企業と生活者懇談会
2011年12月6日 神奈川
出席企業:東燃ゼネラル石油
見学施設:川崎工場

「石油製品の安定供給のために」

2011年12月6日、神奈川県川崎市の東燃ゼネラル石油川崎工場で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。参加した18名の社会広聴会員は、東燃ゼネラル石油、川崎工場および石油精製工程の概要について説明を受けた後、川崎工場を見学。続いて安全や環境への取り組み等について質疑懇談を行いました。
東燃ゼネラル石油川崎工場から、佐藤能央工場次長兼製油技術部長、大谷知也環境安全部長、森下眞事務部長、細川猛広報渉外部長、神前真紀男事務部総務・広報渉外グループリーダーが出席しました。また、石油連盟から中田徹総務部広報グループマネージャーが出席しました。

東燃ゼネラル石油からの説明
■東燃ゼネラル石油について■
 東燃ゼネラル石油は、世界規模で事業展開するエネルギー企業ExxonMobil(エクソンモービル)の関連会社として、日本で石油製品・石油化学製品の製造・販売を行っています。産油国で原油を探鉱・生産し、原油を輸送して工場で精製して製品にし、消費者に供給するという石油のサプライチェーンのうち、輸送以降の分野(石油産業では「下流部門」という)を担っています。川崎、堺、和歌山の3つの石油精製工場を持ち、エッソ、モービル、ゼネラルの3つのブランドでガソリンなどを届けています。エクソンモービルの世界的なネットワークに蓄積された様々な経験、ノウハウを、アジア太平洋地域、さらに他地域の事業拠点と常にシェアし、採り入れることができるのが当社の強みです。 
 
■川崎工場について■
 川崎工場は操業50周年を迎えました。東日本最大の原油処理能力を持ち、製品の8割は関東圏を中心とした国内に販売していますが、輸出も2割あります。また隣接する子会社東燃化学の石油化学工場との一体運営により、京浜臨海部浮島コンビナートの中核として周辺工場に、製品のほか設備運転のための燃料ガス、スチームなども供給しています。従業員約1000人、協力会社約1500人の合計約2500人が働いています。 
 
■石油精製工程について■
 原油は、まず常圧蒸留装置によって、沸点の低い留分(ガソリン、灯油など)から高い留分(工場・発電所の燃料となる重質油)に分離します。沸点の高い留分は、二次設備(流動接触分解装置(FCC)、重質油分解装置(H-Oil))によってガソリン、軽油などニーズの大きい製品に変えます。同じ量の原油から、ガソリンなどの高付加価値の製品をより多くつくり出すことが、石油精製技術の肝であり、収益確保の鍵です。川崎工場には日本最大のFCCがあり、H-Oilと合わせて、二次設備装備率の高さも特長のひとつです。 
 
■東日本大震災の対応について■
 川崎工場では、1980年代から液状化対策として地下水位低下法による土壌改良を、1990年代には鋼管杭による護岸の大規模補強を施していたおかげで、液状化や護岸の側方流動などの被害は発生しませんでした。プラントは安全確認のため一部を停止しましたが、その後一週間程度で通常操業に戻りました。製品出荷は震災当日の夜から再開し、和歌山、堺両工場からも製品を転送して通常の1.4倍の出荷を継続し、石油連盟と協力して被災地への輸送・提供に努めました。 
 被災地では、塩釜油槽所を他社にも開放して共同利用し、津波でガソリンスタンドが流失して安全に給油ができなくなってしまった岩手県陸前高田市では、4月下旬に化学製品用のコンテナ型タンクを活用した仮設スタンドを建設して寄贈しました。 
 首都圏の計画停電・電力不足に対しては、場内の自家発電設備をフル稼働させて一般家庭約1万戸分相当の電力を外部供給し、県内・市内の病院や上下水道施設に自家発電用燃料を緊急供給するなどの対応を取りました。 
見学の様子
 工場構内をバスで見学しました。蒸留装置、分解装置、脱硫装置などの精製装置が立ち並び、パイプが幾段にも張り巡らされています。広く静かな場内の、ひときわ高い一本の塔の先に炎が揺らめいています。フレアスタックといい、余剰ガスが発生した際に安全に燃焼させ無害化するために常時点火されています。海側に出ると巨大な原油タンクが並びます。バスが走る舗装道路の下には、地中厚さ80センチメートル、深さ16メートルの粘土の壁(スラリーウォール)が埋め込まれ、揚水井戸との組み合わせで地下水を常に低い状態に保ち、土壌の液状化を防いでいます。遠く沖合にタンカーが一隻停泊しているのが見えます。巨大な原油タンカーは浅い沿岸までは入れないので、沖合に停泊して海底配管を通して原油タンクに荷揚げする仕組みです。 
 コントロールルームでは、工場を運転管理する様子を見学しました。自動運転されるプラントは、ボードオペレーターによるコントロールルーム内からの遠隔監視と、フィールドオペレーターによる五感を総動員しての現場パトロールによって、24時間体制で管理されています。川崎工場は約6000個ものランプが灯る「工場夜景」が評判ですが、照明は無論飾りではなく、フィールドオペレーターが夜間でも設備をしっかりと目視点検できるように灯されているとのことです。 
東燃ゼネラル石油への質問と回答
社会広聴会員:
業界平均に比べ医療処置災害の発生率が低いとのことですが、安全操業をどのように維持していますか。 
東燃ゼネラル石油:
安全確保には、①適切な設備、②適切な要領・手順、③人(訓練された人材による適切な行動)の3つの要素が欠かせません。 
当社は、操業当初より設備の改善を図り続け安全成績の改善を進めてきました。1991年(平成3年)には、ExxonMobilのOperations Integrity Management System(OIMS:「完璧な操業のための安全管理システム」)を導入しました。OIMSは「マネジメントのリーダーシップ、決意および責務」を基本要素に、「リスクアセスメントと管理」「設備の適切な設計と監理」「情報の適切な管理」「人的資源管理」「運転と保全の要領」「変更の管理」「協力会社の管理」「事故・ニアミス情報の解析と管理」「緊急時の体制と管理」の9つの実践要素、そして「OIMSアセスメントと改善」までの計11の要素から構成され、合計約200項目以上の安全のための要求事項を完全に満たすようにそれぞれに具体的な期待事項、手順・要領、役割と責任、要求事項の達成度の検証を確実に実施することを求める安全管理システムです。さらに2000年(平成12年)には、Loss Prevention System(LPS:「ロス(人身災害、機器、資産の損傷、環境災害などすべての損害の)予防システム」)を導入し、不安全行動の撲滅、手順・要領の適正化、設備の改善に取り組んできました。また、システムが適正に機能しているか定期的に監査を行っています。その監査の例が、3年毎に約20名の外部監査チームにより約3週間にわたって行われる定期外部監査、3人の専任監査人により毎日行われる作業監査等です。 
重大事故1件の背景には軽度の事故10件、ヒヤリハット・ニアミス600件があるといわれます。幸運にも事故に至らなかったヒヤリハットなども漏らさず把握し、重大事故と同等に扱い対策を施しています。そのためにヒヤリハット事象を報告しやすい環境を整えるだけでなく、工場長、部長、ライン管理者が常日ごろから現場に出向き、積極的にコミュニケーションを取っています。最近の課題は、若干増加傾向の見られるベテラン従業員を中心とする人身災害の防止と近年の世代交代により年々増加している若年層の人身災害の防止です。熟年層は経験は豊富なのですが、それが逆に油断につながったり、加齢による体の衰えのため事故が多くなります。また逆に若年層は経験や知識の少なさからくる事故が多くなるのは全産業に共通する傾向です。ベテラン、若年層の安全行動の改善に注力している結果、安全成績が改善傾向にあります。

図表

社会広聴会員:
環境配慮に向けた取り組みを教えてください。 
東燃ゼネラル石油:
できるだけ少ないエネルギーで製造できるよう、熱回収システム、コージェネレーションなどへの設備投資を継続しています。当社3工場のエネルギー消費原単位(製造に要するエネルギーの割合)は業界平均よりも1割ほど低く、非常に高効率です。製油所別のエネルギー効率の第三者機関調査(2010年(平成22年))において、上位3製油所はいずれも当社工場でした。 
 
社会広聴会員:
地域社会とのコミュニケーション活動について教えてください。 
東燃ゼネラル石油:
川崎工場は、工業地帯の真ん中に立地していますが、地域社会をはじめ市民の方々とのコミュニケーションをとても重視しています。近隣の6つの町内会と、工場概況の定期説明会、スポーツ活動、消火器訓練などを通じて交流を深めています。ジョブシャドウ(高校生向け職場体験プログラム)、小中学生を招いての安全学習など教育に貢献する交流にも取り組んでいます。 
 
社会広聴会員:
競争力強化への取り組みについて教えてください。 
東燃ゼネラル石油:
石油製品はどの会社の製品も同様に使えることが要求されるため、製品の品質による差別化は難しいのですが、コスト低減、すなわち原油を安く調達し、ニーズの高い製品を効率的につくることが競争力強化の鍵となります。 
当社には、エクソンモービルのネットワークを生かして、当社の設備にとって最適な原油を調達できる優位性があります。質が比較的劣っても安価な原油を処理する技術や設備を持ち、海外の製油所の持つノウハウを採用できる点でも有利です。処理が難しいために安価である原油を積極的に活用し、調達先の分散化を図りながら変わらない品質の石油製品を製造しています。当社の中東産原油への依存度は、業界平均よりも10%ほど低くなっています。米国の製油所とタンカーを共同利用して輸送コストを下げる取り組みも行っています。
 
社会広聴会員:
石油製品の需要が伸び悩むなか、今後も安全対策に相応のコストを掛けていくことができますか。 
東燃ゼネラル石油:
安全確保のための投資の、設備投資総額に対する比率を管理しています。これが一定水準を割り込むことのないように今後も継続的に投資していきます
参加者の感想から
●社会になくてはならない石油を安全に供給するという課題に対して、社員の方一人ひとりが真摯に取り組まれていることが、印象に残りました。 
 
●1980年代から実施した対策が功を奏して、東日本大震災において液状化による被害が全く発生しなかったことを知り驚きました。安全に対する取り組みが並大抵のものではないことに敬意を表したいです。 
 
●安全に関する社員教育は難しいと思いますが、リーダーと部門マネージャーがリーダーシップを発揮することで実現されていることがよく分かりました。 
 
●安全最優先の経営理念、安全・環境・健康の徹底管理、地域コミュニケーションの実践など、大変勉強になりました。また、東日本大震災被災地への燃料供給などの支援活動に心を打たれました。 
東燃ゼネラル石油ご担当者より

 参加者の方々には、普段なじみのない石油・石油化学の産業・工場について理解を深めていただき、特に当社の安全を中心とした徹底した取り組みについて強い関心を持っていただきました。 
 普段から地域社会の方々とのコミュニケーションに努めておりますが、より広範囲の方々の様々な視点から質問や意見を頂戴し、こちらも大変勉強になり良い機会でした。今後も皆さま方の声をお聞きして、さらなる改善に努めていきたいと考えております。

お問合せ先
経済広報センター 国内広報部
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