企業と生活者懇談会
2007年5月10日 宮城
出席企業:新日本石油
見学施設:新日本石油精製仙台製油所

「暮らしを支える石油を考える」

5月10日、宮城県の仙台市宮城野区と多賀城市、七ヶ浜町の3市区町村にまたがる、新日本石油精製の仙台製油所で「企業と生活者懇談会」を開催しました。生活者16名が参加し、同社の企業戦略と仙台製油所の概要について説明を受け、所内を見学した後、質疑懇談を行いました。新日本石油精製・仙台製油所からは、小菅章光執行役員仙台製油所長、伊藤理副所長(事務担当)、松田忠雄副所長(製油担当)、木村睦副所長(工務担当)、佐藤洋環境安全グループマネージャー、中村延幸総務グループマネージャー、遠藤博地域交流室シニアスタッフが出席しました。また、新日本石油から経営管理第1本部広報部の大山陽一副部長、石油連盟から浜林郁郎総務部広報グループ長が出席しました。
新日本石油からの説明
■新日本石油の歩み■
 新日本石油は、1999年(平成11年)に日本石油と三菱石油が合併して日石三菱として発足、2002年(平成14年)に現在の社名になりました。サービス・ステーションでお馴染みの「ENEOS」ブランドには、グループ理念である「Your Choice of Energy -エネルギーの未来を創造し、人と自然が調和した豊かな社会の実現に貢献します」という思いが込められています。

■新日本石油の事業戦略■
 新日本石油グループの事業戦略は、石油の探鉱・開発から国内での販売に至る一貫操業体制と、天然ガス・電力・石油化学などの事業を幅広く行う総合エネルギー企業グループ体制の確立が2本柱です。また、これらの事業活動を支える基盤として、CSR(企業の社会的責任)推進活動を位置付けています。
 一貫操業体制については、石油の99%を輸入に依存している日本のエネルギー供給を支えるべく自主開発原油の「探鉱・開発」に取り組むとともに、「輸入・備蓄」「精製・生産」「物流」「販売」の各部門で安定的かつ効率的な供給を目指し、日々努力を重ねています。
 また、総合エネルギー企業体制の確立に向けては、LNG(液化天然ガス)の輸入・販売や残ざん渣(さ)油(原油の残りかす)を活用したクリーンな発電事業、将来のエネルギーとして期待される水素を利用した燃料電池、石油から様々な製品を作る石油化学など、幅広いエネルギー事業を展開しています。

■仙台製油所の概要 ■
 1968年(昭和43年)に三菱石油など数社が同地区に製油所を設立し、1971年(昭和46年)から操業を開始したのがこの製油所の始まりです。 2002年(平成14年)に新日本石油精製仙台製油所に名称を変え、現在に至ります。
同製油所の広さは150万平方メートル、原油処理能力は1日当たり14万5000バーレルで、LPG(液化石油ガス)、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油、アスファルトなどの石油製品を生産し、東北地方唯一の製油所として、同地方を中心に毎日の生活に欠かせないエネルギーを供給しています。

■仙台製油所の特長■
 同製油所は、原油処理能力では全国の製油所の平均(15万9000バーレル)を若干下回りますが、設備面では高度な装置を有しています。例えば、重油の硫黄分を除去する脱硫装置の能力が原油処理能力の36%と全国製油所平均の2.5倍、重油を分解してガソリンや軽油を作る能力が同じく30%と全国製油所平均の1.5倍であり、ともに全国の製油所と比較して高い水準です。このため、同製油所では、重油が多く含まれる、コストの安い「重たい」原油から、より多くのガソリンや軽油を生産できるという特長を持っています。
 また、現在600億円を投じて、同製油所内に新しい設備の建設を、ACE(Advanced refinery of Chemical andElectrical integration)プロジェクトと銘打って進めています。この設備により、オクタン価の高いガソリンを生産する装置の能力が原油処理能力の33%と全国製油所平均の2倍まで向上する予定です。また、アジア諸国で需要が増加しているキシレンやプロピレンなどの石油化学製品の増産や、高効率の発電設備を用いた電気小売事業への参入など、ACEプロジェクトの完遂により、将来の総合エネルギー基地としての機能が大きく向上します。

※オクタン価
燃料のノッキング(異常燃焼)のしにくさを示す指標。オクタン価の値が高いほど、ノッキングを起こしにくい。


■仙台製油所の環境への取り組み■
 同製油所の運営にあたっては、安全操業を最大の使命とし、「地域社会との共生」を念頭に置いて環境面での取り組みを進めています。
 まず、製造面では、同製油所の装置を活かして、硫黄分を10ppm以下にした「サルファーフリー」のガソリンや軽油を生産しています。また、製品をタンクローリーに積み込む際に、大気汚染の原因となるVOC(揮発性有機化合物)を回収する設備投資を行っています。
 水質汚濁防止への取り組みとしては、工場排水の油水分離や加圧ろ過などを実施しています。また、製油所に停泊しているタンカーから、万が一原油が流出しても問題がないように、オイルフェンスや油回収船を配備しています。
 製油所全体では、毎年1%の省エネを進める目標を立て、2006年度では前年比1.7%の削減を実現しました。その結果、2006年度までに1990年比で35%の省エネを実現しています。

■仙台製油所の安全・防災活動■
 同製油所では、地震や津波などの様々なケースを想定して、防災体制を整えています。地震に対しては、構内に設置した地震計が一定の数値以上の揺れを観測した瞬間に、自動的に装置が停止するシステムを導入しています。2005年(平成17年)に宮城県沖で発生した地震の際には、動力装置を含めてすべての装置が速やかに自動停止し、安全を確保しました。消防車両も消火能力に優れる大型車両を数多く配備し、全所員が参加する総合防災訓練などを通じて、迅速かつ的確な対応に努めています。

■製油所内の見学■
 新日本石油の全社的な取り組みと、仙台製油所の概要について説明を受けた後、広大な製油所構内をバスで巡り、大規模な装置を車内から見学しました。説明を受けた各種装置の実物の巨大さを目の当たりにできた、大変貴重な機会でした。
 また、当日は特別に精製工程や動力源の管理を集中的に行う中央制御室(オンサイトコントロール室)を見学し、その業務内容について説明を受けました。コンピューター制御と遠隔監視により、24時間安全かつ安定した操業を守っている努力の一端を垣間見ることができました。
新日本石油への質問と回答
社会広聴会員:
新日本石油として、環境に配慮した製品にはどのようなものがありますか。
新日本石油:
2005年(平成17年)に発売した環境ハイオクガソリン「ENEOSNEWヴィーゴ」は硫黄分を10ppm以下にする「サルファーフリー」を実現するとともに燃費を最大3%向上、規制排出ガスを最大10~30%低減しています。また、同年にガソリン・軽油全体の「サルファーフリー」を世界に先駆けて達成し、自動車の燃費向上を通じて二酸化炭素排出量を削減することにより、地球温暖化防止に貢献しています。このサルファーフリー燃料の製造・販売と脱硫プロセス技術の開発が評価され、「平成17年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰(技術開発・製品化部門)」を受賞しました。また、水素を使って電気と熱をつくる家庭用燃料電池を世界で初めて商品化しています。これにより二酸化炭素排出量を30~40%削減することができます。
 
社会広聴会員:
新日本石油では、どのような社会貢献活動を行っていますか。また、その方針を教えてください。
新日本石油:
社会貢献活動の柱は、(1)環境技術を通じた社会貢献、(2)次世代の育成支援の2つです。 まず、環境技術については、二酸化炭素や有害物質を排出しない水素エネルギーシステムの技術革新の芽を育てるため、2006年(平成18年)に 「公益信託ENEOS水素基金」を創設しました。また、次世代育成としては、将来を担う子どもたちを対象に、子ども科学教室や環境教育を実施したほか、社会人野球の新日本石油ENEOS野球部による少年野球教室や、ジュニア野球トーナメントENEOSカップなど、スポーツを通じた社会貢献活動を実施しています。
 
社会広聴会員:
現在話題になっているバイオガソリンについて、今後の見通しを教えてください。
新日本石油:
2007年(平成19年)4月に首都圏50カ所で発売を開始しており、3年後には全国で販売する予定です。現在エタノールは法律により3%までガソリンに混入できますが、直接エタノールを入れてしまうと、蒸発ガスによる大気汚染や、車の部品の劣化などの恐れがあります。そこで今回発売したバイオガソリンはエタノールをバイオETBEという物質に加工して配合し、規格に沿って製造しており、安心して使っていただける品質を確保しています。
 
社会広聴会員:
石油製品の国内需要が減少しつつありますが、今後の見通しや、新日本石油としての戦略を教えてください。
新日本石油:
日本国内の需要は、2006年度には前年に比べて5%を超える減少となり、今後も徐々に減っていくと予想されています。従って新日本石油は、石油だけでなく、様々なエネルギーや石油化学製品をお届けする「総合エネルギー企業」を目指しています。また、石油製品の需要が急激に伸びているアジア諸国の企業と包括的な業務提携を結び、アジア市場をグローバルにとらえ、受託精製事業なども行っています。 一方、サルファーフリーのガソリン・軽油など環境対応技術の進歩により自動車の燃費が向上することで、石油の消費量が減っていく面もあります。 新日本石油としても売り上げが減ることは痛手ですが、環境問題は最も重要な課題であり、積極的に環境対応商品を開発し、販売していきたいと考えています。
 
参加者の感想から
●石油製品を生産するには、港湾やタンク群、大規模な装置などを総括する大規模な土地が必要であることを、見学を通じて改めて認識しました。

●石油だけではなく、将来のことを考えて新エネルギーの開発、普及にグループ全体で取り組んでいることが分かりました。

●防災面で二重三重にチェックされていることが分かり、地元住民として安全安心を深く感じることができました。

●安全、安心はもとより、CSRやコンプライアンスにも力を入れているENEOSを応援していきたいと思います。

●石油業界全体の話や、エネルギー全体の問題点など、石油に関することを分かりやすく話していただき、内容が充実した懇談会でした。

●今まであまり考えずに使っていたガソリンなどについて、消費者へ供給されるまでのプロセスがよく分かることで、使用する際の心構えが違ってくると思いました。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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