができなくても、常日頃から関連情報にアンテナを張っておく必要がある。その変化に気づかずにいると、競合企業からだけでなく、生活者、社会からも取り残されてしまうかもしれない。
 一方で、デジタル化に頼り過ぎてもいけない。デジタル化が進むと、アナログを軽視する傾向が出てくるが、実際はアナログ的コミュニケーションに優れている企業が、デジタルの世界でも成功をおさめているという。結局、「ウェブの記事を書くのも読むのも人」であり、内容(記事や表現など)が優れていることが基本だからだ。発信する内容を分かり易く魅力ある表現にすること(事実であることはいうまでもない)、その上で、いかにツールを上手く使いこなしていくかが、広報としての常に考えていくべき課題であろう。
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4.マスメディアのネットとの融合

 インターネットは、Windows95の登場で一般の人へ急速に広まった。その後、料金の定額制が取り入れられ、ブロードバンドによる高速・大容量化が進み、さらにモバイル化(携帯電話、スマートフォン)が浸透したことで、一般のニュースや企業情報をネットから入手する人が増加している。このことから新聞の購読者が減少しつつあるのに加え、リーマン・ショックによる世界同時不況、欧州債務危機、東日本大震災の影響で、さらに広告費も減少している。これらの影響で新聞、雑誌、テレビといった主要メディアは厳しい状況に立たされている。
 従来の取り組みだけでは危機感を感じたメディアは、積極的にネットとの融合を進めている。2007年7月、産経新聞はマイクロソフトと組んで「MSN産経ニュース」をスタート、同年10月に毎日新聞社は、総合情報サイト「毎日jp」を単独で開設、さらに2008年1月末には、読売・朝日・日経の3紙が提携し、共同ニュースサイト「あらたにす」を開設した。それぞれの記事の読み比べができ、その記事の続きを読みたい場合は、各紙のサイト(それぞれ「YOMIURI ONLINE」「asahi.com」「NIKKEI NET」)に移行する方式だ(ただし2012年2月に閉鎖)。同年4月には、朝日・時事通信・日刊工が、有料の企業向け情報サービス「キジサク」を開始(2013年3月に閉鎖)。
 しかし、当初、面を広げることや顧客へのサービスを目的に、新聞各社がネット上の無料ニュースをスタートしたが、無料から有料へのハードルを上げた結果となっている。
 さらに一般のブロガーが記者の役割を果たし、既存の新聞社が報道できないようなニュースや情報を発信して人気を博しているケースもある。経営面だけでなく、斬新なニュースという面でも新聞社にとっては厳しい状況にあるといえる。しかし、その一方で、新聞の組織力と専門性をもつ取材力は、ニュースの正確性、継続性、内容の深さなど、ブロガー記者がかなうものではない。インターネットの普及や活字離れで、新聞社の経営が厳しさを増すとみられる一方で、やはり、取材を本業とする記者が執筆した「本物の記事」も、社会から求められているといえるだろう。
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