経済広報

『経済広報』(2013年4月号)掲載
企業広報よくある質問(1)
君島 邦雄 BtoC、BtoB企業の広報に違い
君島 邦雄(きみしま くにお) (株)ココノッツ 代表取締役
Q BtoC企業とBtoB企業の広報には、どんな違いがありますか?

広報への理解が進んでいるBtoC企業

 BtoB企業に比べると、一般にBtoC企業の方が広報に対する理解が進んでいるようです。一般消費者を顧客とするだけに、商品やサービスを、またブランドや企業そのものを広く社会に認知、理解してもらう重要性をより強く感じるためでしょう。
 消費財のマーケティングでは、これまでテレビコマーシャルや新聞広告といった広告活動が主役の座を占めてきました。
 しかし、今や広告だけではモノは売れないという認識がBtoC企業に浸透してきました。長期化する不況やデフレの一方で、IT技術が急速に発展するなどの要因がその背景にあります。そのため、メディアに情報を提供して報道を促す伝統的なパブリシティーばかりでなく、ブロガーやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)へのアプローチ、消費者を引き付けるイベントなど、BtoC企業では様々な広報活動を駆使して消費者と対話しようという試みが行われています。MPR(マーケティング広報)と呼ばれる、これらの分野には多くの予算が投じられ、新しい手法が次々と開発されています。

BtoB企業の広報は

 一方、BtoB企業では、取引先が限定されていることなどからMPRへの関心は低く、企業広報の重要性にも気付いていない企業が今も少なくありません。
 その中で、BtoBにもかかわらず真剣に広報に取り組んでいる企業では幾つかの共通項が見られます。
 1つ目はクライシスに対する備えです。万一のクライシスを克服するには、企業ブランドを強固に確立させておく必要があり、常日ごろの広報活動が大きく影響します。
 2つ目はリクルートへの効果です。より優秀な社員を採用しようとするなら、学生ばかりでなくその保護者や社会人にも企業の在り方を正しく理解してもらう必要があります。企業への社会認知や評価が高まるにつれて、応募者の数と質が明らかに向上するのを実感した企業も少なくありません。
 3つ目はIRから広報への拡大です。資本市場の参加者だけを対象にしたIR活動は、やがてその限界が見えてきます。そこで多くのチャネルを通じて自社の情報を伝えることにより個人投資家ばかりでなく、機関投資家の関心を喚起し、さらに信頼を得ようと広報活動にも注力するようになります。
 ところが、IRに熱心に取り組んできた企業ほど、証券取引所の適時開示の枠の中でしか考えられなくなってしまう傾向が見られるのは残念なことです。もちろん、上場企業は開示規則を無視することは許されません。しかし、これは重要事項だから開示しよう、これは重要事項ではないから発表する必要がない、といった観点からだけで広報活動を考えていると、広報活動はいつまでたっても発展しません。
 広報に積極的な企業では新製品、イベント、キャンペーンなどのニュース素材を積極的に発表し、さらに企業内の制度や組織、社員の働き方やボランティア活動など幅広く取材に応じています。これらはIRでいうところのモザイク情報です。上場規程上ではあえて開示する必要のない情報でも、企業の本当の姿を理解してもらうためには、実は重要な情報なのです。 

pagetop