企業と生活者懇談会
2017年9月15日 宮城
出席企業:積水ハウス
見学施設:東北工場、スマートコモンシティ明石台

「住まいが変われば社会が変わる~地域と創る未来のまちづくり」

9月15日、積水ハウスの東北工場(宮城県加美郡色麻町)、スマートコモンシティ明石台(宮城県富谷市)で「企業と生活者懇談会」を開催し、生活者8名が参加しました。同社と東北工場の概要説明を受けた後、工場で鉄骨部材や陶版外壁の製造工程を見学し、「住まいの夢工場」で制震システム「シーカス」の衝撃実験を行いました。最後に、日本初のスマートタウン「スマートコモンシティ明石台」でまちなみやモデルルームを見学し、その後、質疑懇談を行いました。
東北工場の中田篤志工場長、若木功総務部長、山本智製造部長、山本省吾情報設備部長、総務部の伊東宣明主任、早坂光樹主任、住まいの夢工場の木村美保氏、仙台北支店の清水太郎支店長、スマートコモンシティ明石台の渡邊康二郎店長、広報部の元榮先人主任、玉谷かおり主任が出席しました。

積水ハウスからの説明

■積水ハウスの概要■
 積水ハウスは、1960年(昭和35年)8月1日、積水化学工業のハウス事業部を母体として設立しました。事業の基盤は、企業理念の根本哲学「人間愛」です。「相手の幸せを願い、その喜びを我が喜びとする奉仕の心を以って何事も誠実に実践する事」を大切に、戸建住宅・賃貸住宅の「請負型」、リフォーム・不動産フィーの「ストック型」、分譲住宅・マンション・都市再開発の「開発型」、海外で高品質な住宅・環境技術「Sekisuihouse Quality」を展開する「国際」と、住まいに特化した4つのビジネスモデルを展開しています。
 累積建築戸数は235万戸に上り、社員1万6000人が5工場、119支店、23アフターセンター、総合住宅研究所などで、お客さまの暮らしを支えています。

■住まいから社会を変える■
 同社は、環境、エネルギー、少子高齢化、自然災害への対応、コミュニティの再生などの社会課題の多くは、住宅やまちのあり方と密接な関係にあると考えています。ブランドビジョン「SLOW&SMART」でも、「いつまでも変わらない住まいの快適を保ちながら、変わりゆく時代の要請に、先進技術でこたえていく」と掲げ、住まいを通じて新たな価値を創造、提供してきました。
 2008年(平成20年)には、地球温暖化対策の取り組みが認められ、業界初の「エコ・ファースト企業」に認定。翌年(2009年)には「居住性」「経済性」「環境配慮」を並立させる「グリーンファースト」を発売。2013年(平成25年)には高い断熱性能と先進の創エネ設備を備え、エネルギー収支がゼロとなる「グリーンファースト ゼロ」を発売し、持続可能な社会の実現に向け、挑戦を続けています。

■東北工場の概要■
 東北工場は1997年(平成9年)に宮城県加美郡色麻町で操業を開始しました。同社と協力会社の社員252人が、軽量鉄骨系構造部材や木造住宅用外壁の生産、鉄フレームと外壁パネルを合体した複合パネルの供給で、高性能、高品質な「邸別受注生産体制」を実現しました。月300棟の生産能力を誇り、東北6県と北海道に出荷しています。

■防災の3つの考え方■
 住宅は人の“命”“財産”“生活”を守るシェルターであるという使命の下、防災の3つの考え方があります。1つ目は、住宅がオーナーさまを守る「防災スマートハウス」です。日常は快適で災害時は自立生活を可能にする防災ゼロエネルギー住宅を供給します。2つ目は、安心のまちが住民地域を守る「防災スマートタウン」です。強固な建物と住民の絆で防災とコミュニティ形成を両立します。3つ目は、工場がオーナーさまを守る「防災未来工場」です。被災地域の最前線で災害時自立機能を備えた自社工場が復旧拠点になり、顧客邸別データ管理システムと連携してお客さまの暮らしの復旧を目指します。

■防災未来工場の取り組み■
 東北工場は、東日本大震災の教訓を生かし、2014年(平成26年)に防災未来工場を開始しました。同工場が、全国の事業拠点と被災地のお客さまや事業所を結び、情報の発信や物資の支援などを行います。防災未来工場の役割は2つです。まずは災害時の自立機能です。エネルギーの自立・確保・貯蔵ができ、人の受入施設になります。そして災害時の連携体制です。自治体や自衛隊・警察・消防などと連携し支援を進めます。
 同工場には、2メガワットアワーの「大型蓄電池」、225キロワットの「ガスエンジン発電機」、工場外周に700キロワットと玄関前に20キロワットの「太陽光パネル」があります。平常時は工場外周の太陽光パネルが売電専用となり、工場内はその他の電力で賄って、地域の電力のピークカットに貢献しています。使用状況はFEMS(エネルギー管理システム)で見える化し、エネルギー使用量削減につなげています。
 災害時は、FEMSが3電源から事務所と避難所の「住まいの夢工場」に電力を供給し、LPガスや水などのライフラインを復旧させます。避難所は250人を7日間収容できます。また、初動対応には、電力のみで30キロメートル走行可能なプラグインハイブリッド車を使います。

見学の様子

■工場見学■
 最初に鉄骨部材の製造工程を見学しました。工程は成形、孔あけ、切断、溶接、電着塗装です。まず、近隣の工場から供給された部材を使ったり、帯状のコイルを巻いたような鋼板を機械で曲げたりして柱などを成形します。次に、柱に孔をあけ、80メートルのライン上にある装置で部材を切断します。はりは6台のロボットが溶接して作ります。最後に、洗浄してごみや油を取り除き、塗料の入った槽に浸して電着塗装し、焼付乾燥したら完成です。
 少人数の技術者がコンピューター制御のロボットや自動ライン化された装置を駆使し、スピーディーに加工します。参加者は、自由設計のため、柱の孔の大きさや位置などが異なる部材を一棟ずつ製造し、性能や品質を安定させていると聞き、感心していました。
 次に、陶版外壁「ベルバーン」の加工工程を映像で視聴しました。「ベルバーン」は、焼き物の質感に加え、耐候性、耐水性、防耐火性、強度、耐震性、経済性に優れた外壁材です。製造工程は陶芸に似ています。青粘土を焼いた「シャモット」や天然の「ロウ石」などを水で練り上げ、押出機で成形します。乾燥後に専門釉薬を塗布し、約1100度の焼成炉で焼き、撥水処理を施したら完成です。焼成すると1パーセントも縮むため、安定した製品を製造するために、炉内の温度や環境を均一にし、三次元センサーカメラで寸法や色調などの品質検査も徹底しています。 

■「シーカス」の衝撃実験■
 住まいづくり体験ミュージアム「住まいの夢工場」で、制震システム「シーカス」の衝撃実験を行いました。この実験は耐震フレームと「シーカス」を使った制震フレームにボーリング球を当て、モニターで振幅を観察します。どちらもボーリング球が当たってもビクともしません。しかし、波形は、耐震の方が大きく振れ、制震の方はそれほど振れません。これは、耐震が建物の強度で揺れに耐える構造なのに対し、制震が揺れを吸収する構造だからです。「シーカス」には、強い衝撃を吸収し弱い衝撃だとゆがむ特殊高減衰ゴムが入っています。「シーカスダンパー」を「シーカスフレーム」に組み込むことで、建物の変形量を約半分に抑え、内外装の損傷も軽減できます。地震後にダンパーは元の位置に戻るため、繰り返しの地震にも強いそうです。

■女性や子どもにもやさしい「おりひめトイレ」■
 東日本大震災時に仮設トイレの利用を我慢し健康被害が発生したことから、移動式仮設トイレ「おりひめトイレ」をTOTO、仙台市と開発しました。個室内は広々とし、水洗洋式トイレ、換気ファン、荷物置き、防犯ベル、ベビーチェアなどが設置され機能的です。また、下は汚れが目立ちにくい暗めの色、上は明るめの色を使うなど心地よい空間にしています。参加者はドアを開けた際にトイレの中が丸見えにならない細やかな配慮にも感激していました。

■スマートコモンシティ明石台のコンセプト■
 日本初のスマートタウン「スマートコモンシティ明石台」は、宮城県仙台市北部に隣接する富谷市にあります。東日本大震災後、宮城県初の大規模団地開発となり、2012年(平成24年)にまちびらきをしました。
 開発面積39.9万平方メートル、総区画数763区画、想定人口2650人の団地です。同社は700区画を所有し、現在398世帯が入居しています。富谷市は15歳未満が65歳以上の人口より多く、50年間人口が増え続けています。団地内は子どもの安全にも配慮され、通学路は全て遊歩道になっています。また、商業施設や金融機関なども隣接し、徒歩圏内で生活ができます。
 コンセプトは、誰もが住んでよかったと感じる豊かな暮らしの実現です。まちづくりのキーワードは「エネルギー」「安心・安全」「健康・快適」「見守り」の4つです。
 「エネルギー」では、「グリーンファースト ゼロ」を推進しています。家の断熱性能の向上や省エネ機器の導入などの「省エネ」と、太陽電池、燃料電池、蓄電池でエネルギーを自給自足する「創エネ」で、一次エネルギーの年間消費量を正味ゼロにしています。
 「安心・安全」では、「シーカス」や耐震性の高い「ユニバーサルフレーム・システム」が標準装備です。集会所に水、オムツ、食料を備蓄し、3電池を導入した建売住宅は停電時にも明かりがともるなど、安心して暮らせます。
 「健康・快適」では、室内の化学物質を軽減する空気環境配慮仕様「エアキス」や心地よさを追求する「スマートユニバーサルデザイン」を採用しています。
 「見守り」では、地域のコミュニティづくりの支援や、警備会社のセキュリティーなどを重視しています。

■緑豊かな統一感のある美しいまちなみ■
 緑豊かで統一感あるまちなみは、「まちなみガイドライン」に従い住民と協力してつくっています。例えば、家の周囲は生け垣と宮城県丸森産の伊達冠石を使った土留で囲み、庭の木の高さや本数、シンボルツリーなども決めています。さらに、経年美化するよう、各戸に地域の在来樹を植栽し鳥やチョウを呼び込む「5本の樹計画」も進めています。ほかにも、駐車場や建物の配置、外壁の色味、門堀などもルールがあります。建売住宅もまちなみのアクセントとなるように配置されています。参加者は、時を経るごとに美しくなっていくまちなみに思いをはせていました。

■モデルルームの見学■
 テーマによって印象が異なるモデルルームを見学しました。「ステージのある家」では、吹き抜けのステージでグランドピアノが弾けます。また、「愛犬と暮らす家」では、玄関の洗い場や滑りにくい床など、人もペットもストレスを感じにくい構造です。また、屋根には瓦一体型の太陽光発電が設置されています。都市ガスから発電させるエネファームと併用し、日中は売電、夜間は買電しています。また、ホームエネルギーマネジメントシステム「HEMS」が、エネルギーの使用量や売電状況を見える化、運転状況の見守りを行います。自動制御で最適化し、停電でも5秒後には自動復旧します。参加者は、趣味やこだわりを反映した住まいが増えていると聞き、イメージを膨らませながら、見学を楽しみました。

■人が集う仕掛けづくり■
 主要な場所に大きな公園を見掛けました。公園は、各家庭から食べ物を持ち寄って懇親を深める「隣人祭り」の会場です。最初は同社が主催し、文化が根付いてきたら町内会へ引き渡します。100人程度から始まり、今では400~500人が集まります。互いの顔が分かり、地域で子どもたちを育てるという雰囲気も生まれているそうです。防犯セミナーや庭の手入れ講座などのイベントも定期的に開催し、コミュニティのつながりを深めています。

積水ハウスへの質問と回答

社会広聴会員:
色麻町と実施した防災訓練について教えてください。
積水ハウス:
2013年に「防災協定」を締結し、翌年に、宮城県沖を震源とする大地震が発生し、色麻町も震度6弱を観測したと想定した「総合防災訓練」を実施しました。同工場に町の災害対策本部を設置し、「スマートエネルギーシステム」で確保したエネルギーを供給、「住まいの夢工場」を避難所として開放しました。消火訓練、防災ヘリ救出訓練、倒壊建物救出訓練、避難所で非常食の試食や簡易間仕切りの体験など19機関、町全体では2000人以上の住民が参加しました。こういった取り組みや、小・中学校での防災教育などが注目され、2015年(平成27年)には「国連防災世界会議」のスタディツアーに選定され、2017年(平成29年)には、ジャパン・レジリエンス・アワード2017で「最優秀レジリエンス賞」を受賞しました。
 

社会広聴会員:
家を選ぶ際のポイントを教えてください。
積水ハウス:
 1点目は耐震性です。“命”“財産”“生活”を守るために重要です。2点目はライフサイクルコストです。購入費だけでなく、長く住むなら修繕などの維持費用も考える必要があります。3点目はフォロー体制です。長く住み続けるために組織としてしっかり対応してくれる体制が重要です。
 

社会広聴会員:
スマートタウンの考え方を聞かせてください。
積水ハウス:
住まいでは地震で内装も被害を受けないこと、まちづくりでは住民同士で助け合える関係を日頃からつくることを目指しています。スマートタウンは、「スマートコモンシティ明石台」を皮切りに、全国16カ所で展開しています。最近は、エネルギーだけでなく、見守りを重視している団地もあります。新たな試みとして、2016年(平成28年)に宮城県東松島市でスマート防災エコタウンを開発しました。住宅と周辺の病院や公共施設を自営線で結び、エネルギー・ネットワークを構築するマイクログリッドを採用し、各戸や防災調整池に設置した太陽光発電などで発電した電気を、エリア内で分け合います。今後も発展したスマートタウンを手掛けていきます。

参加者の感想から

●家、環境、エネルギー、防災、まちづくりと事業が幅広く、「未来方針がしっかりしている会社」と感じました。

●シーカスの衝撃実験は、ゴムを使うことで揺れを軽減する工夫がされていて、大変興味深いものでした。

●3電池を組み合わせて電気が使用できるのは、万一のときに暮らしを守る、安全で環境に配慮した対策です。

●スマート防災エコタウンのような、真の意味でのスマートシティが全国で展開されることを期待します。

積水ハウスご担当者より

 このたびは、社会広聴会員の皆さまに積水ハウスの取り組みをご見学いただき、ありがとうございました。質疑の時間には、活発なご意見やご質問をいただき、当社にとっても非常に有意義な内容になりました。「環境」「エネルギー」「防災」など社会課題の中心には「住宅」があり、今後もその解決に貢献し「住まいから社会を変える」ことを目標に取り組みを続けます。引き続き皆さまのご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

お問合せ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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