企業と生活者懇談会
2009年8月27日 東京
出席企業:佐川急便
見学施設:東京本部

「物流最前線~暮らしと産業を支えるライフライン~」

2009年8月27日、東京都江東区の佐川急便本社東京本部で、「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員20名が参加しました。同社の概要について説明を受け、「佐川急便で働く人の一日」をまとめたビデオを視聴した後、東京メールセンターおよび東京店の見学、荷物の発送体験、質疑懇談を行いました。
佐川急便本社からは、北東卓営業戦略部長、石野順三広報部長、大越康成人事・安全管理部課長、佐々木正宣営業戦略部課長、佐賀俊太郎人事・安全管理部係長、湯澤努広報部係長、小内良夫総務部係長が出席しました。
佐川急便からの説明
■SGホールディングスグループと佐川急便について■
 佐川急便は1957年(昭和32年)3月に京都府で創業し、現在は持株会社「SGホールディングス」の事業会社として運営しています。
 SGホールディングスグループは佐川急便をはじめ、引越業務を行う佐川引越センターなどの国内法人のほか、アジア各国に海外法人を設けるなど、グローバルに展開しています。グループ全体の営業収益は2008年度(平成20年度)で8872億円、社員数は4 万4624人です。佐川急便はそのうち収益8029億円、社員数3万8585人と、グループのコア事業となっています。
 佐川急便は、企業や個人宅などの荷物の集配事業を中心に、全国357店所、トラックなどの車両2万6623台で営業しています。

■企業理念「飛脚の精神(こころ)」■
 市場環境が劇的に変化している中で、「変化に迅速に対応する体質」を心掛ける一方、創業以来変わらぬ企業理念を持っています。それが「飛脚の精神(こころ)」と呼ばれるものです。これは、「迅速・確実・丁寧」をモットーに「顧客第一主義に徹する」「地域社会の発展に奉仕する」「責任と誠意を使命とする」という考え方です。これを全社員が入社以来ずっと念頭において事業を展開しています。特に、運送業という特性上、公道を利用しているため、「地域社会の発展に奉仕する」観点から、交通安全教室に力を入れています。2008年度は子どもや高齢者など、約11万人もの参加がありました。

見学の様子
■関東支社と東京店の見学■
 関東支社東京センターでは、南関東地区に配達される荷物がすべて集約され、各営業店に配送されます。
集約することで効率化を図り、顧客満足を得るという姿勢に参加者は感銘を受けていました。また、ここは巨大なターミナルになっており、荷受場には10トントラックが何十台も止まっていて、その姿は迫力満点でした。
 その後、東京都中央区内の集配業務を担当している東京店も見学しました。ここの安全推進課では、運転手や車両の運行を管理し、安全を守るためにトラックの日常点検はもちろん、運転手のアルコールチェック、速度記録の管理など、徹底して行っている姿が印象的でした。
 また、トラックの運転手は、終日一人で外勤していることも珍しくありません。運転手が毎日必ず立ち寄る場所に大きくスローガンを書き、的確に安全についてのメッセージを伝えていました。
 東京メールセンターには「飛脚メール便」を全国の営業店ごとに仕分けする巨大な機械がありました。この機械は、数字はもちろん、漢字の判別もでき、送付物が読み取り部を通過すると一瞬で仕分けされていました。送付物はバーコードで管理されているため、どこにあるのかが逐一把握できます。

■集配トラックのイメージを変える「天然ガストラック」■
 天然ガストラックと、天然ガス充てんスタンドも見学しました。佐川急便では、環境を考え、天然ガストラックの導入を推進しています。現在、約4300台保有しており、2012年度中に7000台の導入を目指しています。街中に、ほとんど天然ガススタンドがないことが導入の大きな障壁になっているため、自社の営業店内に天然ガス充てんスタンドを23カ所、設置しています。
 実際に天然ガストラックのエンジンをかけ、見学者が排気口の周辺に立ってみましたが、排気ガスに粒子状物質が入っていないため、驚くほどクリーンでした。また、運転感覚は従来のディーゼルエンジンのものとほとんど変わらないとのことです。
 参加者からは、天然ガス車がさらに広まってほしいとの声が聞かれました。

佐川急便への質問と回答
社会広聴会員:
荷物を引き受けてから配達するまでにはどのような苦労がありますか。
佐川急便:
一番苦労しているのは個人さまへの配達時にご不在の場合です。一回目の配達で完了する割合は、平均すると50%程度です。単身でお住まいの方が多い地区では約20~30%になるケースもあります。再配達は夜7 ~9時ごろを希望する方が多く、同じ時間帯に集中した場合は、担当ドライバーだけで配達ができなくなります。もちろん、近隣のドライバーにも応援を頼みますが、それでも追いつかないときにやむを得ずお客さまとの約束の時間に行くことができず、ご迷惑をお掛けすることがあります。これがご家庭にお届けするまでの一番の問題点と苦労です。
 
社会広聴会員:
モーダルシフトの取り組みについて教えてください。
佐川急便:
トラックによる 運送は比較的環境負荷が大きいものです。そこで、これまでトラックで運んでいたものを船や鉄道で運び、環境負荷を減らす取り組みを行ってきました。この取り組みの中で、東京と大阪を特急コンテナ電車で結ぶ、「スーパーレールカーゴ」を2004年(平成16年)にJR貨物と共同開発しました。積載量は往復で10トントラック56台分、最高時速130km、片道約6 時間で結びます。さらに、「スーパーレールカーゴ」を利用する分、長距離輸送に携わる乗務員が少なくて済むため、乗務員の労務環境の改善にもつながっています。
 
社会広聴会員:
災害時の危機管理および安全への取り組みについて教えてください。
佐川急便:
地震、豪雨、火災の事象については社内規定を設け、どの時点で車両を離れて避難するかなどの基準を設けています。 また、災害時の危機管理について、梅雨時と台風シーズンの年2回、全ドライバーで訓練を行っています。設備としては、衛星携帯電話を全営業拠点に配備し、公共の電話網が寸断された場合にも、社員の安否や設備への被害状況を迅速に把握できるようにしています。
1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災の際は緊急車両として、公民館などの避難所に緊急物資を配送しました。この経験から災害発生時は自社の社員や施 設を守ることに限らず、地域住民の生活を見据えた取り組みを行うことができるように、準備をしています。
佐川急便では「安全には特効薬はない」と考えています。習慣づけるために安全に対する取り組みをし続けることが重要であると考えています。
 
社会広聴会員:
経営理念を浸透させるために努力されていることはどのようなことですか。
佐川急便:
まず、社員は新入社員基礎研修の際に、佐川イズムである「飛脚の精神(こころ)」を体得します。
それとともに、業務の際は倫理行動規範に関する小冊子を肌身離さず持ち歩いています。
社員教育で最も大事なことは、本人の意識であると考えています。社員一人ひとりが佐川イズムを意識し「飛脚の精神」について「気付き」を得るために、お 客さまやよき先輩と接することができるように努力しています。
また、佐川急便は顧客第一主義を掲げていますが、その意識がさび付いたものにならないように、社内報を冊子や映像で充実させています。冊子の社内報は社員の家族へ送り、会社のことを話し合うきっかけにしてもらうようにしています。
 
社会広聴会員:
佐川急便の強みと弱みについて教えてください。
佐川急便:
以前は荷物を受け取ってから送り届けるまでのスピードには定評がありましたが、今はどこの運送会社も変わらないと 考えています。「e-コレクト」などの個人向けサービスも他社との差別化を図るには至りません。そこで、効率化を追求し、お客さまからの集荷を増やすこと が今後の強みになると考えています。
一方、自社の弱みは差別化が図りにくい個人向けのサービス分野についてだと考えています。
参加者の感想から
●何でも機械化されている時代とはいえ、一番大切なのは人間関係であり、心ある言葉掛けであると痛感いたしました。一人ひとりの元気なあいさつの励行が、 会社の発展につながると感じました。

●今回の懇談会で企業競争力の源を垣間見ることができたような気がします。一見非効率に思われたハブ拠点で集荷し営業拠点に配送する仕組みは全体効率の中 で最適化されていることが理解できました。

●天然ガス車を採用されていることは知りませんでしたが、自社内に供給ステーションまで設置して取り組む環境対応や、スーパーレールカーゴでの長距離輸送 はまさに時代の要請に合った企業の取り組みといえると思います。

●「出席者から寄せられた質疑はすべて会社への提言と受け止めて改善に取り組みます」という言葉を信じ、今後のさらなる発展をお祈りいたします。

お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
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