社会広聴アンケート

会社員と消費税-「会社員の声」アンケート-

~消費税を引き上げる前に行財政改革を推進すべき~

調査概要
内容

(財)経済広報センター(会長:豊田章一郎)では、このたび、「会社員の声」ネットワークに参加している全国の男女会社員 3,079名を対象に、「会社員と消費税」というテーマでアンケートを行い、その結果をとりまとめました。今回は、主婦を中心とした当センターの女性モニターであるライフレポーター 628名に対しても同じアンケートを行いました(会社員回答者 965名、回答率 31.3%/ライフレポーター回答者 481名、回答率 76.6%)。
4月1日より消費税率が3%から5%に引き上げられたことをうけ、今回のアンケートでは、消費税を中心として税金・税制全般について、会社員の方々の意見を聞いてみました。

その結果、
 1.消費税率の引き上げには6割以上が納得していない、
 2.今後の消費税率引き上げの前提条件は「行財政改革を進めること」である、
 3.7割以上が間接税よりも直接税の方に負担を感じており、約5割が「間接税の比率をより上げるべき」と考えている、
 4.行財政改革が十分に行われた上で歳入が不足した場合には税負担増もしかたがない、
と考えていることがわかりました。

<「会社員の声」ネットワーク>
 (財)経済広報センターでは、1992年から、就業人口の大きな割合を占める会社員の生の声を聴き、その内容を広く社会に発信していく「会社員の声」ネットワークの構築に努めてきました。
 


<第18回「会社員の声」アンケート結果要旨>

「消費税改定について」
 
 1.消費税率引き上げによる生活への影響 
消費税率引き上げによる生活への影響について尋ねたところ、「多少、影響が出ている」(67.6%)と「大きな影響が出ている」(12.7%)を合わせると80.3%となり、8割以上の人に何らかの影響が出ていることが分かった。
ライフレポーターも両者を合わせると88.8%であるが、「大きな影響が出ている」は22.7%となり、会社員を10ポイント上回った。
 
 2.消費税率引き上げについての納得度
消費税率引き上げについて納得しているかどうかを尋ねたところ、「どちらかといえば納得できない」(36.7%)と「まったく納得できない」(26.3%)を合わせると63.0%となり、6割以上の人が納得していないことが分かった。
ライフレポーターはこの傾向がさらに強く、両者を合わせると77.8%であった。
 
 3.消費税率引き上げに納得できる理由
前問で「全面的に納得できる」「どちらかといえば納得できる」と答えた人にその理由を尋ねたところ、「高齢化に伴う社会福祉充実などのための財源として必要だから」(74.3%)「直接税と間接税の比率を是正すべきだから」(67.3%)「財政赤字削減のための歳入確保に必要だから」(60.2%)が6割を超えた。
ライフレポーターでも「高齢化に伴う社会福祉充実などのための財源として必要だから」(91.6%)が最も多かった。(複数回答)
 
 4.消費税率引き上げに納得できない理由
前々問で「どちらかといえば納得できない」「まったく納得できない」と答えた人にその理由を尋ねたところ、会社員・ライフレポーターともに「行財政改革など国や地方自治体の歳出削減努力が不足しているから」が最も多く、各々92.3%、86.4%で圧倒的な第1位であった。(複数回答)
 
 5.今後の消費税率
今後の消費税率について尋ねたところ、「前提条件が満たされる場合に限り、税率の引き上げはやむをえない」(57.6%)が最も多く、約6割の人が、条件付きとはいえ税率の引き上げに理解を示していることが分かった。
一方、ライフレポーターでは「現行の税率で据え置くべきである」(38.5%)が最も多かった。税率の引き下げや消費税の廃止を求める声も会社員より強い。
 
 6.消費税率引き上げの前提条件
前問で「前提条件が満たされる場合に限り、税率の引き上げはやむをえない」と答えた人にその条件を尋ねたところ、会社員・ライフレポーターともに「行財政改革を進めること」が第1位で、各々88.8%、76.9%であった。
2位は、会社員が「直接税(所得税、法人税など)の減税を実現させること」(64.0%)、ライフレポーターが「社会福祉関連などに消費税の使途を限定すること」(58.3%)であった。(複数回答)


「直接税・間接税の比率について」
 
 7.個人対象の税金の負担感
個人対象の税金の負担感について尋ねたところ、「非常に重いと感じる」(44.4%)と「やや重いと感じる」(51.0%)を合わせると95.4%となり、ほとんどの人が「重い」と感じていることが分かった。
ライフレポーターでもこの割合はほぼ同じで、両者を合わせると96.9%であった。
 
 8.直接税と間接税の負担感比較
直接税と間接税の負担感について尋ねたところ、「直接税の方が負担を感じる」が72.2%となり、7割以上が直接税の方に負担を感じていることが分かった。
この割合は、女性より男性の方が高く(男性:77.7%、女性:58.0%)、20歳代から50歳代にかけて増加している(20歳代:57.9%、50歳代:84.1%)。
ライフレポーターでもこの割合は50.9%となり、会社員に比べると低い数値ではあるものの、過半数を超えた。
 
 9.直接税と間接税の比率
直接税と間接税の比率について尋ねたところ、「間接税の比率をより上げるべきである」(49.6%)が約5割で最も多かった。
この割合は、女性より男性の方が高く(男性:60.0%、女性:22.5%)、20歳代から50歳代にかけて増加している(20歳代:28.3%、50歳代:63.4%)。
「判断できない/わからない」も多く、会社員では30.3%、ライフレポーターでは51.4%に上っている。
 
 10.望ましい直接税比率
前問で「直接税の比率をより上げるべきである」と答えた人に望ましい直接税比率を尋ねたところ、「70%程度」(47.1%)が最も多く、以下「80%程度」(27.9%)「90%以上」(17.6%)の順となった。
ライフレポーターでも同じ順番となった(70%程度:47.5%)。
 
 11.望ましい間接税比率
前々問で「間接税の比率をより上げるべきである」と答えた人に望ましい間接税比率を尋ねたところ、「50%程度」(59.1%)が最も多く、以下「40%程度」(15.4%)「60%程度」(14.0%)の順となった。
ライフレポーターでも順番は同様だが、「50%程度」が減少し(44.2%)、「40%程度」が増加している(27.9%)。


「今後の税金のあり方について」
 
 12.今後の個人と法人の税負担のあり方
今後の税負担について尋ねたところ、「やむをえない場合は税負担増もしかたがない」(45.8%)が最も多かったものの、「どのような事態となってもこれ以上の税負担は避けるべきである」(19.9%)と「むしろ税負担を軽減すべきである」(26.3%)を合わせると46.2%に上り、現状維持もしくは軽減を求める声も多いことが分かった。
ライフレポーターではこの声がさらに多く、両者を合わせると54.7%となった。
 
 13.税負担増もやむをえない場合
前問で「やむをえない場合は税負担増もしかたがない」と答えた人に「やむをえない場合」の具体的内容を尋ねたところ、会社員・ライフレポーターともに「行財政改革が十分に行われた上で、歳入が不足した場合」が最も多く、各々60.9%、40.5%であった。
なお、ライフレポーターでは、「社会福祉負担などの歳出増が避けられない場合」(35.8%)が会社員(21.5%)よりも多かった。
 
 14.主な税金の負担感
主な税金について現在の負担感を尋ねたところ、
  1.「個人対象の直接税」は会社員・ライフレポーターともに8割以上が「高い」と感じている、
  2.「法人対象の直接税」は会社員の第1位が「高い」(36.6%)、ライフレポーターの第1位が「どちらともいえない」(45.1%)である、
  3.「間接税一般」は会社員・ライフレポーターともに「高い」が最も多いものの、その割合は各々38.3%、60.3%と、かなりの格差がある、
ということが分かった。

以 上
 
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