企業と生活者懇談会
2015年3月13日 兵庫
出席企業:西日本高速道路
見学施設:新名神高速道路建設現場

「『未来につなぐ信頼の道』新名神 建設の推進」

3月13日、西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)関西支社新名神兵庫事務所(兵庫県川西市)で、「企業と生活者懇談会」を開催し、生活者23名が参加しました。同社および新名神高速道路の概要について説明を受けた後、現在工事が進められている新名神高速道路の建設現場を見学し、その後、質疑懇談を行いました。 
NEXCO西日本からは、関西支社新名神兵庫事務所の伊藤哲男所長、加藤和彦副所長、工務課の西岡昌樹課長、松下ゆかり氏、本社建設事業部建設統括課の真伸行課長、本社広報CS推進部広報課の安達雅人課長、江口大樹氏、関西支社総務企画部広報課の坂根光夫課長が出席しました。

NEXCO西日本からの説明

■NEXCO西日本の事業概要■
 NEXCO西日本は、2005年(平成17年)10月1日、旧日本道路公団の分割民営化により、NEXCO東日本、NEXCO中日本とともに設立されました。東は滋賀県から南は沖縄県までを営業区間とし、管理・運営する道路は約3400キロメートル、1日の利用台数は約280万台、サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)は約300カ所です。
 同社では、主に3つの事業を実施しています。1つ目が保全・サービス事業です。高速道路が開通した後、道路を管理・運営し、安全・安心で快適な走行環境を確保するため点検・補修などの維持管理業務を実施しています。道路管制センターでは、24時間体制で交通状況を監視しています。2つ目が建設事業です。地域の発展や利便性向上に貢献するため、新規の高速道路ネットワークの整備を行っています。3つ目は関連事業です。SA・PAの休憩施設をリニューアルしながら、お客さまに買い物や食事などのサービスを提供し、また沿線地域の特産品を置くなどして地域活性化につながる取り組みも行っています。駐車場の整備や旅行の企画なども実施しています。さらに海外事業では、例えば米国の道路に点検技術を生かしたり、インドネシアのインフラ整備に貢献したりしています。

■新名神高速道路の建設概要■
 新名神高速道路のうちNEXCO西日本が建設を進めている区間は、大津ジャンクション(JCT)から神戸JCTに至る約80キロメートルの区間の道路です。1965年(昭和40年)に全線が開通した名神高速道路は、関西圏、中部圏を結ぶ基幹的な役割を果たしており、産業・経済などに多くの貢献をしています。しかしながら交通量の増加により交通渋滞が頻繁に発生していることや、災害時のリダンダンシー(代替路線)機能を補完する新たな高速道路が求められていました。
 このため、大都市間のネットワーク強化と巨大地震・豪雨などの災害への対応として、新名神高速道路が建設されるに至ります。また、整備により旅行時間の短縮が図られることも期待されています。現在、工事は最盛期を迎えており、早期の全線開通を目指して事業が進められています。
 できるだけ自然を残し、希少種の保護を心掛けて工事が進められています。斜面を掘削して橋の柱などを造るときは、竹割り型構造物掘削工法という自然斜面を残す形で掘削する方法で進めています。また、希少種の保護の一例では、ホタルの成虫を捕獲し、ふ化させて飼育し、地元の方々と一緒に放流して自然に戻しています。

新名神高速道路の亀山西JCT~四日市JCT間の建設区間は、NEXCO中日本管内となっている。

■新名神兵庫事務所■
 新名神高速道路建設事業は、5つの事務所が担当し、兵庫事務所は兵庫県域の約20キロメートル(川西市、宝塚市、神戸市、猪名川町((いながわちょう)の3市1町)を担当しています。
 兵庫県域の特徴として、土が大量に発生することが挙げられます。全体で約800万立方メートルに上り、土量配分計画を立て、基本的に新名神高速道路本線内ですべての土の切り盛りを行っています。このため、事業を進めるには、土の運搬をいかに効率的に行うかが最大の使命となっています。しかし、道のないところに道路を造っていくため、工事着手時は一般道を介しての土運搬ルートとなっており、周辺環境への配慮が必要でした。現在は、本線の片側を先行して工事し、本線内での土運搬を行うことにより、一般道への影響を極力少なくしています。

工事現場見学の様子

■一庫大路次川橋他1橋(鋼上部工)工事■
 一庫大路次川(ひとくらおおろじがわ)と市道が中央部で交差する地形に架かる橋梁の工事現場を見学しました。
 川や市道は閉鎖できないため、地上からのサポートはなく、送り出し工法で橋梁を押し出していきます。工場で造りトラックで運ばれた各鋼桁(こうけた)が現地で組まれ、つないだ鋼桁を前に押し出していきます。1分間に50センチメートルのゆっくりした速度で、1回に40~80メートルほど押し出し、8回に分けて順次作業を行うそうです。 
 また、川の中に柱を立てるため、渇水期の11月から5月の間に約1トンの重さの土のう袋を幾つか川に入れて水をせき止め、川底を掘って柱を立てています。 
 厳しい建設条件の中、絶妙なバランスで鋼桁を架け、橋を造っていく様子を、熱心に見学しました。

■川西インターチェンジ(IC)工事■
 川西ICは出入り4レーン(出2、入2)で、日々の乗降車両数が約1万台と予想されているICです。もとは山などがあった場所で切り土の工事をしています。山の固さやひび割れの状態、土の良しあしの状態などで工事の方法を使い分けています。土の状態が悪い所はコンクリートの枠で覆い、そうでない所は緑化を図るなど、できるだけ自然を残して工事を進めています。
 現在、約60台のダンプカーが土の運搬を行っています。一般道を走るダンプカー以外に、場内だけで使用できる25トンのダンプカーも利用して工事を進めています。すべてのダンプカーはNEXCOと分かるゼッケンを付け、工事現場ごとに色を分けて識別しています。安全に工事を行う意識や、一般道に出たときもNEXCOの工事を行っているという意識を持つためにも、ゼッケンを付けているそうです。
 自然環境や周辺への安全に配慮しながら工事が進められていることを学びました。

■猪名川中工事■
 鉄骨を組んで造られた工事用の仮桟橋や、工事中の六石山(ろっこくやま)トンネルをバスの中から視察しながら通過し、近隣に新興住宅地や病院がある現場に到着しました。
 住宅地域であることから、周辺環境に特に配慮し、騒音や振動、粉じんや砂埃などの抑制に努めています。現場で使う重機は低騒音型や低振動型を積極的に採用し、また、リアルタイムで騒音値や振動値を「見える化」し、住宅地域の中で公開しているそうです。
 猪名川中工事地区には、約200万立方メートルの土が盛られます。これは、東京ドーム約1.5倍程度の土になります。土の状態に応じて土を締め固める回数などを調整することにより、しっかりした盛り土を構築しています。工事現場の近くには、改良が必要な土にセメントを混ぜる機械もあり、改良された土が次々と出てくる様子も見学しました。
 工事現場から一般道に出る前に、すべての車両はスパッツというタイヤを洗う機械と人によるホース散水で、タイヤに付いた土を落とします。一般道に土が落ちないようにという細かな配慮がされています。

懇談会の概要

社会広聴会員:
新名神高速道路の役割、完成後の効果など、詳しく教えてください。
NEXCO西日本:
まず災害時への対応があります。日本は自然災害の多い国です。災害が起きたときに物を運んだり、命をつなぐ道としての機能が求められています。
日本は断層が多く走り、実は、既存の名神高速道路や中国自動車道は、断層を横断している個所が多いことが分かっています。今後、もし地震が起こった場合、断層が比較的少ない所を通る道路があるとリスクの分散ができます。
東日本大震災では、太平洋側の道路に大きな被害を受けました。救援物資の搬送や人命救助の車の移動は、少し内陸側の国道などから太平洋側に向けて、まるでくしの歯のように何本も延ばして行われました(「くしの歯作戦」と名付けられたそうです)。1本の生きた道路があればそこから枝分かれして救援に行けます。もし災害で名神高速道路や中国自動車道が被害を受けても、生きた道路があれば、救援物資の輸送などができます。橋梁も、阪神・淡路大震災後に作られた新しい基準で設計されていることから、地震でも柔軟に揺れて、橋桁が落ちにくくなっています。
また、救急医療活動にも役立ちます。高度な救急病院への搬送の所要時間が短縮されるケースがあります。わずかな時間の短縮でも、重篤な人にとっては非常に大きな意味を持ちます。
物流の関係では、日本中の物流を支えているのはトラック輸送ですが、高速道路を利用する地域間物流が1日約46万トンあるうち、18万トンが関西と中部の間を通っています。関西と中四国間は12万トンで、これだけの物流を支える関西圏の道路がもう1つ必要です。
また、道路が出来ると周辺にいろいろな波及効果があります。開発が進み、地域や経済の活性化に寄与することや、沿線の観光地の活性化にも役立つことが期待されています。
 

社会広聴会員:
高速道路を造るプロセスはどうなっていますか。   
NEXCO西日本:
最初に、道路を通す沿線の方に事業計画の説明を行います。沿線にお住まいの方にとっては、多くの場合、いきなり道路が通るという話になります。当然驚かれたりいろいろな不安もあります。そのため多くの地区に分かれて集まっていただき、まずはご説明を行い、理解していただきます。
次に、測量・調査を行い、地形を把握します。その上で、設計協議に入ります。この段階で具体的な道路のかたち、どの場所にどのような道路を造る計画かということを、分かりやすい図面で説明し、了解をいただいた後、用地幅杭を設置します。その上で、地権者の方々に用地取得のためのお話をさせていただき、買収の契約手続きに移ります。用地の取得後、工事を行い開通となります。
 

社会広聴会員:
工事現場での新技術や工法について教えてください。
NEXCO西日本:
自然ののり面をなるべく傷付けず構造物を造るなどの技術は、NEXCO3社(東日本、中日本、西日本)と、工事施工会社の共同の特許です。なるべく自然をそのままで、早く良いものを造るための新技術を採用しています。
また、橋梁などもできるだけ重量を軽くする新しい技術を取り入れています。
将来のメンテナンスや維持管理費用をなるべく抑えるため、初期投資は多少必要になりますが、最終的に維持管理の費用を含めると安くなる資材を取り入れています。
 
 

社会広聴会員:
高速道路建設の苦労話を教えてください。
NEXCO西日本:
どういった道路を造るかという素案を作成し、通過する市町村、沿線の方々と協議をしますが、その協議に数年を要しています。
事業をご理解いただき、合意形成を図った上で道路を構築していくことが最大の使命です。沿線の方々にご理解をいただくために昼なり夜なり何度も伺い、協議させていただくことが、苦労でもあり最終的には喜びにもつながっています。
また、事業計画どおり進めようとしても、なかなか資材が集まらないことがあります。例えば時期によっては、ダンプトラックも必要台数の確保ができない場合もあり、確実に事業を進めるにも苦労が伴います。
 

社会広聴会員:
高速道路の管理、保全、補修などはどのように行っていますか。
NEXCO西日本:
日常的には、道路をパトロールし異常がないかを点検し、人が実際にたたいて点検したり、赤外線カメラを利用して損傷個所を見つけたりするなど、効率良く組み合わせて点検を行っています。そして補修計画を立て、補修方法を決めていきます。
名神高速道路や中国自動車道で、集中工事を実施しているように、集約的に年度計画を立てています。ばらばらで行うと渋滞が発生しますが、集中させることで渋滞を7割減らせることが分かっています。補修した個所は記録を残し、ノウハウを蓄積して後の点検に役立てています。
道路の落下物があった場合は、管制センターで対応しています。特に道路保全で気を使うところは、高速道路は24時間動いていることから、常に継ぎ目のないサービスの提供とともに管理・保全をするということです。
 

社会広聴会員:
民営化後の変化について教えてください。
NEXCO西日本:
 道路公団時代は、きめ細かな料金割引の設定が困難でしたが、民営化後は、皆さまの様々な意見を聞きながら設定できるようになりました。企画の一例が、周遊割引(ETC限定)などです。また、お客さまへのサービスに特化した事業会社で、定期的・専門的なサービスのご提供ができるようになりました。

社会広聴会員:
海外に向けたサービスのPRはいかがでしょうか。
NEXCO西日本:
特に東アジアからのお客さまを意識しています。九州エリアは、中国、韓国、台湾などのお客さまのご利用が多く、そういった方々が自由に九州エリア内を乗り降りできる料金割引を既に行っており、台湾や香港などでPRしています。海外のお客さまに各観光地でお買い物をしていただければ、地域の活性化にもつながることが期待されています。

参加者の感想から

●高速道路を1つ造るのに長い歳月を要し、地域との共存を図りながら進めていることを理解できて良かったです。今後の東南海地震に備えた対策にも新名神高速道路の役割が必要不可欠なものと知りました。 

●規模の大きさに感嘆しました。普段、混雑する高速道路に少なからず不満を持っていましたが、現場を拝見し、出来上がっていく過程を知って、そんな「ぜいたくな」思いは吹っ飛んでしまいました。 

●新名神高速道路が出来ることで、中国自動車道の宝塚IC近くの渋滞が解消されたり、目的地に早く行けるようになるなど、私たちの生活に役立つことが分かり期待感が高まりました。大きなショベルカーなどが動き回る現場を見て、構造物も一人ひとりの働きの集結だと、その技術力に感嘆しました。 

●自然を保護しながらの工事で、完成までに幾つもの工程や努力・協力があって出来上がるものだと知りました。道も施設も大切に使いたいと思いました。 

●技術力に驚きました。山を切り開き、土を有効活用し、橋桁を架け、トンネルを掘り、その過程で事故を起こさず周囲に迷惑を掛けず、現在と未来の環境に配慮するのは並大抵のことではないと思います。

NEXCO西日本 ご担当者より

 このたびは、新名神高速道路の建設現場見学にお越しいただき誠にありがとうございました。
 平成28年度末の開通目標まであと2年となりました。今年は、一日も早い開通を目指し、工事を着実に実施していきたいと思います。一部、工程上、厳しい個所もありますが、今回ご参加いただきました皆さまのご期待に応えられるよう、工事関係者一同頑張ってまいりますので、引き続きご支援とご協力よろしくお願いします。

お問合せ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
pagetop