企業と生活者懇談会
2009年11月17日 神奈川
出席企業:雪印乳業
見学施設:横浜チーズ工場

「食について考える~おいしい笑顔のあるくらし」

2009年11月17日、神奈川県横浜市の雪印乳業横浜チーズ工場で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員22名が参加し、同社やチーズ 工場の概要について説明を受けた後、チーズ製品の加工の様子などを見学し、続いて質疑懇談を行いました。
雪印乳業からは、横浜チーズ工場本田孝夫総務課長、古谷耕一製造課長、加藤義信チーズハウス館長、スタッフの皆さん、雪印メグミルクから広報部広報グルー プの松本幹治課長、松繁かな子氏が出席しました。
雪印乳業からの説明
■雪印乳業について■
 雪印乳業の前身である北海道製酪販売組合(酪農民の協同組合)は、1925年(大正14年)5月に設立されました。バターの製造からスタートし、 1928年(昭和3 年)にアイスクリーム、1933年(昭和8年)にはチーズの本格製造も始めました。1950年(昭和25年)に雪印乳業(株)を設立。1981年(昭和 56年)には医薬品分野への進出など事業の多角化を行い、1992年(平成4年)にオーストラリアなどで、海外生産・販売ビジネスへも進出しました。その後、2000年(平成12年)の食中毒事件、2002年(平成14年)に発覚した牛肉偽装事件を機に、牛乳、アイスクリーム、冷凍食品、粉ミルク、医薬品の5 つの事業を分社化し、2003年(平成15年)には新しい企業理念を発表しました。
 グループ会社には、酪農家向けの飼料製造販売などを行う雪印種苗(株)や粉ミルクの製造販売を行うビーンスターク・スノー(株)、海外のチーズを輸入する商社チェスコ(株)など40社あります。
 そして、2009年(平成21年)10月には、分社化した牛乳事業と全農直販などにより設立された日本ミルクコミュニティ(株)と経営統合し、雪印メグミルク(株)が誕生しました。
 現在、雪印乳業は、雪印メグミルク傘下の事業会社として、バター・チーズなどの乳製品の製造販売を行っています。

■雪印のコーポレートマーク■
 創業の翌年から使っている雪印のコーポレートマークは、雪の結晶の中に、北の大地に輝く北極星がデザインされています。当時の技術担当者だった佐藤貢技師と、販売担当の瀬尾俊三主事(後の会長、社長)の母校である旧札幌一中(現札幌南高校)の校章の雪のマークにヒントを得、それに北海道を象徴する北極星を組み合わせて考案しました。

■2つの事件を乗り越えて■
 雪印乳業食中毒事件は、2000年6月27日にお客さまからの苦情第一報を受けました。その後、判断や告知の遅れ、お客さま対応やマスコミ対応で混乱を招き、最終的に1万3420人のお客さまが体調不良を訴えるという大きな事件となりました。この反省から、検査体制の充実を図るとともに、マニュアルの再徹底を行いました。また、お客さまからいただいたご意見が、同一商品で2 件以上あった場合には、コンピューターで即座に把握できるシステムを導入するなどの対応も行いました。食中毒に対する知識不足が原因で社会に大変な迷惑を掛けてしまったとの思いから食品衛生研究所も設立しました。
 しかし、食中毒事件からおよそ1年半後の2002年1月に、今度はグループ会社であった雪印食品による牛肉偽装事件が発覚しました。雪印食品は同年4月に解散しました。この不祥事の背景には、内向きの企業体質、社会常識との乖離、企業倫理の徹底不足、縦割りの組織などがありました。そこで、今度こそ真の信頼回復を図るべく、社外取締役として元全国消費者団体連絡会事務局長の日和佐信子氏を招聘、企業倫理委員会の設置など、企業倫理の徹底と体質改善に取り組んでまいりました。また、2002年からは「お客さまモニター」との対話も継続的に実施しています。
 2つの事件を教訓に、雪印は「安全・安心に向き合う雪印に変革する」「お客さまに向き合う雪印に変革する」「食の責任を認識する雪印に変革する」という 3つの改革の柱を掲げました。これをもとにした企業理念「おいしい笑顔のあるくらし」のため、日々努力しています。

■横浜チーズ工場について■
 横浜チーズ工場は、1963年(昭和38年)11月にチーズ専門工場として設立されました。主に、東日本地域向けにプロセスチーズの製造・配送をしています。1965年(昭和40年)に「6Pチーズ」と「ベビーチーズ」を、1972年(昭和47年)には「スライスチーズ」の生産を開始しました。
 この工場の敷地面積は約4万m2で、東京ドームとほぼ同じ大きさです。北海道やオセアニアなどからの原料チーズをもとに、1 日およそ140トンもの製品を製造しています。これは、8枚入りスライスチーズ、97万個分の量に相当します。生産量のうち7 割は家庭向けで、残りの3割はレストランや製菓業者向けの業務用です。
 工場では、小中学生や一般向けの見学を幅広く受け入れており、年間約2万人が訪れています。料理講習会や親子体験教室などの催しも夏休みなどに実施しています。

見学の様子
■生産ラインの見学と試食■
 はじめに、原料チーズが製品になるまでの流れを、ビデオで見ました。見学では、ガラス越しにチーズを溶かしたり充てんする機械のほか、「6Pチーズ」が高速で箱詰めされる様子を間近に見ることができました。また、「6Pチーズ」が三角型に包装される様子が模型で示してあり、分かりやすく見せる工夫がなされていました。
 見学後、懇談会場でナチュラルチーズとプロセスチーズの試食を行いました。

雪印乳業への質問と回答
社会広聴会員:
ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いは。
雪印乳業:
ナチュラルチーズは、チーズを作りあげた菌や酵素が生きて活動しているチーズで、熟成が進むとともに味が変化していきます。一方、プロセスチーズは、原料 となるナチュラルチーズを砕いて熱を加えて溶かし、殺菌して容器に詰めたもので、保存性がよく味が一定なのが特徴です。
 
社会広聴会員:
乳製品の良い点を教えてください。
雪印乳業:
牛乳には、体に不可欠な5大栄養素((1)炭水化物、(2)脂質、(3)タンパク質、(4)ビタミン、(5)ミネラル)が含まれていることです。中でもタ ンパク質中の必須アミノ酸9種類が含まれていることや、カルシウムが豊富に含まれていることが挙げられます。カルシウムは骨と歯をつくります。体内のカル シウムのおよそ99%が骨と歯をつくりますが、残りの1%で筋肉の収縮や神経の伝達、血液の凝固、精神を安定させるなど、身体に欠かせない役割を果たして います。この1%のカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶け出してしまうため、しっかり摂取する必要があります。チーズの栄養成分は、牛乳のおよ そ10分の1に凝縮されていますので、これらの栄養素を手軽に取ることができます。ただし、ビタミンCと食物繊維が含まれていないので、野菜や果実などと 一緒に食べるとバランスの良い食事になります。洋食だけでなく、和食のメニューとも相性が良いので、取り入れて調理するとよいでしょう。
 
社会広聴会員:
食育活動について教えてください。
雪印乳業:
近年、「食品の製造過程が見えにくい」「家族で食卓を囲む機会が減少している」「偏食・欠食の増加」「食への関心 低下」などが社会的な問題となり、 2005年(平成17年)には食育基本法が施行されました。また、当社にも乳製品についての誤解(牛乳を飲むと太るのでは?など)のお問い合わせが寄せら れています。そこで、雪印は「食べ物をえらぶこと」「食べ物の味がわかること」「料理ができること」「食べ物の命を感じること」「自分のからだを大切にで きること」の『5つの大切なこと』を育む食育活動を行うことにしました。雪印のコーポレートメッセージは「おいしい顔。」です。食育は「心に残るおいしい 顔の実現」として実施しています。食育活動で小学生に「今まででおいしい顔になったのはどんなとき?」と問い掛けると、単に好きな食べ物を食べたときでは なく、「誰と・どこで・どんなふうに・食べた」という答えが返ってきます。こういう場面こそが「心に残るおいしい顔」に必要なことだと考えています。
 
社会広聴会員:
食品のトレーサビリティーはどうしていますか。
雪印乳業:
商品には製造工場と賞味期限、ロット番号が記してあります。それらの情報から、当該商品に使われた原料ロットの特 定ができます。また、そのロットの商品が当社の営業倉庫から出荷された特約店を特定することができます。
 
社会広聴会員:
創業の精神「健土健民」について教えてください。
雪印乳業:
雪印の前身、北海道製酪販売組合の創業者のひとりである黒澤酉蔵が、雪印乳業(株)の創業の精神を表す言葉として 「健土健民」を唱えました。健やかな土地づくりが、健やかな民を育てるという意味です。土地から作物が取れ、作物は飼料になる。飼料を家畜が食べ、家畜の ふんは堆肥になり、土に返る。現在の環境問題にも通ずるものだと思います。また、牛の乳は、人を健康にする。牛乳・乳製品は最高の栄養食品であり、それを 提供することで日本人の健康向上に寄与するとも言っています。創業者は当時から明確に企業のミッションを示しています。今もなお、北海道酪農の構想を示す 「健土健民」の精神、企業理念として受け継がれています。
 
社会広聴会員:
企業価値をどのように考えていますか。
雪印乳業:
2つの事件の後、世間から会社の存在自体を否定されたような状況の中でも、「この商品がないと困る」というありが たいお声をたくさん頂戴しました。それこそが社会の中での責任であり、企業にとってはお客さまからの信頼が全財産だと強く感じました。その気持ちに応える べく、事件後の改革を持続させながら、今後も企業価値の向上に努めていきたいと思っています。また、乳製品の研究開発を進め、メタボ対策に効果のある商品 や早く熟成できるものなど機能的な商品展開も進めていきたいです。
 
参加者の感想から
●横浜チーズ工場は、ナチュラルチーズを原料にプロセスチーズを各種商品化して製造、配送している工場だということを知りました。1963年(昭和38 年)設立の古い工場でしたが、よく手入れされていて大事に使われていることに好感が持てました。

●会社の歴史や日ごろの運営についてご説明いただき、感激しました。特に二度にわたる品質問題で社員一丸となって対応し、これをバネに着々と会社経営を持 続されていることが理解できました。

●企業不祥事への反省に立った食品を扱う企業の安心・安全への配慮には、並々ならぬものがあり、さすがと感じ入りました。

●チーズがいかに健康面で優れているかの周知がまだまだ不足していると思いました。

雪印ご担当者より
 最初はどんな質問が出るか不安でしたが、頂いた疑問やご意見を通して、改めてたくさんの「気付き」を頂きました。厳しくも温かいお言葉、本当にありがとうございました。

お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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