企業と生活者懇談会
2010年9月30日 神奈川
出席企業:大成建設
見学施設:大成建設技術センター

「人と自然を結ぶ建設技術」

2010年9月30日、神奈川県横浜市戸塚区の大成建設技術センターで、「企業と生活者懇談会」を開催しました。参加した21名の社会広聴会員は、技術センターに関するDVDを視聴後、説明を受けました。その後、センター本館研究棟と実験施設を見学。続いて質疑懇談を行いました。 
大成建設から、技術センターの東江隆夫技術企画部長、酒井雅史情報技術室長、経営企画部の島本幸一郎CSR推進室長、環境本部企画管理部の日野隆地球環境室次長、人事部の塩入徹弥いきいき活躍推進室長、広報部の小林修社会貢献推進室長が出席しました。
大成建設からの説明
■技術センターについて■ 
 大成建設は、建築・土木を中核に事業を展開するゼネラル・コントラクター(総合建設業者)です。 
 技術開発部門は1958年(昭和33年)に新設されました。数度の機構改革を経て、現在は「技術センター」として、同社およびグループ会社の建築・土木関連技術の研究・開発を担っています。当初、実験施設は東京都江東区に設置されましたが、その後ここ横浜市戸塚の地に移転し、およそ30年が経ちました。約3万5000平方メートルの敷地に、合計11棟の研究・実験施設が並びます。 
 技術センターは、建設業の技術開発部門でありながら、建築・土木技術だけではなく、生物、化学といった様々な関連分野の研究にも力を入れているのが特長です。 
 
■技術センターの使命■ 
 技術センターの使命は、3つ挙げられます。ひとつは、新しい技術の研究開発と、開発した技術を現場に適用・展開すること。次に、現場・顧客からの緊急の要請に対して、建築・土木だけでなく物理、化学、生物を含む様々な分野を専門とする研究スタッフの知恵を集結して解決策を提供すること。3つ目は、広くアンテナを張って、先端技術情報、現場・顧客ニーズの変化、さらに異業種で用いられている技術情報を獲得して社内に発信することです。

■技術センターの組織■ 
 技術センターは6つの部から構成されています。 
 まず管理部門として、技術施策の立案・推進、数ある研究開発テーマの選定・評価および予算管理などを行う「技術企画部」と、技術の特許と知的財産の管理を行う「知的財産部」があります。 
 次に研究部門ですが、「建築技術研究所」「建築技術開発部」「土木技術研究所」「土木技術開発部」の計4部です。このように建築と土木それぞれに技術研究所と技術開発部の2種類の部があります。技術研究所は、3~5年程度で新技術の研究開発を行う部門です。一方の技術開発部は、顧客・現場からの課題や要望に対して、最適な解決策を探り必要な技術を提供するなど現場に直結した対応を行うのが役割です。 
 以上の部門に210名の研究員が配属され、実験・解析の支援要員100名程度が加わり、総勢およそ310名が技術センターで働いています。 
見学の様子
■技術センター研究本館■ 
 2007年(平成19年)に、研究活動の創造性・生産性向上や、最新技術のショールームとして外部者の見学も念頭にリニューアルされた技術センター研究本館を見学しました。大幅な二酸化炭素(CO)削減と、排出権使用による、業界初の「COゼロオフィス」でもあります。 
 リニューアルにより生まれ変わった研究棟前面の増床部分は、同社が誇る超高強度繊維補強コンクリート構造、省エネ全面二重ガラス、さらにフィルムを用いた軽量調光天井システムなどを採用したおかげで、明るく開放的な吹き抜け空間でした。モダンなテーブルや椅子も置かれ、研究分野の垣根を越えてスタッフが集いコミュニケーションを図る格好の場となっているそうです。 
 建物内部をリアルスケールで疑似体験できるバーチャルリアリティシステムも視聴しました。室内の3D画像だけでなく、気流、日射、照明、音響などの分析結果もあわせて表現されるため、発注者は、室内設計プランを完成後さながらの臨場感をもって事前に比較・検討することができます。建築仕様についての顧客等との合意形成に大いに役立っているとのことでした。  
 
■各種実験棟など■ 
 免震構造の情報管理棟の地下で、実物の免震装置を見学した後、屋外に出て研究・実験施設を巡りました。 最初に案内されたのは、芝生の鉢が並ぶ温室でした。20年近く日本の気象環境に適した芝生の品種改良に取り組んでおり、その研究成果は建物屋上・壁面の緑化やスポーツ施設に生かされています。環境技術を得意とする同社を象徴する研究施設といえそうです。 
 次は、温室から一転、巨大な実験棟に移りました。構造物の耐火性能を測る防耐火実験棟、続いて波や潮の流れを再現するための大きな水槽を備えた水理実験棟を見学しました。実験が大きな振動や騒音を伴う場合は、あらかじめ近隣に周知し了解を得たり、実験中に発生する燃焼ガスは浄化した上で排気するなど、近隣や環境にも十分配慮し、実験は進められているとのことでした。
大成建設への質問と回答
社会広聴会員:
最も力を入れている研究分野を教えてください。
大成建設:
環境関連の研究・技術開発に力を入れています。建物単体だけでなく、植栽や建物配置等の解析・シミュレーションなど街全体の省エネ性能向上のための研究も進めています。土壌・水質の浄化技術にも積極的に取り組んでいます。 
環境のほかには、超高強度コンクリートや、免震・制震技術の研究開発にも引き続き力を入れていきます。 
 
社会広聴会員:
自然環境に配慮した取り組みを教えてください。
大成建設:
建設機械のエコドライブをはじめとする細かな努力の積み上げによって施工時に発生するCOを減らす取り組みをしています。 
土木プロジェクトも、自然環境に十分配慮して取り組んでいます。ドバイでは海底トンネル工事に先立ち、地元漁師の手を借りて魚を工事エリアから退避させたところ、大いに感謝されました。現地では当初、「日本人は、これ幸いと寿司にして食べてしまうのでは」と思われていたようですが。
 
社会広聴会員:
建設業界の将来性について聞かせてください。
大成建設:
建設業界は、今後も激しい競争状態が続くと考えています。そのような中、公共工事において価格だけではなく、業者の技術力、経営力を含めて総合評価して落札者を決定する取り組みも始まっています。コンプライアンスの徹底はもとより、高い技術力を備えること、働きやすい環境を整えることなど、多くの観点から総合的に企業が評価されるという最近の産業界の傾向は、建設業界にも当てはまり、求められるようになっています。
 
社会広聴会員:
意識している会社があれば、教えてください。
大成建設:
CSRランキング上位の会社は、しっかり利益を上げつつも、各ステークホルダーに十分配慮するというバランスの取れた経営をされていますので、大変参考になります。 
同業者では、中国のゼネコンの動向が気になります。建設重機の製造部門も擁し社員5万人と大規模の上、事実上の国営です。アフリカのプロジェクトでは3000人規模で乗り込み、彼らが現地でもキャベツが食べられるよう農民まで連れて行ったそうです。こうしたビジネスモデルへの対抗は非常に厳しいものがあると思います。
 
社会広聴会員:
戸塚に技術センターがあるメリットは何でしょう。
大成建設:
広い敷地内に必要に応じて徐々に実験施設を増設していくことができました。その結果、現在、必要な施設がすべて整っている状態です。周辺は住宅地となりましたが十分に緑豊かで、研究員にとって大変恵まれた環境だと思います。
 
社会広聴会員:
現場と技術センター間の意志疎通のために留意していることを、教えてください。
大成建設:
建設会社は現場が中心ですから、人事交流を積極的に行っています。研究員として入社した社員も、必ず2~3年は現場に配属しています。技術開発方針を策定する際も、現場ニーズと乖離しないように、本社各部署と連携して決定しています。
 
参加者の感想から
●建設は、建築・土木技術はもとより総合技術であることがよく分かりました。永年の企業文化に裏打ちされ、かつ時代の変化に対応されている様子がうかがえました。特に、環境への配慮が興味深かったです。 
 
●建築・土木に限らず生物・化学などの幅広い生活関連のあらゆる分野にかかわりを持って取り組まれていることを改めて知りました。 
 
●先日見学したばかりの富士山レーダードーム、羽田D滑走路、2年前に観光したボスポラス海峡(海底トンネル建設中)。これらに大成建設の技術が生かされていると知り、地元住民として誇らしく思いました。 
 
●新素材の研究や環境を考慮した様々な取り組み、 大規模な設備を利用しての耐火、耐震波の実験など、企業努力されている様子を拝見できて、ゼネコンへのイメージが変わりました。 
 
●「自由闊達」「価値創造」「伝統進化」という大成スピリットが具現化されている堅実な会社だと思いました。 
 
●企業や施設の概要説明などから、技術に裏打ちされた自信を感じました。そして、次世代へもぜひそのたゆみない技術と誠実さ、信用性を引き継いでほしいと思いました。 
 
●会社を見学し、懇談すると、その企業に対して愛着がわいてきます。今後は、大成建設を見る目が違ってくると思います。環境重視で工事に取り組んでおられることやコミュニケーションを大事にして身の周りのできることからあきらめずに解決していこうという姿勢を感じ取ることができました。 
 
●大手ゼネコンとしての、また日本の産業をリードする企業としての姿を垣間見ることが出来ました。工法はもちろんのこと、素材の研究やさらに芝や水など構造物を取り巻く多くの要素の研究まで行われており、とても感心しました。
大成建設ご担当者より
 このたび、大成建設における「企業と生活者懇談会」が実現し、幅広いステークホルダーとの対話を通じ、相互理解を深める機会に恵まれ感謝しております。参加された社会広聴会員の方々からいただいたご質問やご意見は私どもにとって貴重な情報になりました。また、温かい応援のお言葉も頂戴し勇気づけられました。サステナブルな社会を目指すために、建設業に対する期待は高く、責任の重さを改めて感じました。今後もこうした社会貢献活動は継続的に参加し、社会とのコミュニケーションを構築していきたいと思います。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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