カーボンニュートラルの達成には、経済社会全体の根底からの変革(GX:グリーントランスフォーメーション)が必要です。オフィス、工場、店舗、家庭など、エネルギーを使う全ての場面において、エネルギーをできるだけ節約するとともに、そのエネルギーをカーボンニュートラルなものに変えていかなければなりません。
カーボンニュートラルの実現のために、多くの生活者の皆様に、カーボンニュートラルについて関心を持っていただくとともに、自分の生活にどのように関係してくるかについて考えていただき、何らかの形で貢献したいと考える方にはアクションを取っていただくことを期待したいと考えています。
ここでは、カーボンニュートラルと生活者の皆様との関わりや取りうるアクションについて考える上での参考となる情報やサイトを紹介していきます。
カーボンニュートラルの実現には、エネルギーを無駄なく使うことが不可欠です。家の中のキッチン、リビング、寝室、風呂、トイレなどには、エネルギーを使用する様々な製品があり、エネルギーの節約が重要です。電化製品の電気を節約することはもとより、ガスや石油の節約も、CO2の削減につながります。
また、製品を購入する際に、その製品の省エネ性能を良く見て決めることも大切です。特に、省エネ性能の高い製品に買い替えることは、CO2の削減につながります。
●世帯当たりのエネルギー消費原単位と用途別エネルギー消費 2022年度
出典:
資源エネルギー庁「令和5年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2024)」 (2024.6)をもとに作成
参考サイト
省エネ・節電お役立ち情報[電気事業連合会] 省エネ家電で温暖化防止[家電製品協会] 無理のない省エネ節約/省エネポータルサイト[経済産業省] 機器の買換で省エネ節約/省エネポータルサイト[経済産業省] デコ活-くらしの中のエコろがけ-[環境省] 省エネルギーラベル、統一省エネラベル[家電製品協会]
家庭においてエネルギーを多く消費するのが冷暖房です。冷暖房に必要なエネルギーを節約していくには、住宅そのものを省エネ仕様にしていくことが重要です。そのためには、冬に断熱効果をあげたり、夏に日射しを遮ったりすることが必要です。例えば、断熱性能の高いガラスを使うことで、CO2の削減につながります。
また、省エネ性能の高い住宅や、太陽光発電や蓄電池が設置された住宅を選ぶことも考えられます。さらにはエネルギー供給面での取り組みをあわせて行うことで、エネルギーの消費量をゼロにするネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)の開発・実装も進められています。
出典:
経済産業省ホームページ「省エネ住宅/省エネポータルサイト」をもとに作成
参考サイト
「エコガラス」[板硝子協会] 省エネ住宅/省エネポータルサイト[経済産業省] デコ活-くらしの中のエコろがけ-[環境省] ZEH関連情報[住宅生産団体連合会]イノベーションの推進には、そのための資金が不可欠です。個人として、カーボンニュートラルを、投資の側面から支援することも可能です。例えば、カーボンニュートラルに向けた積極的な挑戦を行っている企業の株式、カーボンニュートラルの実現に向けたプロジェクトの推進に充てられる債券(グリーンボンド)、あるいはそうした銘柄を組み入れた投資信託を購入することは、カーボンニュートラル実現への貢献につながります。既に投資を行っている、あるいは、今後投資を行うことを考えている方は、各々の投資の目的やリスク許容度などを踏まえて、グリーン投資を行っていくことも、一つの選択肢と考えられます。
参考サイト
グリーンボンドとは[環境省] SDGs債について[日本証券業協会] SDGs債の発行状況[日本証券業協会]グリーントランスフォーメーション(GX)は、あらゆる主体に行動変容を迫るものであり、その過程においては大きな社会変革を伴います。個々の国民や企業は大きな変化にさらされ、特に、産業構造転換の影響を受ける労働者に多大な影響を及ぼします。
●GXを通じた事業転換・労働移動のイメージ
(注)図はイメージとしての一例であり、計算データに基づくものではない。
出典:
日本経済団体連合会「グリーントランスフォーメーション (GX)に向けて」(2022.5)
カーボンニュートラルに向けた経済社会の根底からの変革であるGXには、大きなコスト負担が必要となります。
また、わが国は、エネルギー資源に恵まれているとは言い難く、地理的制約から外国との間でエネルギーの融通が困難であり、諸外国と比べて大きなハンディキャップを負っていることから、今後、大きなコスト負担が避けられないと考えられています。
現在、再生可能エネルギーの導入を促進するための費用が、再エネ賦課金という形で、通常の電力料金に加算されていますが、今後、変革のためのコスト負担が、直接的・間接的に、生活にさらに影響を与える可能性も少なくないと思われます。
生活者の皆様には、カーボンニュートラルの実現への道筋と、そのためのコスト負担について、関心を多く持っていただきたいと考えています。
●標準家庭1か月の電気料金に占める再エネ賦課金の推移(東京電力エナジーパートナーと契約の場合)
電気料金…【平均モデル】従量電灯B・30A契約、使用電力量:260kWh/月(2012~2016年4月分は290kWh、2016年5月分以降は260kWh)、再生可能エネルギー発電促進賦課金(2012年8月分以降)、太陽光発電促進付加金(2010年4月分~2014年9月分まで)、口座振替割引額、消費税等相当額込。各月の平均。
再エネ賦課金…2012~2015年度は標準家庭300kWh/月、2016~2022年度は標準家庭260kWh/月で算出。
出典:
平均モデルの電気料金…東京電力ホールディングスホームページ「電気料金・制度;平均モデルの電気料金/数表で見る東京電力」(2022.1時点)をもとに作成
再エネ賦課金…経済産業省ホームページ「FIT制度における2022年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました」(2022.3)などをもとに作成