経済広報

『経済広報』(2013年6月号)掲載
企業広報よくある質問(3)
君島 邦雄 企業広報 vs.マーケティング広報
君島 邦雄(きみしま くにお) (株)ココノッツ 代表取締役
Q 企業広報の方法とマーケティング広報の方法は何が違いますか。

よりアグレッシブなマーケティング広報

 企業広報もマーケティング広報(以下、MPR)も広報活動である以上、基本的な違いはないはずです。違いがあるとすれば、目的や目標の立て方が影響しているのではないかと思います。
 MPRでは、“商品知名度”とか“使用メリットの浸透”といった経過目標は様々であっても、最終目標は売り上げの拡大であることが明らかです。活動期間は1年や3年、時には6カ月といった短期勝負になることもあり、その間に一定の成果を挙げることが求められます。そのため、あらゆる知恵を絞って目標を達成しようという強いモチベーションが働き、アグレッシブになる傾向があります。有名タレントを使ったり、話題性の高い奇抜なイベントを開催したりして、より多くのメディアの関心を集めようと試みます。また、フェイスブックやツイッターといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用も活発です。
 そこには競争意識や差別化意識が強く働いています。また、費用対効果が厳しく問われる一方で、効果が期待できるなら、必要な予算は投入されることになります。それもこれも売り上げや利益の目標を達成するためです。企業と社会との対話を基本とする広報活動としては、少々“売らんかな”に偏り過ぎてはいないか、と気になることもしばしばあるほどです。

保守的になりがちな企業広報

 それに対して企業広報では、理念的あるいは抽象的な目標の下に仕事が進められることが多いようです。発表件数や報道件数など、短期目標は具体的に設定されてはいても、最終ゴールは“トップの顔が見える広報の推進”、“企業認知を促進して企業価値の増大を図る”、“環境配慮型の企業としての認知獲得”といったものになりがちです。期間もかなり長期に設定されます。次々に発生する発表案件や取材の申し込みなどに忙しく対応していると、いつしか目標への意識が薄くなり、能動的な広報活動よりも受動的な業務ばかりで日々を過ごしてしまうのが現実です。
 一般に、企業広報では正確性や順法性が優先され、横並び意識が強く働きます。一方で、他社の成功事例を知っても、あれは自社にはそぐわないとか社風が違うなどと消極的になる企業も少なくありません。リスクを過大に評価してしまうようです。
 広報活動の基本であるプレスリリースにも違いが見られます。MPRのものは平易な文章で書かれ、写真や図が多く、カラー化されているなど、良しあしは別にして、何が何でも記者の目を引き、報道に結び付けたいという意気込みを感じます。企業広報のプレスリリースは地味で、文章もお役所の文書のように堅いものが見られます。これには、記事にしてもらいたいという意欲よりも、「一応発表しておく」という消極的な姿勢を感じてしまいます。
 企業広報もMPRから学び、よりアグレッシブに活動すべきではないでしょうか。派手な活動ばかりが良いわけではありませんが、企業は変化に対応し、常に前へ進まなければ存在価値を失います。企業広報においても全く同様だと考えるのです。

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