企業と生活者懇談会
2002年11月27日 東京
出席企業:三井不動産
見学施設:三井不動産グループマンションアカデミー

「快適なマンションライフの創造~お客様志向のマンションづくり」


三井不動産からの説明
■総合不動産会社 三井不動産の事業内容■
 不動産会社と聞いて、皆様はどのようなイメージをお持ちになるでしょうか。住宅を借りたい時にお世話になる街の不動産屋、マンションを買いたい場合にいろいろと相談する売買専門の不動産会社。また、オフィスなどを貸しているビルオーナー会社や、専ら不動産の管理をする会社など、一口に不動産業といっても様々な業態があります。
 私ども三井不動産は、開発、分譲、賃貸事業を幅広く手がける総合不動産業(デベロッパー)として事業を展開しています。事業は、オフィス事業、住宅事業、商業施設事業、資産マネジメント事業の大きく4つの柱で構成されています。
 中心となるのが、オフィス事業です。代表的なものとして、1968年(昭和43年)に竣工したわが国初の超高層ビル「霞が関ビル」があります。36階建てのビルで、現在ではそれほど高いビルではありませんが、当時は様々な建築規制の中で、多くの困難を乗り越えて完成させた建物です。竣工から30数年が経過し、近年のオフィスビルニーズの変化に対応するため、300億円かけて大規模リニューアル工事を実施しました。ビルを壊して、新しく建て替えるほうが、ひょっとしたら安上がりだったかもしれませんが、手持ちの優良なストックを活かそうということで、リニューアル工事で対応しました。
 現在進めているプロジェクトは、「三井本館街区再開発計画」です。1998年(平成10年)に重要文化財に指定された「三井本館」の保存と、最先端の超高層ビル「室町三井新館」の建設を同時に実現するものです。開発にあたっては、文化・伝統に配慮し、最新のオフィス機能に加え、ホテルやレストランなどの新たな賑わいも創出することを目指しています。
 住宅事業では、マンションや戸建などを様々なニーズに応じて提供しています。商業施設事業では、新しい商業施設のあり方やお客様の要求を研究して、顧客志向のサービス提供に取組んでいます。代表的なものとしては、日本最大級のショッピングセンター「TOKYO-BAYららぽーと」や、現在人気を集めている6カ所のアウトレットパークなどの商業施設を全国で展開しています。

■新たな不動産事業の展開■
 4本目の柱である資産マネジメント事業は、バブル崩壊以降の不動産事業を取り巻く環境変化に対応したもので、新たなビジネスへの取組みです。当社は、「快適な環境で、豊かな暮らしをおくりたい」という人々のニーズを見越して、主に住宅開発・分譲事業を進めてきました。しかし、バブルの崩壊以降、10年以上も地価の下落傾向が続いています。開発には時間のみならず多額の資金がかかることもあり、開発そのものが事業として成立しにくい状況にあります。このような中、当社は新しいビジネスの方向性となる「ノンアセット・ビジネス」という考え方を打ち出しました。
 不動産価格は必ず上がるという右肩上がりの時代は完全に終わりました。そこで当社は、「不動産は活用してこそ価値を生み出すものである」という発想の転換を行いました。その都市・地域に相応しい街づくりを考え、土地を所有しているお客様に最適な土地活用のコンサルティングやアドバイスを行う事業にも注力しています。デベロッパーとしてこれまでの役割を担いつつ、ビジネス環境の変化に応じて、時代にマッチした都市開発を進めるわけです。
 これらの事業に共通しているのは、常にお客様を優先して考えるという姿勢です。例えば、オフィスを借りていただいた場合、それで仕事が終わりというわけではありません。一日の大半を過ごすオフィスについては、そこで働く皆さんに満足してもらえる環境を提供したいと考えています。ただ建物を造るだけでなく、より快適に過ごしてもらえるように、管理・運営面でもお客様重視の観点に立って、工夫をしています。この考えは住宅事業、商業施設事業、資産マネジメント事業にも共通するものです。今後も多様化するニーズをとらえて、新たな価値の創造を実現していくことにより、お客様に評価され、ご満足いただけるサービスの提供を目指していきたいと考えています。
三井不動産への質問と回答
レポーター:
本日のマンション体験で、車イスの方や足の不自由な方のために、エントランスなどにスロープを設置することの重要性がよく認識できました。しかし、玄関や室内の廊下などは、車イスの方のための対応があまり進んでいないと感じました。
三井不動産:
当社では「ケアデザイン」ブランドのもと、要介護者を抱える家族のみならず、将来の介護に備えたい人も対象に、「介護のある暮らしを豊かに」するための活動を進めています。
誰にでも優しい設計ということで、ユニバーサルデザインが注目を集めています。「ケアデザイン」は、これを一歩進めたものです。ユニバーサルデザインというと、思想的にはなんとなく理解できるのですが、具体的に説明するとなるとなかなか難しい。「ケアデザイン」では、設計や設置に際して「具体的な数値基準」を設けているのが特徴です。具体的には、スロープの勾配や廊下の幅などがあります。
ケアデザインの思想は、当社のマンションづくりに具体的に反映されています。例えば、後々変更しづらい共用部分については、マンションの外から入って住戸に至るまでのバリアフリーを実現しました。ご指摘いただいた住戸内でも、購入時にオプションとして選択できるようになっています。段差の解消、幅の広い廊下、介護スペースの確保など、将来への対応が可能となっています。
 
レポーター:
常に3名の管理人がいるオートロックのマンションに住んでいます。セキュリティーがしっかりしたマンションだと思っていたのですが、マンション裏の公園に行くのに誰でも通り抜けができる通路があって、皆が自由に使用しています。確かに便利なのですが、誰もが使えるので不安もあります。三井不動産のマンションではセキュリティーに関して、どのように取組んでいますか。
三井不動産:
当社のマンションはセキュリティーを重視し、多くの物件で「三井不動産のマンションセキュリティーシステム」(通称:ベルボーイ)を導入しています。このシステムで火災・ガスもれ・防犯などの個別監視はもちろん、エントランスやエレベーター内の共用部分の異常など、緊急センターが24 時間、365日体制で一括管理しています。いざという時には、綜合警備保障の警備員が警報を受信した後、ただちに現場に急行して適切な対応をとることになっています。
 
レポーター:
住宅の性能を評価するという動きも始まり、消費者の関心も高まっていると思います。三井不動産ではどのようにして、マンションの品質を高めようとしていますか。
三井不動産:
三井不動産では、確かな品質のマンションをお客様にお届けするために、大きく3つのことを実施しています。まず、「住宅性能表示制度」の導入です。この制度は義務ではありません。共通のルールに基づいて性能を表示するかどうか、売主などの任意の選択に委ねられている制度です。当社では国土交通大臣指定の住宅性能評価機関による、客観的かつ公平な審査を受けています。第2が独自の基準による品質管理です。長年にわたる豊富な経験と様々な工夫をノウハウとして1冊にまとめ、「設計標準」として設定しています。建築・構造・設備などの項目数は合計で1500を超え、細部にまで配慮が行き届いているのが特徴です。実際のマンション作りはゼネコンなどの施工会社に発注しているのですが、発注先にこの「設計標準」を渡して、これに従って施工してもらっています。3つ目が品質管理セクションによる工事の管理です。防水・基礎配筋・建物の重要な基本性能部といった主要箇所については、当社自らチェックしています。さらに建物完成時にも、建物全体の仕上げや機能を検査する竣工検査を行っています。
こうした取組みによって、構造の丈夫さや建物の基本性能などクオリティを高めています。しかし、コンクリートを打ったり、配管をしたりという作業は、ロボットではなく、人間である職人がするものなので、ミスがなく完璧と言い切ることはできません。万が一、不具合が発生した場合には、アフターサービスによってしっかりと対応させていただき、それを次のマンション作りに活かすというサイクルをしっかりと構築していきたいと思います。
 
レポーター:
インターネットの普及をはじめ、情報化が社会のいたる所で進んでいます。住宅においても、今後情報化が一層進むと考えられますが、どのような対応を考えていますか。
三井不動産:
この分野は、最新だと思っていたものが、すぐ古くなってしまう世界です。通信速度にしても、少し前までは128kbpsが一番速かったのですが、今では12Mの登場など格段に回線速度が速くなっています。対応が非常に難しく、基準作りも簡単ではない。しかし、この状況をただ傍観しているわけではありません。マンションにインターネットの専用配線を引くなど、その時々で取りうる最善の対応をしています。オフィス事業も同じような状況で、ケース・バイ・ケースで対処しているところです。しかし、即座に最新の状況に対応できるように、床の下をフリースペースにするなどの工夫をしています。今後もITの進展の状況をしっかりと見極め、住宅とオフィスそれぞれについて、最新の対応ができるようにしていきたいと思っています。
 
レポーター:
お客様ニーズの把握のために、どのような活動をしていますか。
三井不動産:
当社では、他社に先駆けてお客様のニーズを商品企画に反映するモニターシステムを1996年(平成8年)に導入しました。モニター会議やアンケートなどを実施し、お客様の声や要望を的確に把握し、これを商品づくりに反映させ、質の高い住宅を供給してきました。2000年(平成12)年からは、このシステムをさらに発展させるため、インターネットを使ったモニターシステムの運用(三井オープン・コミュニケーション)を開始しました。これにより、忙しいビジネスマンや子育て中のお母さんなど、従来参加の難しかった方々にも出席していただけるようになりました。情報も今まで以上にたくさん取り入れられるようになりました。おかげさまで貴重な情報を収集することができ、お客様の意見を反映した、より良い商品づくりを続けることができています。
 
レポーター:
マンション市況は、各社しのぎを削って厳しい状況にあると思います。他者との差別化を図るために、三井不動産が重視している思想などはありますか。
三井不動産:
当社では、お客様にとって最も大切な「マンションのクオリティ」を3つのカテゴリーで定義しています。第1は、マンションの基本性能でありながら、耐久性や省エネ性能など「目に見えないクオリティ」(LQ:レイタント・クオリティ)。第2は「感じるクオリティ」(EQ:エクスペリエンシャル・クオリティ)です。エントランスに足を踏み入れたとたん、「わあ素晴らしい」と見とれてしまうことがありますが、そういう類のクオリティです。3つ目は内装仕上げなど「目で見えるクオリティ」(OQ:オブジェクト・クオリティ)です。従来、「品質」というと仕上げ(OQ)に目が行きがちでしたが、お客様にとってはOQ同様、LQとEQも含めたトータルのクオリティの高さが重要だと考え、これらを達成する手法を再構築すべく、現在取組んでいます。
 
レポーター:
三井不動産販売とはどのように連携しているのですか。
三井不動産:
お客様の満足度を向上させるといった観点から、密接な連携をとっています。製造の分野を受け持つ「三井不動産」、販売の分野を受け持つ「三井不動産販売」、管理の分野を受け持つ「三井不動産住宅サービス」が力を合わせて、製・販・管一体となったCS(お客様満足)活動に取リ組んでいます。
各社ともサービスの向上を目指しています。三井不動産では、今まで管理会社が代行していたアフターサービスを直営化しました。昨年4月にアフターサービスセンターを設け、直接アフターサービスにあたっています。首都圏と関西圏から始め、徐々に広げています。
三井不動産販売では、「カスタマーサポートセンター」を開設しました。ご契約いただいたお客様が入居されるまでの間、専任担当としてローンの変更や引越し手続きなどキメ細かくアドバイスしています。三井不動産住宅サービスでは、管理サービス向上のために営業拠点展開・品質管理課の設置などを進めています。
三井不動産グループは200を超える会社で構成されています。多様化するお客様のニーズをとらえて、新たな価値を創造し実現していくことにより、お客様に評価され、ご満足いただけるサービスの提供を、今後も目指していきたいと考えています。
出席者の感想から

販売員の方も、このマンションアカデミーで研修してから販売に当たれば、購入希望者への説明も自信をもってできると思いました。

三井不動産のCSに対する取組みを非常に明確に説明された点に感心しました。グループで具体的に戦略に取組んでいることがよくわかりました。
通常のモデルルームでは体験できない床下の配管設備や仕様等が、カットモデルでわかりやすく表現されていて、その構造がよくわかった。居住者にも見学の機会があればと思いました。


実際にマンションに住み、種々問題点が出てまいりましたが、詳しい説明で少し安心した部分や、納得した点などあり、とても良い経験でした。私たちはあまりにも多いマニュアル集に驚き、内容をすみずみまで理解できずに入居・使用しています。

住みながら、ようやく五感でわかる住宅の優劣。高価な買物だけに、「次回は決して後悔したくない」と、情報収集にも熱が入ります。

以 上
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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