会社員とボランティア活動-「会社員の声」アンケート-
~ボランティア活動を浸透させるためには企業のサポートも必要~
内容 |
(財)経済広報センター(会長:豊田章一郎)では、このたび、「会社員の声」ネットワークに参加している全国の会社員 1,881名を対象に、「会社員とボランティア活動」というテーマでアンケートを行い、その結果をとりまとめました。今回は、当センターが高齢社会をテーマに設立した「シニアネットワーク」メンバー 710名に対しても同じアンケートを行いました(会社員回答者 733名、回答率 39.0%/「シニアネットワーク」メンバー回答者 544名、回答率 76.6%)。
1.今後、ボランティア・ニーズが高まる領域は「高齢者への介護や日常生活支援」、
2.ボランティア活動がより盛んになるための条件は「ボランティア休暇など企業の支援施策」、 3.ボランティア活動の経験があるのは約4割であるが、5割以上が「経験はないが、やってみたい」、 4.やってみたい活動領域は「環境保護」と「地域コミュニティ関連」、 5.企業は、ボランティア活動をする社員が不利益を受けない程度に支援制度や施策を充実すべき、 と考えていることがわかりました。
<「会社員の声」ネットワーク>
(財)経済広報センターでは、1992年から、就業人口の大きな割合を占める会社員の生の声を聴き、その内容を広く社会に発信していく「会社員の声」ネットワークの構築に努めてきました。
<「シニアネットワーク」>
(財)経済広報センターは、高齢者が「生涯現役」を目指して、自ら積極的に「自立・自助」するとともに、地域社会と「共生・共助」できる新しい21世紀の長寿社会システムを、共に考え共に創り出していこうという考え方のもとに、1997年7月、20歳代から80歳代までの幅広い年齢層から構成される「シニアネットワーク」を設立しました。 <第20回「会社員の声」アンケート結果要旨> <ボランティア活動全般について>
1.ボランティア活動が盛んになることについての賛否
ボランティア活動が盛んになることについて、その賛否を尋ねたところ、「賛成である」という回答が、会社員・「シニアネットワーク」メンバー(以下“シニア”と表記)ともに9割近くに達した(会社員:88.7%、シニア:89.3%)。 一方、「反対である」という回答は、今回のアンケートでは無かった。 2.ボランティア・ニーズが高まる領域 今後、ボランティア活動のニーズが高まると思われる領域を尋ねたところ、会社員・シニアともに「高齢者への介護や日常生活支援」が8割以上となり、圧倒的な第1位であった(会社員:80.1%、シニア:82.4%)。 第2位も、会社員・シニアともに「環境保護に関わる活動」となり、それぞれ39.6%、31.4%であった。(複数回答) 3.ボランティア活動が盛んになるための条件 今後、ボランティア活動がより盛んになるための条件を尋ねたところ、「ボランティア休暇など企業の支援施策」が会社員・シニアともに最も多く、5割を超えた(会社員:56.3%、シニア:53.1%)。 次に多いのは、会社員が「ボランティア活動に対する職場の理解」(47.7%)、シニアが「国や地方自治体による情報提供、相談窓口開設等の活動」(50.6%)であった。(複数回答) 4.「有償ボランティア」についての是非 「有償ボランティア」について、その是非を尋ねたところ、会社員・シニアともに「活動によっては有償であってもよい」という回答が7割を超えた(会社員:73.9%、シニア:72.4%)。 一方、「どのような場合でも有償であるべきではない」という回答は、会社員・シニアともに2%台にとどまった(会社員:2.3%、シニア:2.2%)。 5.教員免許取得の必須条件としての法制化に対する是非 ボランティア活動の経験が、教員免許取得の必須条件として法制化されたことについて尋ねたところ、「ボランティア経験を評価すべきだが、必須条件とすべきではない」という回答が会社員・シニアともに最も多く、各々63.6%、56.1%であった。 「法制化は妥当である」という回答は、会社員よりもシニアの方が13ポイント高く、32.9%であった。 「ボランティア経験を評価する必要はない」という回答は、会社員・シニアともに1割程度であった(会社員:12.1%、シニア:8.6%)。
6.教育の場におけるボランティア活動の重視傾向に対する賛否
教育の場でボランティア活動を重視する傾向が強まっていることについて意見を聞いたところ、会社員・シニアともに「いいことであり、もっと重視すべきである」が最も多く、各々5割を超えた(会社員:50.9%、シニア53.3%)。 一方、「ある程度重視してもよいが、あまりいいこととは思わない」や「教育の場にボランティア活動を取りいれるべきではない」という否定的な回答も、合わせると約2割あった。
<自分自身のボランティア活動について>
7.ボランティア活動の経験の有無
ボランティア活動の経験の有無について尋ねたところ、「すでにボランティア活動の経験がある」という回答は、会社員が37.8%であるのに対して、シニアでは65.4%となり、約27ポイントの差となった。 「ボランティア活動の経験はないが、やってみたいと思っている」と回答した人は、会社員が52.0%、シニアが31.3%であった。
8.経験のあるボランティア活動領域
前問で「すでにボランティア活動の経験がある」と答えた人に、その活動領域を尋ねたところ、会社員・シニアともに「地域コミュニティに関わる活動」が第1位であったが、会社員の35.0%に対してシニアは50.6%と、両者には約15ポイントの差があった。 第2位以下の順位は、会社員とシニアで各々異なるが、全般的に見てシニアの方が数値が高かった。(複数回答)
9.ボランティア活動の契機
「すでにボランティア活動の経験がある」と答えた人に、その契機を尋ねたところ、「職場や町内自治会、市民団体などの活動の一環として行った」という回答が、会社員・シニアともに最も多かった(会社員:42.6%、シニア:25.8%)。 次に多かったのは、会社員が「友人や家族から誘われて行った」(27.4%)、シニアが「ボランティア活動団体の呼びかけに応じた」(22.8%)であった。
10.ボランティア活動の感想
「すでにボランティア活動の経験がある」と答えた人に、その感想を尋ねたところ、「得るものが大きく、これからも活動したいと思った」という回答が、会社員・シニアともに最も多かったが、会社員の52.7%に対してシニアは75.0%と、両者には約22ポイントの差があった。 また、「得るものが大きく、これからも活動したいと思った」と「特に得るものはなかったが、これからも活動すべきだと思った」を合わせて、会社員では約8割(79.1%)、シニアでは約9割(91.3%)が「これからも活動したい」あるいは「これからも活動すべきだ」と感じていることがわかった。
11.やってみたいボランティア活動領域
「すでにボランティア活動の経験がある」または「ボランティア活動の経験はないが、やってみたいと思っている」と答えた人に、今後、自分がやってみたいと思う活動領域を尋ねたところ、会社員では「環境保護に関わる活動」(44.4%)が第1位、「地域コミュニティに関わる活動」(42.2%)が第2位となり、この2項目が4割を超えた。 シニアでは「地域コミュニティに関わる活動」(52.7%)が第1位で、以下「高齢者への介護や日常生活支援」(41.4%)「環境保護に関わる活動」(40.5%)が4割を超えた。(複数回答)
12.いままでボランティア活動をやっていない理由
「ボランティア活動の経験はないが、やってみたいと思っている」と回答した人に、いままでボランティア活動を行っていない理由を尋ねたところ、第1位から第4位までの順位は、会社員・シニアともに同じになった。 第1位は「忙しくて時間がとれなかったから」で、会社員・シニアともに約6割(会社員:61.7%、シニア:60.6%)。以下「身近なところに適当な活動の場がなかったから」と「いますぐではなく、将来的に余裕ができてから行おうと思っているから」が50%台、「ボランティア活動に参加する方法がわからなかったから」が約4割となった。(複数回答)
<会社のボランティア活動支援制度について>
13.自分の会社のボランティア活動支援制度 <会社員のみ>
会社員に対して、自分の会社に社員のボランティア活動を支援する制度や施策があるかどうかを尋ねたところ、約3割(31.1%)が「ある」と回答した。 次に、「ある」と回答した人に、その制度や施策を実際に利用したことがあるかどうかを尋ねたところ、「ある」が7.5%、「ない」が92.1%であった。 世代別で比較すると、制度や施策を実際に利用したことが「ある」という回答が最も多かったのは50歳代で、16.7%であった。
14.企業のボランティア活動支援体制の充実度 <会社員のみ>
会社員に対して、企業が、社員のボランティア活動を支援する制度や施策をどの程度充実すべきかについて尋ねたところ、「ボランティア活動をする社員が不利益を受けない程度に充実すべきである」が最も多く、6割を超えた(61.8%)。 世代別で比較すると、「最大限に充実すべきであり、社員のボランティア活動を奨励すべきである」という意見は若い世代ほど多く(20歳代:25.2%、60歳以上: 9.4%)、「ボランティア活動と仕事は無関係であり、特に支援する必要はない」という意見は世代が上がるにつれて増加している(20歳代: 5.6%、60歳以上:21.9%)。
以 上
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