経済広報

『経済広報』(2016年12月号)掲載
調査から見る日本企業の広報力2016 vol.4

情報創造力

コンテンツ消費時代に不可欠な「情報創造力」

 第4回は、「情報創造力」について解説する。本調査の「情報創造力」は、“ステークホルダーの認知・理解・共感を得るために、メディア特性に合わせたメッセージやビジュアルなどを開発する能力”と定義している。
 広報に従事している皆さまには、なじみ深い能力かと思うが、2年前の調査結果と比べると、「情報創造力」を構成する各要素のポイントが高くなっている項目が多くなっていることから、コンテンツ消費時代を意識した広報体制が徐々に進められている現状がうかがえる(図参照)。ただし、広報力(6つの能力の合計)の全体平均である32.6ポイントと比べると、「情報創造力」は26.0ポイントと低く、実際に情報を創造する段階になると次の一歩が踏み出せないという事態に陥っている現状も見受けられた。この状況を踏まえて、情報創造力を高めるポイントを以下に示す。

まずはコンテンツ消費時代の生活や思考を理解すること

 情報創造力に必要なポイントは、大きく2つある。1つ目は、「ステークホルダーの生活を深く理解する」こと。ステークホルダーがどのような生活を送っており、どのタイミングでどんなメディアに接触しているかはもちろん、そのメディアは、ポータルサイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用してどのように展開しているかなどの情報流通構造までを理解する必要がある。
 2つ目は、「ステークホルダーの嗜好を理解する」こと。当研究所の生活者1万人調査では、生活者は製品の情報よりも、ストーリー性、メッセージ性、人間性を好む傾向があることが把握できている。これは「モノ」より「コト」を好むコンテンツ消費時代の特徴を反映しており、何の目的で誰が何をしたのかを、最適なビジュアルや手法(動画、グラフ、イラストなど)を選択し、表現する必要があることを示唆している。
 また、従来“広報は事実を積み重ねることが重要”といわれているが、現代ではこの重要度が確実に増している。情報過多になっている昨今では、フィクションやイメージ訴求だけではステークホルダーの心にコンテンツが響かなくなってきているためである。そのために、それぞれのステークホルダーが、どんな事実やストーリーを好むのかを分析する必要があると同時に、編集者が見出しを考えるように、社会的なトレンド・時節性に合わせて的確な短いメッセージやタイトルで関心を持たせる能力も必要になる。
 ステークホルダーの多様性を重んじて公平な表現に注意を払う必要はあるが、まずは自社のオウンドメディアで実際にコンテンツを発信し、閲覧データを分析し効果を検証してみることが、情報創造力を伸ばす一番の近道だと考えている。
*: 上場企業(10業種、計150社)の企業行動(ファクト)に着目して、生活者1万人を対象として実施した企業魅力度調査

図 「情報創造力」を構成する各要素の調査結果(2014年、2016年比較)

(企業広報戦略研究所((株)電通パブリックリレーションズ内)上席研究員 橋本良輔)
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