企業と生活者懇談会
2010年3月11日 兵庫
出席企業:バンドー化学
見学施設:加古川工場

「縁の下の力持ち~基幹産業を支えるコンベヤベルト~」

(概 要)
3月11日、兵庫県加古川市のバンドー化学加古川工場で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員20名が参加し、同社や工場の概要について説明を受けた後、コンベヤベルト生産の様子を見学。続いて質疑懇談を行いました。
バンドー化学からは、吉井満隆執行役員・経営企画部長、田中康則加古川工場長、松尾昭産業資材事業部企画管理部長、片岡真一加古川工場総務グループ長、経営企画部の長曽我部茜氏、東條直美氏が出席しました。
バンドー化学からの説明
■バンドー化学について■
 バンドー化学は、1906年(明治39年)に創業したゴム・プラスチック製品のメーカーです。経営理念に、「新たな付加価値と、より高い品質の製品を提供することで社会へ貢献する」ことを掲げています。
 本社は、創業100周年記念事業で建設され、神戸市のポートアイランドに構えています。組織は、伝動事業部(自動車や産業機械用伝動ベルト)、MMP事業部(プリンターや複写機のパーツ)、産業資材事業部(コンベヤ、軽搬送用の樹脂ベルト)、化成品事業部(フィルムシート)の4 つの事業部から成っています。工場は4 カ所(南海、和歌山、加古川、足利)にあり、支店は3 カ所(東京、名古屋、大阪)にあります。国内関係会社は16社、海外関係会社は18社(東南アジア、中国、韓国、ヨーロッパ、インド、米国)あります。海外は、主に伝動事業部とMMP事業部の製造販売拠点となっていますが、インドネシアにはコンベヤベルトの製造・販売拠点があります。

■コンベヤベルトの歴史と仕組み■
 コンベヤベルトの歴史の始まりは古代エジプトにさかのぼり、麻帆布ベルトを用い、レンガを搬送したとの記録があります。産業としては、1866年(慶応2 年)、英国での帆布入りゴムコンベヤベルトの運転が発端となり、1900年代にかけて欧米で盛んに研究開発されるようになりました。
 バンドー化学は、1906年に、当時主流であった皮革製のベルトに代わる木綿のベルト「阪東式木綿調帯」の製造をスタートしました。その後、海外ゴムメーカーの日本進出を機に開発に力を入れ、1921年(大正10年)には国産初のゴムで被覆したコンベヤベルトの製造に成功しました。通常、コンベヤベルトは帯状に生産し、使用する現場で装置に引き込みますが、今では一般的なこの方式も当社が国内で初めて行いました。

■コンベヤベルトとは■
 コンベヤ装置とは、バラ物(石炭、鉱石、土砂、穀物など)や、かさ物(箱、袋、包装物など)を連続的に運搬する機械装置のことで、コンベヤベルトとは、その装置の中の主要部品で、運搬物を搬送させる部品のことを指します。
 コンベヤベルトの運搬に際し、物を支える役目を果たすのが、心体(しんたい)と呼ばれるナイロンやポリエステル製の帆布、スチールコードなどです。コンベヤベルトは、心体と、それを覆い保護するためのゴム製のカバーベルト、それらを一体とさせるために接着の役目を果たす接着ゴムから成り立っています。心体の素材により強度を変えたり、ゴム配合技術により、カバーベルトに耐油や耐熱、難燃など差別化を図ることはもちろん、形状にも工夫を施し、急傾斜での運搬など、用途に応じた様々なものをつくることができます。動く歩道(羽田空港の第2 ターミナル、海外のディズニーランドなど)や関西空港の埋め立ての際にも使用されています。

■加古川工場について■
 加古川工場は、コンベヤベルトの主力工場として1968年(昭和43年)に操業しました。従業員は363名です。ここでは、樹脂ベルトやその他工業用品なども生産しています。コンベヤベルトと樹脂ベルトを同じ工場で生産していることは全国的にもまれであり、「世界ナンバーワンの搬送ベルト工場」を目指し、お客さまに喜ばれる品質、無災害と健康な職場、環境の改善を課題に日々努めています。
 ウレタンやゴムなどの工業用品の生産も合わせ、毎月600トンものゴムが使用されています。生産比率はコンベヤベルトが6 割、樹脂ベルトが2 割、その他工業用品が2 割です。ここでつくる工業用品には、鉄道のレールの下に敷くゴムや、車両用のゴムの床材などがあります。レールの下にゴムを敷くことで、鉄道の振動や騒音を抑える効果があります。床材は、難燃性のゴムの特徴を生かしたもので、数年前に起きた韓国の地下鉄での車両火災をきっかけに、海外にも普及しています。ほかには、ゴムの堰(ダムの小型版)、もみすりロール(もみがらと玄米を分ける装置)やウレタン製の各種ベアリングを生産しています。


見学の様子
■工場見学について■
 コンベヤベルトの生産工場を見学しました。広い工場に一歩入ると、ゴムのにおいがします。ゴムの原料や加工途中のベルトなどが大量にあり、それらは、種類ごとに整理して置かれていました。原料となる天然ゴムは輪ゴムのような色ですが、これに様々な化合物を配合することにより、性質の違うものになります。工業用に使われるベルトといえば黒っぽいものをイメージしますが、これらはカーボンを混ぜ合わせてつくっているからです。巨大な機械でゴムを過熱して練り上げ、ローラーで延ばす様子は、大きなパスタマシンでパスタを打っているところを想像させるものでした。実際に、厚みのあるベルトは、パスタのように何層も折りたたんでは延ばし、厚みを出すとのことです。当日は、ゴムに接着剤を浸透させ、心体である帆布と接着させている様子などを見学しました。
 参加者は、巨大な装置の数々やコンベヤベルトの製造工程に興味津々、熱心に質問していました。
バンドー化学への質問と回答
社会広聴会員:
コンベヤベルトの使われ方を教えてください。
バンドー化学:
コンベヤベルトは、「縁の下の力持ち」の役目を担っています。例えば、火力発電の燃料である石炭の搬送に使用されます。石炭を燃焼させて電気をつくることを考えれば、コンベヤベルトがなければ電気ができないともいえます。また、鉄をつくるために石炭や鉄鉱石などの原材料を運ぶときにも使われます。物を大量に、距離や時間にかかわらず、運搬する設備の中に使われています。また、食品の分野でも使われており、パンやお菓子の製造の際、材料から製品に至るまで、樹脂ベルトで運ばれてつくられます。人手が掛からず製品になる陰には、コンベヤベルトの活躍があります。
 
社会広聴会員:
バンドー化学が誇る技術を教えてください。
バンドー化学:
コンベヤベルトを日本でつくり上げたパイオニアであると自負しています。生産設備は決して新しいものではありませんが、日本から世界に供給できる製品をつくり上げています。お客さまのご要望に応じ、材料のゴムの配合に工夫をしたり、心体の素材を選びつくり上げます。出来上がった製品の形は同じでも、長年培った技術で機能の異なるものをつくれることが誇りです。
 
社会広聴会員:
海外展開での苦労などを聞かせてください。
バンドー化学:
日本の炭鉱では、地中深く海底のさらに下まで掘り、採掘したものをベルトで運びますが、地中の奥深くは常に圧力がかかり、湿度や海水、ガスの発生など、通常の屋外での作業より過酷な環境で使われます。日本での石炭の採掘は終わりましたが、長く日本の炭鉱での作業に携わったおかげで過酷な状況に耐えられる技術が培われました。このメイド・イン・ジャパンの技術は、今では世界各地で利用され、海外の奥地でも当社のコンベヤベルトが使われています。
当社には、神戸市が認定した技術マイスターの小田信之氏が在籍しています。コンベヤベルトは、製品となった後、使われる現場で装置に取り付け、ベルトの端と端をつなぐ作業があります。また、使用中にも補修やベルトの交換などが必要になる場合もあります。彼は、過酷な環境下でも、現場で身振り手振りで仕事をしながら、110カ国以上でコンベヤベルトをつくり上げ、世界の鉱山で「ミスターバンドー」といわれる人物です。現在は後進の指導にあたる小田氏に追随する若手技術者も、どのような環境でも使えるコンベヤベルトをつくるために頑張っています。
 
社会広聴会員:
環境への取り組みについて教えてください。
バンドー化学:
環境にやさしい製品開発により、お客さまが当社製品を使用したときに省エネや、環境に寄与できると考えています。また、製品をつくる過程で有害物質を削減するため、設備の改善も実施しています。各国の規定で使用を禁止されている薬品に代わる材料を改良開発し、環境に配慮しています。
 
社会広聴会員:
どのような製品の売り上げが伸びていますか。
バンドー化学:
環境への関心の高まりから、省エネ効果のある製品の売り上げが伸びています。また、自動車や二輪車用のベルトも、中国やアジアでの需要の増加に伴い伸びています。当社の自動車向け伝動ベルトは、世界でも高いシェアを占めています。
 
社会広聴会員:
将来の展望や課題は。
バンドー化学:
産業の成長そのものが横ばいの日本では、コンベヤベルトの市場はほぼ停滞しています。海外には、まだ資源開発されるところがあるので、そこに目を向けていくつもりです。
また、製品開発では、環境・省エネ・クリーンの3つのキーワードを念頭に置いています。主力製品の自動車の伝動ベルトは全事業の3分の1を占めていますが、今後、電気自動車が普及すると、それらは使われなくなる可能性があります。今後は、当社の核である「伝える、運ぶ、塗る」機能技術をうまく融合させた製品開発を考えています。また、新エネルギー(太陽光や風力など)領域でのビジネスも模索しています。
参加者の感想から
●ベルト以外に身近な製品の中に使われている部品がたくさんあることを知りました。災害ロボット、携帯電話、医療に関する製品は、消費者に夢を与えてくれる分野であり、今後に期待したいと思いました。
 
●工場見学を通じて、人の経験、勘が技術や技能に生かされている点、オンリーワン製品が、身近な地域で生産されている点、単純に見えても、奥深い装置で生産されている点などが特に感動しました。
 
●環境保全と環境汚染予防を重要な経営課題とされ、ゼロエミッションを目指していることに感心しました。
バンドー化学ご担当者より
  生活者の皆さまとの懇談は初めての試みでした。どのような質問が出るのか、関係者一同内心ドキドキしていましたが、当社ではこれまでステークホルダーとの対話の機会が少なかったので、今回の懇談会は、当社のことを知っていただき、社会の声を聞くことができた素晴らしい機会になりました。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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