企業と生活者懇談会
2004年7月23日 東京
出席企業:花王
見学施設:すみだ事業場

「生活に身近な企業を考える」

花王株式会社は、化粧石鹸、シャンプー、洗剤など、日常生活に密接した商品を開発・販売しています。最近では、食用油「エコナ」や飲料「ヘルシア緑茶」がヒット商品となるなど、新規分野の開拓にも成功しています。
7月23日、東京都墨田区にある花王の「すみだ事業場」で、「企業と生活者懇談会」を実施しました。社会広聴会員19名が施設見学と質疑懇談を通じて、日常生活と企業との関わりを考えました。花王からは、広報部門の古瀬和夫部長、滝本忠課長が出席しました。
花王からの説明
■花王の歩み■
 1887年(明治20年)、花王の前身の「長瀬商店」が創業し、1890年(明治23年)、日本で初めて国産ブランドの高級化粧石鹸を製造しました。これが「花王石鹸」のはじまりです。
 その後も、快適さや簡便さといった付加価値の高い商品の開発に一貫して取り組み、シャンプーや洗剤などの定番商品を開発・発売する一方で、入浴剤や毛穴パックなどといった革新的な商品でも成功を収め、その結果、2003年度まで23期連続の増益を達成しています。
 商品開発にあたっては、「商品開発5原則」をよりどころとし、コスト削減、消費者へのリサーチや消費者相談対応、環境問題などにも積極的に取り組んでいます。

「商品開発5原則」
1.社会的有用性の原則
2.創造性の原則
3.パフォーマンス・バイ・コストの原則
4.調査徹底の原則
5.流通整合性の原則

※増益
会社がある年度に事業活動でもうけた額(利益)が、前年度の利益を上回ること。


■すみだ事業場■
 東京都墨田区にあるすみだ事業場は、化粧品工場、研究開発施設、消費者相談センターなどからなり、1万3千坪の敷地に約1800名の社員が働いています。なかでも事業場内にある東京工場は1923年(大正12年)より操業しており、花王の中で最も歴史がある工場です。
 化粧品「ソフィーナ」の工場は、明るさや清潔さが感じられる内装になっています。また、見学コースが製造ラインに沿って配置されており、原材料の搬入から商品の搬出までの工程を順序に従って見学することができます。
 「美容センター」や「サイエンスプラザ」では、主に一般モニターを対象とし、頭髪や皮膚に関する研究開発が行われています。
 事業場内にはこのほか、小博物館が設けられており、花王の象徴的商品である石鹸、シャンプー、洗剤を通じ、花王および主力商品の歴史を理解することに役立っています。

■消費者相談センター■
 花王では、消費者の声を積極的に採り入れ、商品開発に反映させるため、「消費者相談センター」を設けています。ここには消費者からの問い合わせ、意見、苦情の声が年間約12万件寄せられます。
 こうした声を蓄積する情報データベース「エコーシステム」を、1978年に導入しました。このシステムの導入により、消費者からの問い合わせに対して素早く情報を提供することができるようになりました。また、蓄積されたデータを整理し体系化することで、商品の開発や改良に役立てています。
 当日は、この「エコーシステム」を用いた、消費者対応の模擬実演が行われました。
花王への質問と回答
社会広聴会員:
環境問題にはどのように取り組んでいますか?
花王:
かつての洗剤はリンを含んでいて、これが環境に負荷を与えているとされていたため、花王は国内向け洗剤をすべて無リン化しました。また、洗剤がバクテリアに素早く分解されやすいよう、界面活性剤をできるだけ少なくする研究を進め、従来よりも30%程度、量を削減しました。その一方で、洗浄力をアップさせています。
実際に洗剤がどれだけ環境に影響を与えているかを調査するため、河川における界面活性剤の濃度の定点観測を行っていますが、魚などの生物に影響がないことを確認しています。
また、洗剤容器のコンパクト化や、詰め替えタイプの商品の開発などに取り組み、ゴミの削減にも努めています。
このように、単に商品を作るだけではなく、使用後のリサイクル、リユースを考えて商品を開発しています。今後はこうした取り組みを花王だけで終わらせることなく、工業界全体に広めていきたいと考えています。

※リン
元素の一つ。動植物の成長に欠かせないものだが、河川などでリン化合物が増えすぎると、プランクトンが異常増殖し、水質が汚染されるなどの環境問題を引き起こすとされる。

※界面活性剤
洗剤の材料で、衣類や食器などの洗浄物に洗剤をなじませ、油汚れを水に溶かし、洗浄物から分離させる役割を持つ。

 
社会広聴会員:
エコーシステムのほかにも、消費者の声に対する取り組みはありますか?
花王:
お客さまにとって商品がより便利な物になるように、随時商品の改良を行ったり、よくあるQ&Aをホームページで公開することで、お客さまからの問い合わせや苦情を減らす努力をしています。
また、消費者相談センターはお客さまとのコミュニケーションの場でもあります。お客さまに説明し、ご納得いただけるよう、相談員の質の向上にも努めています。
 
社会広聴会員:
最近、健康食品にも力を入れているとのことですが、こうした食品の安全性や効果は検証しているのですか?
花王:
安全性については、実験や社内モニターによる調査を通じて、問題がないことを確認しています。
効果については、社内モニターを対象に、医療機関による臨床試験を行っており、調査結果をホームページで公開しています。もちろん個人差はありますが、食品による体質改善効果が認められるという結果が出ています。
 
社会広聴会員:
「洗剤のいらない洗濯機」が発売されていますが、このままだと洗剤市場に大きな影響があるのでは?
花王:
「洗剤のいらない洗濯機」は、超音波で物理的な汚れを落とすものです。消費者が、泥や黄ばみといった目に見える汚れが落ちればそれでよいと考えているか、それだけでは満足できないかによって、「洗剤のいらない洗濯機」と洗剤とを使い分けるのではないでしょうか。
最近の洗濯機は、トレンドとしては、全自動、節水、省エネ型に移行しており、衣料用洗剤もそれに応じて、性能を最大限に上げられるように一層改良されています。
 
社会広聴会員:
花王は以前フロッピーディスク事業に参入し、数年前に撤退されましたが、撤退を判断した理由について教えてください。
花王:
花王のフロッピーディスク事業は、化粧品のファンデーション技術に着目し、プラスチックの板に磁気をむらなく薄く塗る技術に応用したものでした。しかし、この分野は急速な技術の進歩とともに、激しい価格ダウンの影響により、将来的に利益が期待できなかったことから、「利益ある成長」という経営戦略に沿う形で、1998年度に撤退しました。その結果、花王全体の売り上げは減少しましたが、逆に収益性は向上しましたので、利益重視の経営の好例といわれることがあります。
 
出席者の感想から
●見学では、昔懐かしい品々の展示を見て、子どもの頃を思い起こし、感慨無量でした。また、懇談会では活発で厳しい意見に一つひとつ誠実に答えてくださっていたのが、印象に残りました。

●新製品の開発には、これまでに蓄積された技術力と商品開発5原則を基本として、全社一丸となって取り組んでこられたために、ヒット商品ができたというご苦労を知りました。

● 事業展開については、戦略的かつ体系的に実行しておられ、大変感銘を受けました。また、消費者相談センターについては、顧客中心の基本方針を徹底し、IT技術をフル活用しておられるのが印象に残りました。顧客の要望、疑問を精力的に吸い上げ、的確な対応とフィードバックを図っておられるのは賞賛に値します。

●業種柄、環境問題がクローズアップされましたが、消費者のニーズと環境保護とのバランスをいかにとっていくか、今後ますます大きな課題となっていくと思われます。

●先日、雑誌のCSR特集で、花王が高く評価されていました。これはやはり「エコーシステム」などによる、消費者の声を誠実に製品づくりに生かす姿勢が認知されている結果だと感じました。

※CSR
「企業の社会的責任」。企業が利益の追求だけでなく、顧客、従業員、地域社会などとの関係を大切にするために行う、法令の順守、情報開示、環境問題への取り組みなどといった活動。


●消費者本位のモノづくりを究めるという、社是の一環をうかがい知ることができました。今後とも住みよい安全な生活環境を守るための企業活動を期待しています。特に環境負荷の低減活動につきましては、「花王だけはきちんとやっている」ということにならないよう、洗剤業界をリードされて、日本だけでなく世界の環境保全に努めていただきたいと思います。

●企業の方のお話を伺って、消費者として商品選択の重要さを感じました。
 多様な生活スタイルがあるため、自分の価値観に合った商品を選ぶための、表示を含む情報開示がよりなされることを望みます。

●工場は品質管理が行き届いており、案内も大変良かった。製品の種類が多く、家でも花王の製品を様々なところでたくさん使っているのだなと、改めて感じた。

●「モノづくりを見る」だけではなく、環境への配慮の話や、エコーシステムを活用してお客さまの声を商品に生かしているあたりの話も分かりやすく説明をしていただき、まさしく「花王ファン」が増えるような内容でした。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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