経済広報

『経済広報』(2015年4月号)掲載
アングル
ロス・ローブリー 信頼度調査から考える企業広報のポイント
ロス・ローブリー エデルマン・ジャパン(株) 社長 

 「2015 エデルマン・トラストバロメーター」 注1の日本の調査結果が2月に発表された。それによると、日本人の政府、企業、メディア、NGOに対する信頼度は全てにおいて低下し、特に自国に対する「国民の信頼度ランキング」 注2においては、日本人の信頼度は37%で、調査対象27カ国で最下位となった。

 そこでこの調査結果を踏まえ、企業が実践可能な広報の3つのポイントについてお話したい。

 まず1つ目は、オウンドメディアの重要性についてである。今回、日本人のメディアに対する信頼度は40%から31%に下落した。理由は言うまでもない。興味深いのは、日本人はメディアの報道に頼るよりも、事実が得られ、自分で判断できる情報源を信頼し、利用しているという点だ。一般的なニュースや情報を得るための情報源として、オンライン検索エンジンが今では最も信頼されている(39%)。次に信頼されているのはオウンドメディア(36%)で、トラディショナルメディア(35%)に対する信頼度を初めて上回った。企業が検索エンジン最適化戦略、包括的なウェブサイトなどのオウンドメディアのプラットフォームを持つことは、強力なメディアリレーション・チームを持つのと同様、もしくはそれ以上に重要になっている。

 2つ目は、社員の重要性についてである。信頼を構築するためには、企業はステークホルダーとのエンゲージメントを確立し、誠実さを示さなければならない。企業のエンゲージメントに関する情報発信において、最も信頼されているスポークスパーソンは一般社員(39%)であり、CEOに対する信頼度は15%である。企業のビジョンや戦略を主要なステークホルダーに伝え、理解を得るためには、企業情報に精通し、企業とのエンゲージメントを確立している社員をスポークスパーソンとして持つことがますます重要になっている。

 最後の3つ目は、多様なスポークスパーソンの重要性についてである。企業のコミュニケーションにおいて、最も信頼されているスポークスパーソンは企業内技術者(43%)、次いで学者/専門家(34%)で、企業のCEOに対する信頼度は28%である。CEOが情報発信をしなければならない機会が多くある一方、より効果的に信頼を構築するには、スポークスパーソンとして訓練された企業内技術者を持つことや、CEOの意見を後押しするために外部の専門家や学者と連携することも考慮する必要がある。

 では、信頼を得ることで、企業は何を得られるのだろうか。日本人回答者の61%が、信頼している企業の製品やサービスを購入すると答えている。また、41%が信頼している企業には、製品やサービスにより多くを支払い、22%がそれを友人や同僚に薦めると回答している。企業が信頼を構築できれば、得られるものも大きいのである。

注1 エデルマンによる世界で15回目、日本で11回目となる信頼度調査。調査は、世界27カ国3万3000人を対象に、2014年10月13日から11月24日にかけて実施された。
注2 調査対象27カ国における各国民の自国の政府、企業、メディア、NGOに対する信頼度の平均値をランキング形式で表したもの。
ロス・ローブリー
複数の証券会社で上級管理職を経験した後、PR業界に入り、ギャビン・アンダーソンのマネージング・ディレクターとして、M&Aや外資系企業の日本市場参入キャンペーンなどを手掛ける。プラップ・ジャパン専務取締役兼最高執行責任者を経て、2010 年より現職。
pagetop