企業と生活者懇談会
2016年4月5日 福岡
出席企業:安川電機
見学施設:安川電機みらい館、ロボット工場

「世界ナンバーワンのロボット最新技術を体感しよう」

4月5日、安川電機の安川電機みらい館、ロボット工場(福岡県北九州市)で、「企業と生活者懇談会」を開催し、生活者15名が参加しました。同社の企業概要、最先端の環境配慮技術を駆使したロボット村の概要説明を受けた後、ロボット村内のロボット工場、安川電機みらい館を見学し、その後、質疑懇談を行いました。 
安川電機からは、林田歩広報・IR部長、岡林千夫安川電機みらい館館長、翠川宣之東京支社管理部長が出席しました。

安川電機からの説明

■安川電機の概要■
 安川電機は1915年(大正4年)、創業者の安川第五郎により合資会社安川電機製作所として誕生しました。当時は、電動機(モータ)が蒸気機関に代わる新たな動力として、あらゆる産業分野への進出を始めており、当初は、第五郎の父である敬一郎が経営する炭鉱会社の炭坑用電機品の受注製造からスタートしました。以来、「技術立社」を社是として、「電動機(モータ)とその応用」を事業領域に定め、その製品・技術により時代の先端産業を支えてきました。そして、昨年(2015年)、創業100周年を迎え、スピードや位置を正確に制御するACサーボモータ、モータの電源周波数を自在に変えることでモータの回転数を制御するインバータの分野では世界シェアナンバーワンを誇ります。モータを回し続けて100年。安川電機は創業の地、北九州市黒崎からグローバルに、モータ制御のリーディングカンパニーとして産業、社会の発展に貢献しています。 

■メカトロニクスのYASKAWA■
 「メカニズム」と「エレクトロニクス」を融合し、より高い機能を発揮することをコンセプトに、同社は1969年(昭和44年)に「メカトロニクス」という概念を世界に先駆けて提唱しました。パソコンもない時代に、電機と機械の組み合わせで自動化が進むことを予見し、この造語がつくられました。今では、英語の辞書にも「メカトロニクス(mechatronics)」と掲載されています。
 1977年(昭和52年)、それまで主流であった油圧式のロボットに代わって、現在の産業用ロボットにつながる国内初の全電気式産業用ロボット「MOTOMAN(モートマン)-L10」を完成させました。その後、メカトロニクス分野は急成長を遂げ、世界一、世界初の革新的な技術・製品の開発にこだわりながら、世界中のものづくりの品質と効率の向上に貢献しています。 
 同社が生産する産業用ロボットのうち、約65%は自動車産業で使われ、アーク溶接ロボットや塗装ロボットなど、自動車の生産に深く関わっています。その他にも、クリーンルーム内での液晶や半導体の製造において、なくてはならないハンドリング、搬送用ロボットなどあらゆる産業で同社のロボットが活躍しています。

■ロボット村の概要■
 創業100周年を機に“100のエコ”をテーマに「本社棟」「安川電機みらい館」「ロボット工場」「YASKAWAの森」から成るロボット村をオープンしました。本社がある黒崎地区の活性化を進めるため、北九州市、JR九州と協定を結び、黒崎駅周辺の再整備の一環として計画されました。北九州市への恩返しとともに、地元の人に親しんでもらい、安川電機を誇りに思ってもらうことを目指しています。ロボット村は低炭素社会の実現に向けて、従来の事務所と比べてCO排出量の半減を達成しています。太陽光発電施設を設置し、発電した電力を蓄電池にためることで、ピーク時の電力使用量を減らす試みや、エアコンに取り込む空気を地中に通すことで自然に温度を調整させるなど、様々な取り組みを行っています。
 また、安川電機みらい館では、世界一のサーボモータ、インバータ、産業用ロボットの最先端技術がつくり出す、ものづくりの楽しさとすごさを体験できます。

見学の様子

■ロボット工場■
 まず、ロボット村内にあるロボット第1工場を見学しました。第1工場は、1990年(平成2年)にロボットがロボットを組み立てる工場として世界で初めて建設されました。ここでは、持てる重さが最大24キログラムの小型の産業用ロボットが生産されています。産業用ロボットは基本的に受注生産で、第1工場では月に最大1100台のロボットを生産できます。ロボットが完成するまで10工程から成り、それぞれの工程ごとにブースが分かれ、ロボットが素早く、てきぱきとロボットのパーツを組み立てていきます。それぞれの工程で使う部品は別の工場でつくられ、このロボット工場に搬入されます。そして、人の手作業によって、部品を各工程に供給していきます。部品は小さな青いパレットの上に載せて供給しますが、ロボットは自ら、作業しやすい位置にパレットを動かし、部品の形やサイズを見分けて作業の組み立てを行います。部品のサイズによってはロボットの手先を交換する必要がありますが、その交換作業もロボット自ら行うことができるそうです。
 1つの工程は20分ほどで、完成したロボットのパーツは、作業員によって回収され、組み立てラインへ運ばれます。このように、ロボットの組み立ては自動で行われるのではなく、要所で作業員による確認を経て進んでいきます。また、ロボットへの配線作業の工程だけは作業員の手によって行われているそうです。ロボットは硬いものをつかむのは得意ですが、ホースのようなやわらかいものをつかむのは少し苦手です。複雑で細かい配線作業は人の手がなければ難しいそうです。作業全体のうち、自動で行えるのは70%ぐらいで、人とロボットによる協働作業でロボットを生産しています。目の前でロボットが自動で組み立てられていく様子を参加者は熱心に見守っていました。
 その後、ロボット第2工場を見学しました。ここでは、ちりや埃を嫌うクリーン環境で働くクリーンロボットが生産されていました。半導体工場で使われる、半導体ウエハ搬送用ロボットや、液晶テレビ、太陽光パネルの生産工場で使われる液晶ガラス基盤搬送用ロボットなどの精密機器をつくるのに必要不可欠なロボット、ウイルスなどを扱うような非常に危険な場所で活躍するバイオメディカル用ロボットがつくられています。使用される環境に合わせて、生産環境も同様にクリーンな環境が必要で、作業員はクリーン服にマスクを着用し、入る前にエアシャワーを浴びます。工場内で使用するメモ用紙も通常のものだと埃が付着しているため持ち込めず、専用のものを使わなければならないそうです。 
 ここでつくられるロボットは全て人の手作業でつくられ、月に400台ほどが生産できるそうです。参加者は、ガラス越しに見学し、クリーンな環境でつくられているロボットを目にし、とても驚いていました。

■安川電機みらい館■
 最後に安川電機みらい館を見学しました。同施設は、地域住民や子どもたち、本社を訪れたお客さまなどに、ものづくりの魅力、安川電機の持つロボットの最新技術などを、体験・体感しながら分かりやすく伝える施設です。ロボットをメインとした展示物が多数あり、実際に動くロボットを見ながら、最先端技術を体験できます。「ロボティクス・サイネージ」では8台の産業用ロボットMOTOMAN(モートマン)に、動画を映し出す機器(サイネージ)が取り付けられ、ロボットが協調しながら繰り出すダイナミックな動きと、それに連動する多彩な映像表現により、サイネージのスクリーンの中に引き込まれそうな感覚を覚えました。
 また、「メカトロニクス・ウォール」では、高さ4.5メートル、幅4メートルの壁面に、キューブが128個配置されています。モータにより高速で正確な前後移動と回転動作を行うキューブに、プロジェクターで直接投影し、動く物体とプロジェクションマッピング(実物と映像をシンクロさせる映像手法)の組み合わせにより、見たこともない瞬間を創り出します。どちらも、世界初の演出装置であり、安川電機みらい館でなければ見られない展示です。まるで、壁面が生き物のように滑らかに動き、飛び出してくる様子に、参加者は見入っていました。
 その他にも、ゲーム感覚でロボットに触れ、楽しく遊びながらロボット技術を学べる「ロボティクス・エクスペリエンス」を見学し、理解を深めました。

安川電機への質問と回答

社会広聴会員:
現在のロボットはどれくらい人間に近づいていますか。また、どのような部分で人間を超えていますか。
安川電機:
人間の総合能力を超えるためにはまだ時間がかかります。しかし、人工知能(AI)の開発など、ロボットの技術開発は日夜進められています。極限の環境と呼ばれる、宇宙空間、深海、放射能がある環境といった人間では立ち入ることができない場所での作業動作では、すでに人間を超えた働きができます。ロボットの活躍分野は広がってきていますが、安川電機では、ロボットを人に近づけていくというアプローチよりも、どのようにして人の生活を助けていくかが重要だと考えています。最先端のロボットというと、二足歩行型のロボットを思い浮かべる方が多いと思いますが、安川電機では形態にこだわるのではなく、不自由な方を助けることなど、人々の日々の暮らしに役立つロボットを生み出すため、研究開発を行っています。
 

社会広聴会員:
医療、介護、生活支援を行うロボットについて、取り組みを教えてください。
安川電機:
 介護者の腰への負担をなくすため、介護ベッドから車いすへの抱え上げをサポートする製品を販売しています。介護する方の負担を軽減させるだけではなく、少子高齢化による労働力不足の解決策として期待されています。北九州市は国際戦略特区に指定され、介護用ロボットの実用化を推進しています。地域の方々と協力しながらさらに普及させていきたいと思っています。その他にも、脊髄損傷などにより下半身が完全に麻痺していても、装着することで歩行できるようになる歩行アシスト装置「ReWalk」を海外メーカーと提携して発売しました。産業分野で培ったメカトロニクス技術を医療・介護分野へ応用し、生活の質が向上する機器の開発を進めています。
 

社会広聴会員:
子どもたちへのメッセージや取り組みがあれば教えてください。
安川電機:
次世代を担う子どもたちへの働き掛けを積極的に行っています。昨今の子どもたちの理科離れを防ぐため、近隣の小学生以上を対象とした、見学会、体験学習を多く行っています。今後、技術革新を進めるためには、多くの技術者が必要になります。小さなころから、ロボットをはじめとした科学に興味を持ってもらい、1人でも多くの子どもたちがサイエンスの分野に進んでもらえればと思っています。一企業としての取り組みではありますが、このような芽を育てていくことができるように、これからも多くの子どもたちに参加してもらえればと思っています。
 

社会広聴会員:
ロボットの安全性に関する取り組みを教えてください。
安川電機:
ロボットは国際安全規格(ISO)にのっとって開発設計されています。例えば、ロボットが停止する動作に関する配線はバックアップのために必ず2本用意しなければならないなどの規則があります。また、人と同じ場所で協働するロボットはモータの出力が80ワット以下でなければならないという日本標準の規制があり、その規制に沿ったロボットも開発しています。ここでジレンマがあり、人と共存するためのロボットはパワーを減らして、ゆっくり動かなければなりません。そうすると、ロボットの特徴である、早くスピーディーな動きができなくなり、仕事の効率がむしろ悪化してしまいます。以前、ある自動車メーカーと共同で、人とロボットが同じスペースで一緒に働くためのトライアルを実施しましたが、現状では共存は難しいという結論になりました。それよりも、ロボットが持つ特性を最大限に生かすため、ロボットの作業スペースを安全柵で囲い、ロボットができる作業は任せて、人にはもっとクリエイティブな仕事をしてもらえればと考えています。技術的には共存型ロボットの開発にも成功していますので、現在は、そのロボットの使い方を含めた研究を進めています。

参加者の感想から

●技術を発展させ、収益を追うだけではなく、優れた企業理念を持ち、地域社会への貢献もしっかりされている姿勢に敬服しました。

●初めて見たロボットによるロボットの組み立てには時代の進歩が感じられ、目を見張るものがありました。懇談会で安川電機の皆さまが、愛社精神を持って、事業に取り組んでいる姿に誠意を感じました。

●ロボット工場や安川電機みらい館で素晴らしい設備と環境を体感し、科学発展の一端に触れることができ、有意義な懇談会となりました。子どもや孫たちにもぜひ見学をするように勧めたいと思います。

●地元である北九州市黒崎の地に本社を置き、創業100年経った今でも、本社を動かさず、地域貢献を柱とした地元愛にとても感銘しました。

●ロボットをつくる工程などをとても丁寧に説明していただき、よく理解できました。安川電機の方々のロボット技術に対する熱い思いが伝わってきました。 

安川電機ご担当者より

 BtoB企業の当社が生活者の皆さまとの交流の機会をいただけましたこと心より感謝申し上げます。皆さまから頂戴しましたご感想やお褒めの数々、関係者一同感激の思いで拝読させていただきました。改めてロボットへの関心の高さと当社への期待の大きさを実感しております。「産業を興して国の恩に報ゆる」の志に基づき北九州黒崎で創業し100年。これまでご支援いただいた多くの皆さまに感謝し、これからの100年に向けグローバルにかつ新たな社会を創造すべくチャレンジし続けてまいります。社業発展と地域・社会貢献を両立させグローバル企業にふさわしい企業へとさらに成長してまいりますので、今後とも皆さま方のご支援のほどよろしくお願いします。

お問合せ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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