企業と生活者懇談会
2011年11月24日 兵庫
出席企業:神戸製鋼所
見学施設:加古川製鉄所

「オンリーワンを追求する製鉄所」

2011年11月24日、兵庫県加古川市の神戸製鋼所加古川製鉄所で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。参加した16名の社会広聴会員は、神戸製鋼所、加古川製鉄所の概要および製鉄工程について説明を受けた後、製鉄所を見学。続いて質疑懇談を行いました。
神戸製鋼所から、加古川製鉄所の岩崎有恒副所長、有薗徳美計画管理部計画室長、吉武邦彦環境防災管理部長、長山展エネルギー部長、総務部の丹波谷至邦総務室長、土井正人労働室長、大和彦総務室企画担当課長、本社秘書広報部の竹之下登広報担当部長、大井敬一広報担当部長、萩本光威次長が出席しました。
神戸製鋼所からの説明
■神戸製鋼グループについて■
 1905年(明治38年)創立の神戸製鋼所は、2006年(平成18年)に制定したグループブランド「KOBELCO」の下、神戸製鋼グループとして、鉄鋼、溶接、アルミなどの素材系事業と、産業機械、建設機械、資源・エンジニアリングなどの機械系事業を中心に、電力卸、不動産など多岐にわたる事業を展開しています。連結売上高約1兆8600億円(2010年度(平成22年度))のうち鉄鋼事業部門の売り上げは半分以下と、複合経営が進んでいます。 

■加古川製鉄所について■
 加古川製鉄所は、兵庫県加古川市の瀬戸内海沿岸部に位置し、約5200名(協力会社を含む)が働いています。1968年(昭和43年)に厚板工場として操業を開始し、2年後の1970年(昭和45年)に第一高炉が火入れされ銑鋼一貫体制の製鉄所となりました。厚板(造船、建築用)、薄板(自動車、家電製品)、線材(タイヤスチールコード用など)の3種類を製造しており、中でも薄板は総製造量の5割強を占める主力製品です。各種設備・工場は合理的にレイアウトされています。敷地東側から石炭、鉄鉱石を荷揚げし、隣接のヤードに貯蔵。敷地中央の高炉や各種工場を経て、西側の岸壁から出荷と、物は工程順に東から西へと一方向に流れていきます。 
 資源やエネルギーの有効利用にも努めています。鉄の溶融・精錬で発生するガスは回収して自家発電や加熱炉の燃料として利用します。工業用水の97%もリサイクルしています。 
 
■製鉄工程について■
 鉄鉱石と石炭の事前処理からスタート。鉄鉱石の多くは焼結鉱や丸い粒状のペレットへと一定の大きさに焼き固めます。石炭は蒸し焼きにしてコークスにします。石炭は鉄鉱石に含まれる酸素を取り除くために必要で、鉄鉱石を溶かす熱源にもなります。 
 次は製銑。高炉の上部から焼結鉱、ペレットとコークスを装入し下から熱風を吹き込むと、コークスが燃え高温下の化学反応で、酸素が取り除かれた溶けた鉄(銑鉄)が生まれます。ここまでは品質面で差別化する要素は多くありません。 
 続いて製鋼。まず銑鉄からリンや硫黄を除去。次に転炉で炭素などを取り除き、合金元素(クロム・ニッケルなど)を添加。この工程で、鉄から加工性に富む強靭な鋼(溶鋼)に生まれ変わります。 
 溶鋼は、連続鋳造工場で冷やし固められ、スラブ、ブルームといった半製品に形づくられます。 
 スラブは、厚板工場で圧延機により成形され、造船、建築向けの厚板となります。熱延工場ではスラブを圧延して薄い鋼板をつくり、約半分を出荷。残り半分は冷延工場に送られ、常温でさらに圧延し表面の美しい加工性に優れた鋼板に仕上げます。メッキ、塗装などの表面処理を経て完成する鋼板もあります。ブルームはビレット(鋼片)を経て圧延され線材となります。
見学の様子
■高炉■
 貯炭ヤード、広大な鉱石ヤードを抜けて敷地中央部へと進むと、高さ約110メートルの巨大な高炉3基が見えてきました。第二高炉のエレベーターを昇り案内されたのは、高炉下部の出銑口(できあがった溶銑の排出口)の直上部です。担当者の操作により大きな床蓋が開き出銑口があらわになると、周囲は明るくオレンジ色に照らされ、白く輝く光の帯が噴き出し流れていくのが見えます。先ほど遠目に見た鉄鉱石の新しい姿―液体の鉄です。さらに高炉の上部へ。稼働中の高炉本体を背に、約50メートルの高さから製鉄所のレイアウトや立地を展望しました。 
 
■厚板工場■
 スラブを巨大なローラー(圧延機)で挟み、鋼板の幅と厚さを成形する工程を見学しました。 
 ライン上を進んできた真っ赤なスラブ。1000度を超えるその熱は、ラインを見下ろす見学者の顔まで伝わってきます。まず粗圧延機で、角度を変えながら幅が整えられます。続いて仕上げ圧延機へ。スラブは圧延機に挟まれ、ごう音を響かせながら前へ後へ移動を繰り返すうちに、薄く長く延びていきます。掛けられた水が音を立てて一瞬に蒸気となり辺りを覆います。 
 製品は、厚さが均一でゆがみがなく、発注者の注文通りに成形されていなければなりません。音と熱が支配するダイナミックな工程は、コンピューターを駆使した緻密な品質制御と、従業員による圧延機などの確実な保全作業により支えられているとのことです。
神戸製鋼所への質問と回答
社会広聴会員:
製鉄業界では合併など業界再編の動きが見られますが、貴社の経営戦略を教えてください。 
神戸製鋼所:
「KOBELCO VISION “G”」という中長期経営ビジョンがあります。5~10年後のあるべき企業グループ像と業績イメージ(連結売上高3兆円程度、海外売上高50%以上など)を設け、その実現のための5つの基本方針(①オンリーワンの徹底的な追求、②ものづくり力の更なる強化、③成長市場への進出深化、④グループ総合力の発揮、⑤社会への貢献)を2010年に策定しました。 
この基本方針にあるように、独自の付加価値が高く評価されるオンリーワンの技術・製品の提供に努めています。鉄鋼事業で量を追うことは考えていません。また、高需要が見込まれる東南アジア、インドなどへの海外展開を進めることで、業容の拡大を目指します。
 
社会広聴会員:
オンリーワン製品を教えてください。 
神戸製鋼所:
加古川製鉄所の製品としては、まず自動車の軽量化・低燃費化に貢献する薄板「ハイテン(高張力鋼板)」が挙げられます。鉄は硬いだけでなく、粘り強く加工が容易でなければ使い物になりません。当社は薄板ハイテンに、高い成形加工性や溶接性を確保し業界をリードしてきました。厚板では、例えば「ひずみレス鋼板」。高い寸法精度が実現でき、造船の生産性向上に寄与します。 
最近話題となった技術には、「ハイテンとアルミを合わせた複合素材」があります。独自の溶接材料を使うことで、従来強度を持たせることが難しかった鉄とアルミの溶接を可能にしました。現在、車への実用化を目指している段階です。建機には、材料の一部にハイテンを採用する製品もあります。 
鉄鋼、溶接、アルミ・銅、機械、建機など様々な事業を手掛けていることがシナジー効果を生み、オンリーワン製品を創り出す背景のひとつになっています。
 
社会広聴会員:
海外で働く従業員数はどのくらいですか。 
神戸製鋼所:
グループ従業員総数は約3万5000人ですが、このうち約9000人は海外主要拠点(82カ所)の現地採用です。うち中国が約3400名を占めます。 
また、日本人従業員約400名が海外に駐在勤務する一方で、国内では中国出身者を中心に外国籍の従業員の採用が進み、現在20名程度のスタッフが働いています。 
 
社会広聴会員:
社会貢献活動について教えてください。 
神戸製鋼所:
2019年に日本でワールドカップが開催されるラグビーを中心に、スポーツ支援に引き続き力を入れていきます。高校生大会への協賛や直接指導、さらに女子ラグビーの育成支援も進めています。 
事業活動の遂行にとって地域との共存共栄が前提です。ここ加古川でも、製鉄所近くの小学生の登校時の交通安全立哨、小学生バレーボール大会の主催、地域住民の声を聞く月一度の地域パトロールなど様々な地域貢献・交流活動を展開しています。中でも毎年10月開催の「神鋼かこがわフェスティバル」は2011年(平成23年)に第21回を迎え、加古川市のお祭りのひとつとして地域住民や他の地元企業にも積極的に参加いただき、毎年6万人以上の方でにぎわいます。
 
社会広聴会員:
周辺環境にどのように配慮していますか。 
神戸製鋼所:
敷地北側に住宅が立ち並んでおり、周辺環境には一層の配慮が求められています。騒音、大気汚染、粉じんなどについて、関連する法令や協定の遵守は当然のこととして、さらなる影響の低減に努めています。発生する硫黄酸化物、窒素酸化物などは排出基準を遵守して放出しています。騒音も常時測定・監視しています。 
最も力を入れているのが粉じん対策です。貯炭ヤードや鉱石ヤードへの散水、原料運搬のベルトコンベアの密閉化、敷地北側2.2キロメートルに渡る高さ25メートルの防じんネットの設置など、様々な対策を取っています。 
計測データをオープンにすることも大切です。窒素酸化物などの時間当たり排出データや月間の粉じんデータを、ホームページや周辺市町の役場に設置したモニターを通じて公開しています。「環境フリーダイヤル」を設けて、24時間365日、環境に関するお問い合わせに対応しています。 
参加者の感想から
●オンリーワンの製品が数多くあることが分かって心強く思いました。子どもたちの登校時の交通安全立哨、地域パトロールなど、地域社会の中に溶け込む貢献活動にも力を入れていることがよく分かりました。 
 
●緑の多いきれいな製鉄所でした。真っ赤なスラブに日本の工業を支えている原動力を見た思いです。 
 
●厚板工場で鉄板がコンピューター制御で注文どおりに成形されていくのを見て、「鉄が国家を支えている」と感動しました。常に技術革新を目指している姿勢は、企業および人間、産業を発展させることにつながるものであり、大いに期待しています。 
 
●私たち生活者の使用する製品にはKOBELCOのマークはありませんが、欠かせない材料として幅広い領域で使われていることがよく理解できました。
神戸製鋼所ご担当者より
 社会広聴会員の皆さまには、ご見学頂きありがとうございました。また、貴重なご意見、温かな励ましのお言葉を頂き大変感謝しています。皆さまのご意見は、今後の当社グループの活動に生かすとともに、ものづくりを通じ、地域に根差した事業活動を行ってまいります。街でKOBELCOを見掛けたら、今回の見学を思い出して頂けたら幸いです。
お問合せ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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