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調査報告

英米主要16紙誌の論調分析
(’10/11月12日〜’10/12月9日)

 この期間、11月23日の北朝鮮による韓国・延坪島砲撃事件を受け、事件の背景や今後の対応をめぐって、多くの論評が見られた。中でも、北朝鮮の暴走を抑えるために、北を支援してきた中国の責任を強調する意見が目立った。
 
 各紙誌とも、韓国海軍哨戒艦沈没事件、濃縮ウラン製造施設と原子炉の新設に続く「今回の北朝鮮の砲撃は、北による最近の一連の挑発行為の中でも最も無謀なものである」(WP)と非難した上で、WP(11/24)社説は、「この明らかな犯罪行為は、北の政権を無視してきたオバマ政権の注意を北に向かせる効果があるだろう。しかし、それが経済的・政治的見返りにつながってはならない」と警告し、「米国は、慌てて特使を北朝鮮に送るのではなく、国連安保理による非難決議や、制裁措置の追加策を求めるべきである。そして、韓国の防衛を助ける用意があることを明確にすべきである」と述べている。
 さらに、「中国は今回の事件に際して、北朝鮮を非難することを拒否し、6者協議の再開を求めている。中国政府がそれを隠れみのにすることは許されるべきではない。新しい協議をしても、北朝鮮の大胆な方向転換がなくては成功しない。そして、中国だけが、その方向転換をもたらす影響力を持っているのである。米国とその同盟国は金総書記の危険な行動をやめさせる責任を中国政府に負わせなければならない」と、6者協議再開には否定的見方を示し、中国の責任を強調している。
 WSJA(11/24)社説は、今回の砲撃は「北朝鮮国内の経済的・政治的危機の兆しと受け止めるべきで、外国からの圧力は相応の効果を示すと思われる。韓国、米国、日本の強力な連携こそが、北朝鮮に対処する新たなパラダイムの確立につながる……今、北朝鮮は、李大統領と韓国の同盟国の決意を試そうとしている」と述べて、日米韓連携による北への圧力の必要性を強調している。
 また、北朝鮮への対応として、「核開発計画を半減させるという過去の約束への違反を北朝鮮が続ける限り、新たな協議はない」とした米国のボズワース北朝鮮担当特別代表の立場や、「米空母と韓国の戦艦が黄海上で軍事演習を行うこと」を支持し、韓国による「北朝鮮のハードカレンシー(交換可能通貨)の収入源である開城工業団地の閉鎖」や、「ブッシュ政権の過ちのひとつである“北朝鮮のテロ支援国家指定の解除”を取り消し、再指定すること」も「時宜を得ている」ものとして提案。その上で、「新たな協議の場に引きずり出され、過去の合意への譲歩に見返りを与えることのないように」とオバマ政権に警告している。
 FT(11/24)社説も同様に、「今回の挑発行為には、何らかの対応が必要である。しかし、金総書記とその息子のプロパガンダを助けたり、暴力行為をエスカレートさせたりするものであってはならない」とする一方で、「米国は北朝鮮の核能力を懸念しており、北が核開発計画を廃棄しない限り6者協議を再開しない、としてきた。韓国は米国の核兵器を再配備したいと要請しているが、米国は今のところ、まだこれに応える必要はない。この時点で、軍事行動に関する手の内を見せる必要はない。外交が第一の選択肢となるべきだ」と述べている。
 そして、「中国はその責任を逃れようとすべきではない。今や中国は、米国ともっと緊密に連携して北朝鮮に圧力を掛け始める時である。中国は、朝鮮半島海域の米韓共同パトロールを公然と支持すべきであり、北の政権を支援するのをやめ、北朝鮮の人々の脱北を許し、本国に送還すべきではない……北朝鮮が今回の挑発行為に対する世界の反応に満足すれば、再び同じことが起こるに違いない。欧米と中国は、地域の安全保障に対する脅威の増大と対決するという、共通の決意を示さなければならない」と論じている。
 エコノミスト(11/27号)社説は、「懲罰的な報復軍事行動に出れば、事態はどんどんエスカレートし、破滅的な戦争を招く危険がある」と冷静な対応を主張した上で、「戦争の脅威がこの後の対応の選択肢にならないとしたら、ほかに何ができるだろうか? 状況が悪い中で取れる最良の手は、北朝鮮への対応の方法をめぐる各国間の分裂を修復することだ」と論じている。
 そして、「これはとりわけ、一触即発の危険地域である北朝鮮を戦略的資産と見なしてきた中国に対し、北朝鮮が同国にとって恐ろしいほどの負債になっていることを分からせることである」と指摘、「中国を正しい方向に動かすことができるひとつの可能性は、中国が議長を務め、日本やロシアも参加する6者協議を復活させることである」と6者協議再開を支持している。
 NYT(11/24)社説は、「北朝鮮で何が起こっているかを知るのは不可能に近いが、こうした出来事は、病気の金正日総書記の交代にかかわる闘争と関係があることは、ほぼ確実だ」と分析し、「国際社会、とりわけ北朝鮮への燃料と食糧の主たる供給源であり唯一影響力のある中国は、北朝鮮の混乱に対する戦略を早急に立てなければならない。オバマ政権は中国に対して、これに協力するよう強く圧力を掛けなければならない。長く北朝鮮を支援してきた中国は、国境の安定が唯一の関心事であることを明らかにしてきた。しかし中国が認識するべきは、核武装した異常な“隣人”は、安定をもたらす処方箋たり得ないということである」と指摘し、「今のところ、国連の制裁措置に後押しされた中国が、北朝鮮を瀬戸際から引き返させる最大のカギを握っている。中国が主導権を取らなければならない」と主張している。
 
 北朝鮮が公開した新しい大規模ウラン濃縮施設について、WSJ(12/7)で同紙コラムニストのブレット・スティーブンス氏は、「北朝鮮が中国の支援なしに核能力を持つのは不可能だ」という2人の専門家の見解を紹介し、「オバマ大統領は12月6日、中国の胡錦濤国家主席に電話して北朝鮮との交渉の支援を要請した。しかし、核拡散問題専門家のヘンリー・ソコルスキー氏は、極めて意図的に問題に加担している中国に向かって、解決のために一肌脱ぐよう求めることに一体どんな意味があるのか、と指摘する。中国は、ほぼありとあらゆる核不拡散協定に調印している。それでいて、それらすべてを無視し続けている。これは現状維持勢力が取る行動ではなく、世界の安全保障にとって最も深刻な脅威をもたらす活動や体制を支持する革命勢力の取る行動だ。何の歯止めもなくこの状態が続くのであれば、制裁されるべきは中国だ。そして北朝鮮の核施設は破壊されるべきだ」と論じている。   

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