経済広報

『経済広報』(2011年7月号)掲載

メディアに聞く
将来に不安を抱える人の羅針盤に
写真:横田恵美

横田 恵美(よこた えみ)
『週刊エコノミスト』編集長

編集長に就任して、どのような雑誌づくりを目指しているか。
横田 『週刊エコノミスト』は、もともとマクロ経済や金融マーケットに強いと評価されている雑誌だと思うので、強みは生かして、さらに強化していく。東日本大震災後は、日本経済や世界経済の先行き不透明感が増し、不安を抱えている人も多い。『エコノミスト』としては、そういう人たちの羅針盤の役割を果たしていきたい。
 震災によって、日本経済や日本国の在り方が変わらなければならないと皆が考えていると思う。そういう中でエネルギー政策については、特にしっかりとフォローしていきたい。『エコノミスト』自身、原発を含むエネルギー政策について、これまで確固たる編集方針があったわけではない。ただ、福島第一原発事故後は、ああいった危険性の高いものをエネルギー源の中心として、人の住む地域に置いていいものか、と思っている。分散型電源などの積極活用でエネルギー供給の持続可能性は保てることを紹介していきたい。
 その一方で、『エコノミスト』は、どちらかというとミクロ経済に弱いので、企業取材などは強化したい。また他の雑誌に比べ、定番企画が少ない分、機動力を生かせる。皆が気付いていないような問題を読者にいち早く知らせる役割を果たしていきたい。6月の特集のラインナップ「ニッポン 経常赤字国転落」「米国債を売れ!」「ガス復権」は、そういうことも意識してつくった。
経済誌と一般の雑誌が似てきているとの声もあるが。
横田 健康モノ、葬式や相続問題を取り上げた方が部数が伸びるという現実がある。年金不安や雇用不安の高まりで、人々の生活防衛意識が強まっているからだと思う。実際、高名な学者やアナリストらに取材する時も、話が一段落したところで、「相続が大変だよ」といった“ぼやき”を聞くことが増えた。もちろん資産運用などを取り上げる時には、経済誌らしく、より踏み込んだ内容にするよう心掛けている。
編集体制は。
横田 編集部は私を含め約20人。業界担当制ではなく、複数のグループに分かれて、「この号は、このグループが担当」というように、グループごとに取材している。月曜日の午前中に編集会議を開き、企画案を各自が発表。数号後の内容を議論し、部内でコンセンサスを形成している。
 他の経済誌と異なるのは、社外執筆者による寄稿が多いことだ。常に読者のニーズを意識して、記事ごとに、内部の記者が取材して書いた方がいいか、外部のその分野に最も精通した人に執筆依頼をした方がいいかを考えている。外部執筆者のデータベースは膨大で、『エコノミスト』の財産だ。
企業の広報部門に望むことは。
横田 最近は減ったが、かつては時々ミスリードがあった。自社に都合の悪いことは「小さい話ですよ」と言い、都合が良いことはオーバーに言う。こういうミスリードはしないでほしい。
1985年、毎日新聞社入社。中部本社報道部・経済部記者を経て、93年、『週刊エコノミスト』編集部、2011年4月より現職。
 (聞き手:国内広報部長 佐桑 徹)
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