経済広報

『経済広報』(2015年1月号)掲載

メディアに聞く

広報は未来を創る原動力

東 英弥

 

東 英弥(あずま ひでや)事業構想大学院大学 理事長(株)宣伝会議 会長
宣伝会議の事業はどのようなものか。
 月刊『宣伝会議』は、1954(昭和29)年に創刊された。まだ戦後の混迷下、経済成長に向けて社会の中でいち早く、宣伝・広告をはじめ、マーケティング的な考え方、そして広報の重要性を欧米から取り入れて考えるケースを誌面で紹介し、同時に大手企業やメディア、協会、団体と、研究会などを共同で行った歴史がある。その2年後の1956年には、その職業すらまだ知られていなかった日本で、「コピーライター」講座を開いた。「ネーミング」という言葉を日本に紹介したのは、創業者の久保田孝氏である。
 私が宣伝会議を引き受けたのは、1993年で、今から22年前。マーケティングとクリエイティブをあらゆる業種・業態、そして全国に広げるという目標を掲げ、月刊『宣伝会議』と先のコピーライター養成講座を中心に、大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台、広島に展開し、現在では定期的に沖縄でも、各講座をはじめ、セミナー、フォーラムを実施している。宣伝会議を引き受けるに当たり、複雑化する広告界(企業・メディア・広告業・クリエイター)を月刊『宣伝会議』で網羅するのは難しいのではと考え、クリエイティブの月刊『ブレーン』、セールスプロモーションの月刊『販促会議』、企業のコミュニケーション活動の要となる広報活動のための月刊『広報会議』、社会そのものを見つめ、未来を考える哲学誌の『人間会議』『環境会議』を創刊した。これにより、マーケティングコミュニケーションの全体を網羅する、広告、広報、販促、クリエイティブのメディアが揃い、メディアによる情報発信と同時に各誌と連動した講座を、幅広い企業、行政、自治体、組織などに提供できるようになった。
広報の専門誌『広報会議』を発行する狙いは。
 デジタル化、グローバル化が進行し、ますます複雑化する現代社会では、社会と企業、人と企業の関係を築き、維持、発展していくための広義の広報が必要不可欠であり、特に月刊『広報会議』は、雑誌の誌面づくりと同時に、全国での講座に大変重要性を感じている。広報に関わる情報は、大手のみならず、中堅・中小の企業においても、ソリューションと共に、企業が社会の一翼を担う位置付けを検討・検証するものとして注視される。広報の基本的な考え方、ケースを分析して落とし込むこと、広報の根幹に関わる企業理念(哲学)の理解と社会視点、生活者視点での発信は、社会での企業の存在価値や役割を定めるからだ。広報は事業およびプロジェクトデザインそのものであり、未来を創る原動力だ。
文部科学大臣の認可を得て「事業構想大学院大学」を設立したと聞いたが。
 幾つかの会社を創業し、引き継ぎ、マーケティングおよびクリエイティブの編集・出版、広報の知識も得る中で、多様な主体が社会の一翼を担いながら継続していくには、新規事業を開発し、同時に社内外に広報を通してコミュニケーションを充実させていくことの重要性を感じた。そのために経営資源を見つけ出し、ビジネスモデルを作成して実行できる人材が必要と考え、2012年、東京・表参道に、事業構想大学院大学を開学した。修了生は早速、新規事業を成功させたり、経営トップに就任するなど、手応えを感じている。
宣伝会議会長。学校法人東教育研究団 事業構想大学院大学理事長。博士(商学)。1978年からこれまでに11社起業し、現在(株)宣伝会議を含む12社を経営。事業の傍ら、東京大学大学院新領域創成科学研究科などで学び、理論と実務の融合を実践する。2012年より事業構想大学院大学理事長。日本広報学会理事、地域活性学会理事など公職多数。著書に『統合型ブランドコミュニケーション』(早稲田大学出版、2008年度日本広報学会 教育・実践貢献賞受賞)ほか。
(聞き手:国内広報部長 佐桑 徹)
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