経済広報

『経済広報』(2013年5月号)掲載
企業広報よくある質問(2)
君島 邦雄 社内情報の集め方
君島 邦雄(きみしま くにお) (株)ココノッツ 代表取締役
Q 社内から効率よく情報を吸い上げるにはどうしたらよいでしょうか。

情報伝達のルールづくりから

 トップの交代、企業買収、組織再編、支店の開設、新製品の発売など、取締役会で議決されるような公式情報を入手するには、総務部や秘書室など役員会をサポートしている部署から確実に広報へ伝えられる仕組みが必要です。暗黙の了解で運営している例が多いかもしれませんが、ルールを明文化しておくことが広報活動の前提になります。
 案件によっては「決まってからでは遅過ぎる」ということもあります。より早く情報を入手するには、管掌役員の責任の下で事前に情報を流してもらうのが常道でしょう。
 今こんな技術を開発している、来春の新製品企画はこれだ、といった企業活動に関する情報も欲しいものです。各部門に広報委員を置き、委員会を開催して情報を持ち寄ってもらう方法もありますが、成功例は意外に少ないようです。どんな情報を集めたらよいのかという「情報を見る目」を委員たちが持っていないことが大きな要因です。それなら各部門のキーパーソンと広報部との定期連絡会を開く方がよいかもしれません。
 もっと良い方法があります。広報担当者が自分の足で情報を集めることです。メールや電話で「何かありますか」と問い掛けるだけでは求める答えは得られません。たとえ遠距離であっても、わざわざ足を運び直接顔を合わせて話を聞くことで、初めて貴重な情報が得られます。出張費がないとか効率が悪いといった言い訳が出そうですが、それは社内情報の価値をどう判断するかです。ある広報部長さんは、社内報の取材のために地方に出向いた部員に、現地の社員と雑談をしつつ情報を集めさせて、その報告を受けていました。別件で出張する折には、1つでも情報をつかんで帰りましょう。

非公式情報は人脈を活用する

 社外でも社内でも情報集めに欠かせないのは人脈です。この人なら話してもよいだろう、この人から質問されたら答えざるを得ないという信頼関係で結ばれているのが人脈というものです。社内の各所に人脈を持っていると、情報が向こうから飛び込んできます。
 日本企業の場合、最も強力な人脈は同期入社の社員です。互いに敬語を使う必要のない社内で唯一の仲間たちですから協力が得られやすいはずです。そのほか、同窓、同郷、同じ職場で過ごした先輩、同僚、後輩など、あらゆる人脈を総動員して非公式情報の収集を試みましょう。
 役員からは役員の立場から、新入社員からは新入社員の立場からの情報が得られるという原則があります。一般に、地位が上の人の方が、より重要な情報を握っているといえますが、新入社員からの情報もおろそかにできません。新入社員の話からユニークな社員の存在が分かったり、思いも寄らぬ事実が明らかになったりすることがあります。そこで、部長は部長同士、課長は課長同士、平社員は平社員同士というように、それぞれのレベルで情報を集め、それらを突き合わせてみましょう。きっとメディアに取材してもらうだけの、価値のある情報が見つかるはずです。

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