企業と生活者懇談会
2009年7月17日 岡山
出席企業:ジャパンエナジー
見学施設:水島製油所

「暮らしを支えるエネルギーについて考える」

7月17日、岡山県倉敷市にあるジャパンエナジー水島製油所で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。生活者12名が参加し、同社や製油所の概要について説明を受けた後、広大な製油所内の見学と質疑懇談を行いました。
ジャパンエナジー水島製油所からは、蒲池正道専務執行役員水島製油所所長、冨岡正芳副所長、安田匡男副所長、秋元豊総務課長、進藤昭裕生産管理課長、本社からは高田正紀総務人事部広報担当課長、また、石油連盟から橋爪吉博総務部広報グループ長が出席しました。
ジャパンエナジーからの説明
■ジャパンエナジーの概要■
 ジャパンエナジーは、純粋持株会社である新日鉱ホールディングス傘下の石油事業会社です。
 1905年(明治38年)に茨城県・日立で銅鉱山の開発に着手したのが創業で、1933年(昭和8 年)には秋田県の雄物川(おものがわ)油田の開発に成功するなど早くから石油事業に進出していました。 1961年(昭和36年)に水島製油所の操業を開始し、石油精製・石油化学事業を本格化させました。その後、持株会社制への移行などのグループ再編を経て、現在に至っています。

■水島製油所の概要■
 水島製油所は、間もなく操業50周年を迎えます。水島コンビナートの南端に位置し、敷地面積は約50万坪、ジャパンエナジーグループの西日本におけるハブ製油所と位置付けられています。水島コンビナートにある石油・石化の各社(三菱化学、新日本石油、旭化成)とは海底パイプラインで結ばれ、相互に技術開発や供給協力体制を整えています。
 水島製油所で生産された製品は、海上で九州から日本海側へ出荷し、陸路では、岡山、島根と広島の一部に出荷しています。製品の約65%がタンカー、約 25%がローリー、そして約10%がパイプラインで出荷されています。
 高度成長期には設備の増強で生産量を増やし、近年では環境に配慮した設備の充実を図るなど、常に時代とともに多様化する製品需要にこたえるべく生産能力を高めてきました。最近は、重油よりガソリンなどの軽い油のニーズが高まっていますが、早くからそのニーズを見極め、重質油熱分解装置を利用した重質油の分解に取り組んできました。この分解装置の技術や装置の豊富さが製油所の最大の強みといえます。 1日の原油処理能力は、20万5000バレル(約3.3万キロリットル)にも上り、充実した装備と生産性は、総合製油所として日本屈指の規模を誇ると同時に、アジア有数のエネルギー供給拠点となっています。
※重油油熱分解装置:原油を加熱し、いくつかの工程を経て残った油(アスファルト)から、さらに軽油などをつくる装置

■見学の様子■
 はじめに、水島製油所の全操業を行っている統合計器室を見学しました。各装置はすべてコンピューターで管理されており、何か異常があった際にはアラームで知らせる仕組みとなっています。見学時は安定した運転が行われていたため、室内はとても静かでした。
 続いてマイクロバスに乗り、製油所構内を巡りました。あちこちに巨大な蒸留装置や各種設備、タンク、パイプがあり、参加者は、そのスケールの大きさに圧倒されました。近隣のコンビナート各社とつながるパイプも間近に見ることができました。また、2013年の完成を目指して、製油所の地下140~180mで掘削工事が行われているLPガスの国家備蓄基地の工事現場も垣間見られました。
 製油所に2基ある地中タンクでは、実際にタンクの上部に昇りました。地中の岩盤をくりぬき、鉄板で覆われてつくるタンクは、地上に建設するよりも、より強度があり、大容量のものができます。また、地上に出るのはわずか5mほどのため、景観も良いというメリットがあります。タンクの大きさは、ソフトボールグラウンドができるほどの広さで、深さ48m、26万キロリットルもの容量があります。屋根は浮き屋根式で、油量に応じて屋根が上下するようになっています。見学時の油量はタンクの半分くらいでしたが、上からのぞき込むと想像以上に深く感じました。雨の中の見学にもかかわらず参加者は、製油所の従業員に熱心に質問をしていました。

ジャパンエナジーへの質問と回答
社会広聴会員:
ガソリンの需要が減れば、原油量の輸入量減になりますか。
ジャパンエナジー:
石油製品は原油を処理すると、ガスから重油まで一連の品物が一定の割合で出てくる仕組みになっているため、特定の製品だけを需要に合わせてつくるわけには いきません。灯油の需要が増えると、ガソリンもつくらなければならない仕組みです。ただ、昨今は経済不況により工場の稼動が減少し、エネルギー全体の消費が少なくなっているため、原油の輸入量も減っています。
 
社会広聴会員:
ガソリン価格の仕組みについて教えてください。 また、コストを下げるためにどのような工夫をされていますか。
ジャパンエナジー:
ガソリンは、石油製品の民間調査会社が示すデータを基に1週間単位で卸売価格を決め、販売しているので、原料の需要に応じた価格設定といえるでしょう。ガソリン価格のおよそ半分は税金です。
石油・石炭税が1リットル当たり約2円、ガソリン税が約53~54円弱、さらに消費税が掛かっています。残りのおよそ8 割は原料代ですので、原油価格に左右されます。また、中東からの原油の運搬や製油所から出荷する際のコストが25円掛かります。 ここには、ガソリンスタンドでの人件費や設備費、製油所から全国へのガソリンの運搬や宣伝活動を行う費用も含まれます。 製油所のコストはわずか5円程度に過ぎません。人件費や設備費で2円、精製過程で使う燃料費が3円となります。
この3円をどれだけ減らすかが会社として最大の課題です。水島製油所でも年間に1%のコスト削減を目指して機器の更新、日々の運転の工夫による省エネ活動を行っていますが、なかなか大きな成果が挙げられないのが実情です。
 
社会広聴会員:
代替エネルギーについてどう考えていますか。
ジャパンエナジー:
新エネルギーとして、燃料電池や太陽電池の研究開発にも取り組んでいますが、石油は石炭や天然ガスに比べて安定した価格で競争力があり、液体燃料のため扱いやすいという利点があります。 また、比較的安全性が高く、輸送のためのインフラが充実しているので、当面各エネルギー間の競争において経済合理性に優位であると考えています。 ハイブリッドや電気自動車が普及してきてはいるものの、今後5~10年の視野で判断するべきことで、急速に石油に替わるエネルギーが台頭してくることはないとも考えています。
一次エネルギーに占める石油の割合を比較すると、石油ショック当時の日本では77%でしたが、その後の脱石油政策の推進で2005年度(平成17年度)には46%程度まで減少しています。 エネルギーの安定供給の観点からも、やみくもに石油の依存度を下げるのではなく、石油、原子力、天然エネルギーをバランスよく効率的に活用、供給することを求められていると考えています。 国が策定している「長期エネルギー需給見通し」でも、2030年度の一次エネルギーに占める石油の依存度は35~37%と予想しています。石油会社として は、今後も国民生活に不可欠なエネルギーである石油を、より効率的に安全に利用してもらうように努力するつもりです。
 
社会広聴会員:
製油所の従業員は何人くらいですか。
ジャパンエナジー:
製油所全体で約500名の従業員がいます。日勤と交代勤務が半分程度です。交代勤務は4組に分かれ、1組がステーション、そのほかは計器室と現場で働いています。夜は60名体制で勤務しています。60名とは不測の事態が起こった時に、各機器を安全に停止できる人数です。数年前に、予想外の台風に襲われた際には、すべてを安全に停止することができました。
 
社会広聴会員:
事務所内で従業員の写真をたくさん見掛けました。
ジャパンエナジー:
資格を取得した従業員の写真を掲示しています。
高圧ガスなどの法定資格は全従業員に取得が課せられています。会社は人材育成の一環で資格取得を奨励しており、400名以上にもれなく資格を取らせるために、教育センターで力を入れて指導しています。 また、自分の部下がいつ資格を取得するかを把握するなど、縦のラインでの計画を立て、資格取得に取り組みやすい環境をつくりサポートしています。 そのほか、設備管理を万全に行うため、独自に「設備管理技能士」という資格を設け、製油所全体で資格の取得に取り組んでいます。 資格を取ったから、給料が良くなるなどということはなく、技能士には、自分の実力が付いたことを実感させることが重要だと考えています。勉強を続けていく 過程での励みとして資格の取得と写真の掲示を行っています。
 
社会広聴会員:
社会貢献活動について教えてください。
ジャパンエナジー:
ジャパンエナジーでは、「JOMO童話賞」という社会貢献活動を行っています。今から40年ほど前、各家庭に灯油 の訪問販売をする際に童話作品集を一緒に配布したことから始まりました。 その後、一般公募した作品の中から、優秀作品をまとめた冊子『童話の花束』を約30万部発行するようになりました。 本は特約店などに購入してもらい、その売上金、約2000万円を「JOMO童話基金」として、社会福祉法人全国社会福祉協議会へ寄付しています。本には森林整備で生じた間伐材を活用した用紙を使用しており、森林保全活動にもつながっています。
水島製油所でも、この活動を広く紹介したいと考えて、毎年童話が発行されると、従業員から寄付を集めて購入し、近隣の教育委員会や福祉施設、病院などに 配布しています。
先般、近隣で開催された緑化フェアに出展したJOMOブースで、この『童話の花束』を展示したところ、ご来賓の秋篠宮ご夫妻が手に取られ、1冊お持ち帰りになられました。
 
参加者の感想から
●香川県から参加しましたが、対岸の水島工業地帯では何が行われているのかと長年疑問に思っていました。今回の見学と説明でよく分かりました。

●石油には、普段ガソリンスタンドでしか接する機会がなく、原油の高騰で価格が上昇したことにしか興味がありませんでした。参加して、ガソリン1リットルをつくるコストを精製技術や機器更新で日々改良されている現状を知ることができ、石油というエネルギーの大切さを改めて認識しました。

●時代は、ガソリンを含む化石燃料の消費を少しずつ減らそうとする変革期にあります。所長のご挨拶で、「今の設備を最大限有効に活用し、日本の産業のため に役立ち、最終的に製油所がひとつだけ残ったとしたら、それが水島製油所でありたい」という言葉に、産業人としての強い誇りを感じました。

●日本の産業の原動力である水島コンビナート石油精製の現状を見てスケールの大きさに驚くと同時に従業員の方が現状の課題をよく認識し、真摯に取り組む姿に感激しました。ただ、もう少し地域とのかかわりや具体的な内容などについて話し合える時間があったら良かったと思っています。

お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
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