企業と生活者懇談会
2010年2月19日 東京
出席企業:資生堂
見学施設:資生堂本社

「資生堂の企業文化を知る」

(概 要)
2月19日、東京都中央区にある資生堂本社で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員23名が参加し、資生堂の企業概要や企業文化について説明を受けた後、本社内にある資生堂ライフクオリティービューティーセンターやハウス オブ シセイドウ、また近隣にある資生堂ギャラリーをそれぞれ見学し、質疑懇談を行いました。
資生堂からは、広報部の関口佐俊部長、永井美保子課長、安藤昌彦参事、佐藤純氏、企業文化部からは久保豊次長、樋口昌樹参事、そのほかお客さま・社会リレーション部の稲川弘課長が出席しました。
資生堂からの説明
■資生堂のあゆみ■
 資生堂の創業は1872年(明治5 年)。日本初の洋風調剤薬局として東京銀座に誕生しました。海軍病院の薬局長であった創業者の福原有信は、それまで日本にはなかった医薬分業の実践を志して興しました。
 有信は、新しい発想で次々と製品を世に送り出しました。その代表例が、日本初の練歯磨「福原衛生歯磨石鹸」です。また、日本初のソーダ水や、当時はまだ珍しかったアイスクリームを日本に持ち込んで販売したのも有信です。その後、有信の三男で初代社長の福原信三や、二代目社長の松本昇の時代を経て、現在の資生堂の土台が出来上がりました。

■社名の由来~和魂洋才の考え~■
 同社の社名は中国の古典、『四書五経』の『易経』の一節「至れる哉坤元、万物資りて生ず(いたれるかなこんげん、ばんぶつとりてしょうず)」から由来しています。これは、「地の徳はなんと優れているのだろう。すべてのものはここから生まれる。大地のあらゆるものを融合し、新たな価値を生み出す」という意味で、西洋薬学に基づく新事業を興すにあたって、東洋の思想を取り入れた有信の「和魂洋才」の考えが現れています。

■資生堂の企業文化~第四の経営資産~■
 同社では、企業文化とは、企業の歴史を通じて組織内に培養され、蓄積されている知的・感性的資産であり、ヒト・モノ・カネに次ぐ、第4 の経営資産と考えています。そして、その企業文化の土台となっているのが、福原信三が定めた5 大主義です。これは、品質本位主義、共存共栄主義、消費者主義、堅実主義、徳義尊重主義から成っています。
 なかでも、品質本位主義は、信三の「商品をして全てを語らしめよ」との言葉に表されるとおり、商品ひとつで企業のことが分かるようにするという思いが込められており、この精神が現在に至るまで同社のあらゆるデザイン、製品すべての源になっています。
見学の様子
■資生堂ギャラリーの見学■
 資生堂ギャラリーは1919年(大正8 年)にオープンした、現存する日本で最古の画廊といわれています。これまでに開催した展覧会は3000回を超え、次代を担う若手芸術家の作品などを積極的に紹介しています。
 今回の見学では、岡本純一氏が手掛けた「空間の彫刻」を体感しました。ギャラリーの中を明と暗、日常と非日常の両世界に分断する斬新な手法が用いられており、両空間を結ぶ穴をくぐることで、空間が劇的に変化する不思議な感覚を味わうことができました。

■ハウス オブ シセイドウの見学■
 ハウス オブ シセイドウは、明治時代から今日まで続く銀座と資生堂の歩みを地図や写真、商品やCM、書籍などの展示により、紹介する施設です。
 ここでは、同社の化粧品の歴史や、女性を彩ってきた数々の広告などを見学しました。なかでも、中央に設置されたアーカイブテーブルの引き出しを開けると、「スキンケアの歩み」や「『花椿』ものがたり」など、同社の商品やその歴史を紹介する物語がそれぞれに用意されており、全部で14のストーリーが楽しめます。過去のCMを視聴できるブースでは、少女時代の吉永小百合さんの映像が流れ、思わず参加者から大きな歓声が上がる場面もありました。
資生堂への質問と回答
※2010年2月19日時点による内容です
 
社会広聴会員:
 
今後の資生堂の目指す方向は。
資生堂:
日本発、アジアの資生堂として、世界中のお客さまに美しくなっていただけるように、国際社会の中で貢献しながら事業活動をしていきたいと思います。今回の金融危機は当社にとっても大変厳しいものでしたが、逆に気を引き締め、これからの成長の在り方を考える良い機会として生かしていきたいと思います。
 
社会広聴会員:
これからの時代の化粧品の在り方は。
資生堂:
今後、高齢化社会が進展していく中にあっては、「美しく年を重ねる」というサクセスフルエイジングの考え方が大切になると思っています。実は、資生堂は20年以上前からこの考え方を提唱しています。体力は20~30代でピークを迎えるのに対し、知力は60代を過ぎてピークを迎えるとの研究データもあり、これからは美しく年を重ね、加齢を楽しむという生き方を、化粧品を通して積極的にお手伝いしていきたいと思います。
 
社会広聴会員:
今後の海外戦略について教えてください。 
資生堂:
資生堂では、従業員4 万人のうち約1 万5000人が海外で働いており、売上高に占める海外比率は38%です。現在、中国市場では健闘していますが、欧米は市場環境が成熟しており、競争が激しくなっています。グローバル競争下でしっかりと存在感を示していくには、アジアのみならず、欧州・米州といった拠点市場でこれまで以上に成長を遂げ、広くお客さまからの信頼と知名度を得ていきたいと考えています。
 
社会広聴会員:
中国市場での活動状況を教えてください。
資生堂:
1981年(昭和56年)に北京で販売開始、1991年(平成3 年)に合弁会社を設立しました。代表的な製品は「オプレ」で、北京の工場で作っています。これはいわば「中国人による中国人のための製品」で、現地でもすっかり浸透しています。例えば、デパートの化粧品売り場で舶来品コーナーをつくると、資生堂グローバル化粧品は置いてもらえますが、オプレは置いてもらえません。これは、オプレが中国の製品としてすっかり認知されていることの表れで、とてもありがたく思っています。このデパート専用の製品オプレに加え、専門店用の「ウララ」、薬局向けの「DQ」の3 本柱を軸に積極的な販売を行っています。
 
社会広聴会員:
創業以来の企業理念をどのように維持し、発展させてきたのでしょうか。
資生堂:
資生堂では、新人研修などの各種研修、そのほかあらゆる情報発信の場において、創業者の福原有信、信三、そして松本昇が掲げた企業理念を繰り返し話しています。特に本社から情報を発信する場合には、必ずこの企業理念と照らして、今我々がどういう位置付けにあるのかを説明するようにしています。日本を含め73の国と地域、4 万人の社員に発行している社内報でもこの理念に触れています。こうして、社員が常に創業時の企業理念に立ち返って考えることを習慣化するようにしています。
 
社会広聴会員:
化粧品が心身に与える影響を教えてください。
資生堂:
心身への影響については、大学と連携しながらメーキャップによる行動の変化、積極性の変化などを検証しています。また、当社は「資生堂ライフクオリティービューティーセンター」という施設を設け、そこで肌に深い悩みを持つ人に、専門の研修を受けた美容部員によるアドバイスをご提供しています。あざややけどなど様々な悩みを持った方が相談に来られていますが、アドバイスを受けると相談者の表情が次第に生き生きと輝いてこられます。これは、肌の悩みの解決により、心まで明るく元気になるためと考えています。
 

社会広聴会員:
美容部員(ビューティーコンサルタント)の教育はどのようにされているのですか。
資生堂:
ビューティーコンサルタントは、「お客さまが美しくなっていただくことのお手伝いをする」ということを使命にしています。メーキャップ技術から始まり、スキンケア、おもてなし、立ち居振る舞い、表情まですべてをトレーニングしています。また、部員の人事評価の在り方も、かつては販売量を基準にしていましたが、今ではそれをお客さまからの評価に変え、お客さま対応の満足度を重視するように指導しています。
 
社会広聴会員:
役員や管理職に占める女性比率を教えてください。
資生堂:
役員クラスで見ると、取締役会メンバー15名中3名が女性で、副社長と社内外監査役をそれぞれ務めています。また、管理職で見ると、女性比率は現在19%です。今後、2013年までにこの比率を3割に伸ばしたいと考えています。
  
社会広聴会員:
環境への取り組みは。
資生堂:
当社ではエコポリシーを定め、調達やものづくりなど個々の工程の中で留意するべき基準を作って、二酸化炭素の削減と省資源化に取り組んでいます。さらに今後は、美とエコの融合も進めたいと思っています。
 
参加者の感想から
●「一瞬も一生も美しく」という資生堂のキャッチフレーズに夢を感じました。私の一生がそうであるようにと願い、座右の銘にしたいと思います。

●華やかなイメージとは対照的に堅実経営を続けつつ、時代の流れに対応する軌道修正をタイミング良くなさってきたことがよく分かりました。

●「化粧品で心まで豊かに」「リッチでなくてはならない」など、心に残るメッセージがたくさんありました。
資生堂ご担当者より
 ご参加いただきました皆さまには、より一層当社についてご理解を深めていただけたと思います。皆さまから多くのご意見やご感想をいただきました。この貴重なご意見を今後、参考にさせていただきたいと思います。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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