企業と生活者懇談会
2003年6月9日 北海道
出席企業:スウェーデンハウス
見学施設:スウェーデンヒルズ

「新しい街づくりと産業を考える」


スウェーデンハウスからの説明
■「スウェーデンヒルズ」の建設が決まるまで■
 昭和47年、北海道の産業拠点として石狩湾新港の開発が決定されました。これに伴い、純粋な民間企業であった石狩開発株式会社は、石狩地区の総合開発を目指す官・民共同出資の第三セクターに生まれ変わりました。また、札幌の流通基地として石狩地区に一大流通団地を建設する構想が浮上し、3万人規模のニュータウンを確保する計画に発展しました。
 地場産業の一つであるトーモク・グループにおいても、当時独自にこの問題を検討し始め、住宅地に適したエリアの選別を開始しました。広範囲にわたって調査した結果、当別町獅子内の丘陵地帯に注目しました。現在のスウェーデンヒルズはその一部にあたります。ここを選定した理由は、丘陵の地形や、谷を埋め尽くした豊かな自然から、この地では、人間と自然が調和した理想のニュータウンづくりが可能だと判断したからです。

■なぜ「スウェーデン」なのか■
 北海道という立地上、特に冬季の暮らしに対する十分な配慮が必要です。そこで、同じ寒冷地で、住環境、医療、社会福祉で世界の最先端を行く北欧に注目しました。数回にわたり北欧現地調査を行うとともに、駐日スウェーデン大使からも親切なアドバイスを受けながら、検討を進めました。昭和53年、駐日スウェーデン大使がこの地を訪れた際、「ここはストックホルム郊外とそっくりだ」と驚かれ、さらにスウェーデン国王陛下から「日本との友好をさらに深めたい」とのご意向も伝達されました。こうした中で、北海道とスウェーデンの交流のシンボルとして「スウェーデン村」建設構想が生まれ、これがスウェーデンヒルズの原点となりました。
 昭和54年には札幌で「スウェーデン北海道産業・文化提携会議」も開催され、スウェーデン村計画も具体的に検討され、いよいよ実現への第一歩を踏み出しました。

■「スウェーデンヒルズ」という街■
 昭和59年に開発がスタートしたスウェーデンヒルズは、今では約300世帯・500人の方が居住する街へと成長しました。開発の計画面積は約300ha (約90万坪)で、うち150haがスウェーデンヒルズです。
 スウェーデンヒルズは、中心部のビレッジ地区、イースト地区、ウエスト地区と3つの地区から構成されています。それぞれに異なる地形、緑の景観を凝らしたゾーニングとなっており、一巡するだけでも北欧のテーマパークに入ったような楽しさが味わえます。
 各家とも広い敷地を持っており、中心にあるビレッジ地区の平均宅地は約250坪もあります。街には電柱・電線、垣根はなく、住
棟間隔もゆったりととられているので、静かで落ち着いた住環境が醸し出されています。道路も「クル・ド・サック方式」と呼ばれる街区道路の先端をループ状にし、車の通り抜けができないようになっているので、交通量も少なく、静かな住環境が確保されています。
 また、丘陵地にあるため、緩やかなカーブを描く幹線道路は、プラタナスをはじめ選別された街路樹とよく調和し、見事なパノラマ景観を作っています。この他にも、地区全体の統一性と美観を確保する目的で、地区内に設置されている各種の案内版・サインボード(通り名サイン、地区案内板、方向指示サイン板等)にも、細かい規定があり、調和が保たれています。

■北欧文化とともに■
 ビレッジ地区の中央には(財)スウェーデン交流センターがあり、地区住民が北欧文化の書籍や民具に直接触れることができます。また、交流会場にもなるホールが置かれ、講演会や住民集会など多目的に使われています。平成2年に来日したグスタフ国王もここを訪問されています。さらに、スウェーデンの伝統工芸であるガラス工芸工房と木工工芸工房もあり、見学が可能です。
 地区内の道路は、北欧の木々の名前やスウェーデンの都市名などにちなんだストリートネームがついています。公園や広場には、北欧のお伽噺の主人公の名前がつけられています。ここで、北欧の民族文化を象徴するルシア祭や、夏至祭、クリスマスなど
幅広い文化活動が行われ、住民交流の中心地となっています。
 この街全体に、カラフルなスウェーデン型住宅が、まるでスウェーデンから移植されたように広がっています。このニュータウンがスウェーデンヒルズなのです。

■「スウェーデンヒルズ」で生活する■
 北欧の住宅の基本思想は世代を繋いで、50年、100年といった長い期間住みつづけるという家です。そのためには、耐震・耐風・耐積雪・耐火など、構造上安定した住宅が大前提となります。スウェーデンヒルズの住宅は、すべてこうした基準をクリアしたスウェーデンハウスでできています。スウェーデンヒルズの特筆すべき点は、美しい環境を保つ街づくりのため、住民全員が守らねばな
らない「建築協定」を設けていることです。例えば、宅地の境界から一定距離を置いて家を建築すること、屋根と外壁は一定の基本色(注)から選択すること、門塀は作ることができないことなどです。これらの協定を継続的に実現するために、運営委員会を設けています。

(注)屋根に使用する色はベニガラまたはブラック、外壁等に使用する色はベニガラまたはアイボリーを基本とする。

 また、街の中央には清掃、除雪から保安まで担当する管理センターがあり、住民の日常生活の安全管理にあたっています。この他にも、有料で不在時の住宅管理、高齢者向けの自宅敷地除雪など幅広いメンテナンスサービスを提供しています。

■社会的な評価■
 北海道の自然と個性豊かな街づくりの努力は、社会的にも高い評価を受けています。平成3年と4年には2年連続で北海道・NHK・北海道新聞社主催の「北海道街づくり100選」で「21世紀に向けた街づくり」の代表例として選ばれています。また、平成5年には「北海道街づくり功労者知事表彰」を受賞しています。
スウェーデンハウスへの質問と回答
レポーター:
スウェーデンヒルズには、どういう方が住んでいますか?
スウェーデンハウス:
半分近くの方が、北海道外から移って来られました。特に若い方々にその傾向が強いようです。ここに住み、札幌に通勤されている方も多い。年齢構成を見ると、若い世代と高齢世代の2つに分かれます。新しく開発したウエスト地区には比較的若い方が多く、イースト地区には開発当初に来られた方が多く、高齢化も見られます。
 
レポーター:
若い方がどうして道外からここへ移って来るのでしょうか?
スウェーデンハウス:
首都圏の場合、例えば東京では、家を建てるのに40坪8500万円くらいかかります。しかも、建築に当たっての規制もいろいろと多い。こちらでは、若い方々は、だいたい4500万円ぐらいの物件を求めます。購入にあたっては、1000万円を両親から援助してもらい、3500万円を35年ローンで組むようなケースも見られます。首都圏に比べて、値段の上では断然有利ですが、就職先や、首都圏との所得格差の問題などがあります。
 
レポーター:
スウェーデンハウスの建坪の単価は少し高いのではないですか?
スウェーデンハウス:
仮に建坪の単価を150坪3000万円としますと、一般建売と比べて高いかもしれません。スウェーデンハウスは通常の「ツーバイフォー」の住宅に比べ、樹齢の高い北欧材を使っており、木製サッシの3層ガラス窓や、壁、床、天井の内部に高品質の断熱材などを使用しています。最小限の光熱費で快適に過ごせるよう、断熱・気密設計しているからなのですが、その分建坪単価は若干高いと思います。
 
レポーター:
老齢化対策にバリアフリーを心がけていますか。
スウェーデンハウス:
今後2~3年で、70歳以上の方が50組くらいになります。80歳で独り住まいの方もいらっしゃいます。室内の本格的なバリアフリーは、設計時点でオプションになっています。多少コストがかかります。現時点で、バリアフリーの要望は多くありません。なお、室内清掃、各設備機器の見廻り、リネンサービス、芝・雑草刈りなど、有料ながら各種サービスを揃え、高齢の方でも快適に過ごせる環境整備に努めています。
 
レポーター:
通学方法や病気になった時の対応はどうしているのですか。
スウェーデンハウス:
スウェーデンヒルズ建設時からの取り決めで、当別町が小中学生用にスクールバスを運行しています。高校生は片道150円の通常のバスで、通学しています。また、ヒルズの中に病院はないので、当別町などへ行く必要があります。この地域は渋滞がないので、救急車対応は迅速です。
 
レポーター:
この地区は冬の間、ある程度の積雪があると思いますが、除雪はどうしていますか。また、冬の暖房方法は何が中心になりますか。
スウェーデンハウス:
冬場は、ヒルズ内にあるゴルフ場の職員が除雪にあたっています。通常、北海道では10cm積雪すると除雪しますが、ヒルズでは5cmで行っています。また、有料になりますが、公道から玄関までの除雪も行います。
暖房についてはガスが中心ですが、電気での対応も可能です。暖房費は平均して月3万円くらいかかります。
 
レポーター:
ヒルズ内を見学させていただきましたが、いわゆる商店街などがありませんでした。ヒルズに住んでいる方は、普段の買い物はどうしているのですか。
スウェーデンハウス:
週2回、地元生協の出張販売があります。また、車で10分程度の当別町に生鮮市場などがありますし、ヒルズ入口にコンビニもオープンしました。
普段の生活の利便性に関する質問がいろいろ出ました。ここには都会のような利便性の高い生活はありません。しかし、ここでは野鳥のさえずりや季節ごとの草花を楽しみ、四季の移り変わりを感じることができます。
あれもこれもといった生活ではなく、これが大切だという生活を選択することもひとつの考えだと思います。何を大切にするかは、個人個人で違うと思いますが、自然の中での生活を選択をしたときに、このヒルズでの生活はベストなものになると確信しています。
 
出席者の感想から
●私が所属する会社のメセナ活動で、ガラス工房や家具工房で働くスウェーデンの方たちと交流したことを懐かしく思い出しました。「幸せに感じる住空間」についての答えはいろいろでしょうが、今回はその答えを見つけたように思って、帰路につきました。また、「豊かな暮らし」を感じた1日でもありました。

●スウェーデンヒルズのとても素晴らしい街並みを見ることができて、感激でした。ハウスも大変素敵で、今後建て替える時はぜひお願いしたいと思っていますが、少々コスト的に高い感じを受けました。チョコレート色の家と木々の緑の調和が素晴らしかった。価格面も一般市民でも手に入れられる値段なので、ホットする気分です。一方で、交通の便と買物の利便性をもっと高ければよいのではないかと思います。

●チョコレート色の家と木々の緑の調和が素晴らしかった。価格面も一般市民でも手に入れられる値段なので、ホッとする気分です。一方で、交通の便と買物の利便性がもっと高ければよいのではないかと思います。

●テーマは「新しい街づくりと産業を考える」と伺っていましたが、お話が少々スウェーデンハウスの住宅機能に片寄っていたような気もしました。スウェーデンヒルズという街並み、街づくりについてもう少し議論を深めてみたかった。

●日々生活に追われていますと、緑や自然に触れることもなく、安らぎも忘れておりました。毎日スウェーデンヒルズのようなところで暮らせたら、どんなにステキかしらと思います。別荘として、ヒルズに家を持てるといいなと思います。多くの人と接する機会が多いので、いろいろな人に語り、本日体感したことを広めたいと考えています。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
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