企業と生活者懇談会
2007年1月23日 広島
出席企業:マツダ
見学施設:RE(ロータリーエンジン)工場、マツダミュージアム

「顧客主導の車づくりと環境技術」

1月23日、広島県安芸郡にあるマツダ本社において、「企業と生活者懇談会」を開催しました。生活者23名が参加し、RE(ロータリーエンジン)工場や 「マツダミュージアム」の見学、水素ロータリーエンジン車の体験乗車をした後、マツダの車づくりや環境への取り組みなどについて質疑懇談を行いました。
マツダからは、主に本社工場の前原日出明副工場長、総務部の神野恭次部長、生産企画部の吉田和久部長、技術企画部の冨山道雄マネージャー、第4プログラム 開発推進室の柏木章宏主査、第2パワートレイン製造部の金徳祐二マネージャー、グローバル広報企画部の若林敬市部長が出席しました。
マツダからの説明
■マツダの歩み■
 マツダは、1920年(大正9年)1月に、コルクを製造する東洋コルク工業株式会社として創立されました。1931年(昭和6年)には3輪トラックの生産を開始し、1960年(昭和35年)に「R360」を発売し、自動車メーカーとしてスタートしました。 1962年(昭和37年)には「キャロル」、1963年(昭和38年)には「ファミリア」と相次いで新型車を投入し、1967年(昭和42年)には世界初の2ローター・ロータリーエンジン搭載車「コスモスポーツ」を発売しました。1979年(昭和54年)にはフォードとの資本提携に踏み切るなど経営強化に取り組み、1991年(平成3年)には「第59回ル・マン24時間レース」で「マツダ787B」が日本車として史上初の総合優勝を果たし、16年経った今もこの快挙を達成した国産メーカーはありません。2003年(平成15年)には新世代ロータリーエンジン「RENESIS」を搭載した「マツダRX-8」を発売、2006年(平成18年)には世界初の水素ロータリーエンジン車のリース販売の開始など、環境・技術への取り組みの強化を図っています。
 マツダの2005年度(平成17年度)の出荷台数は110万4000台、売上高は2兆9198億円、経常連結利益は1015億円です。

■マツダの社名の由来と企業ビジョン■
 「マツダ」の社名は、西アジアでの人類発祥とともに誕生した神、アフラ・マズダー(Ahura Mazda)に由来します。英語標記は「MATSUDA」ではなく「MAZDA」となっています。
 この叡智・理性・調和の神を、東西文明の源泉的シンボルかつ自動車文明の始原的シンボルとしてとらえ、また世界平和を希求し自動車産業の光明となることを願って付けられました。それはまた、創業者である松田重次郎の姓にもちなんでいます。
 マツダの企業ビジョンは、1984年(昭和59年)に制定した経営理念「マツダは新しい価値を創造し、人々に喜びをひろげます」を進化させ、1999年(平成11年)に制定されました。
 その内容は、「Vision(企業目標)」「Mission(役割と責任)」「Value(マツダが生み出す価値)」の3要素で構成され、マツダとマツダ社員が目指す目標、果たすべき役割と責任、そしてそれをどのような価値観をもって達成するかを明らかにしています。
 具体的には、以下のようになっています。
Vision  企業目標
 新しい価値を創造し、最高のクルマとサービスにより、お客さまに喜びと感動を与え続けます。
Mission 役割と責任
 私たちは情熱と誇りとスピードを持ち、積極的にお客さまの声を聞き、期待を上回る創意に富んだ商品とサービスを提供します。
Value マツダが生み出す価値
 私たちは誠実さ、顧客志向、創造力、効率的で迅速な行動を大切にし、意欲的な社員とチームワークを尊重します。環境と安全と社会に対して積極的に取り組みます。そしてマツダにつながる人々に大きな喜びを提供します。

■RE(ロータリーエンジン)工場の見学■
 本社工場の敷地面積は224万㎡と広大で、参加者は本社からバスを利用し、瀬戸内海に面した宇品工場を一望できる同社の長い橋を渡り、宇品地区のRE(ロータリーエンジン)工場に向かいました。
 環境と燃費の面で幕を閉じかけていたロータリーエンジンは、サイド排気の採用などにより、低燃費と排出ガスのクリーン化に成功し、新世代ロータリーエンジン「RENESIS」として生まれ変わることができたとの工場関係者の説明を受け、エンジン生産ラインを見学しました。30数年前より使用しているエンジン生産ラインは、従業員による生産性の向上と環境負荷軽減の提案を随所に取り入れながら、数値制御の機械加工設備や最新の計測器と組み合わせて品質の追求を行い、清潔で静かな工場となり現在に至っています。

■水素RE(ロータリーエンジン)車の実車説明■
 本社工場敷地内の宇品テストコースにおいて、水素RE(ロータリーエンジン)車の実車を使いながら説明がありました。水素は、ガソリンに比べ、着火性が強く、レシプロエンジンでは、高温の燃焼室に吸い込んだ時点で自然着火する異状燃焼(バックファイア)現象が起こりがちです。ロータリーエンジンは、吸気室と燃焼室が分離した構造であるため、異状燃焼現象が起きにくく、良好な燃焼が実現できます。ロータリーエンジンを世界で唯一量産していますが、その量産エンジンをベースにすることで、開発・製造コストを抑えています。「RX-8ハイドロジェンRE」の標準リース価格は、月額42万円と燃料電池車などと比べ競争力のある価格設定ができました。
 水素ステーションは、全国にまだ10数カ所しかないため、水素でもガソリンでも走行することができるように工夫し、その航続距離は、水素で100km、ガソリンで549kmになっています。
 その後、内燃機関ならではのトルク感、加速感などを損なうことなく、二酸化炭素排出量はゼロで、窒素酸化物もほとんど発生しない優れた環境性能を有する「RX-8ハイドロジェンRE」の同乗試乗をしました。

■「マツダミュージアム」の見学■
 「マツダミュージアム」は、中国・四国地方で唯一の自動車産業見学施設であり、1994年(平成6年)5月に設立され、2005年(平成17年)に全面リニューアルしました。エントランスを入ると、新商品を含む現行のクルマが並び、歴史展示室には、三輪トラック「マツダ号DA型」をはじめ、「コスモスポーツ」などマツダを代表するクルマが展示され、マツダの歴史に触れることができます。
また、多車種混流生産を取り入れた工場では、一つの生産ラインで様々な種類のクルマの組み立てが見られます。
展望デッキからは、マツダ専用の埠頭に停泊する巨大な自動車専用輸送船も見ることができました。
マツダへの質問と回答
社会広聴会員:
2007年問題で定年退職が増えると予想されますが、技術の伝承に問題はないのでしょうか。また、女性の役員や幹部職員の数を教えてくだい。
マツダ:
当社では、エキスパート・ファミリーという制度があり、現業部門のうち40~50%の人は3~5年残り、技術を伝承していくことを考えています。
また、教育プログラムに沿って、卓越技能者研修を受けることが求められています。その専任コーチが100人、技能の伝承者として特定された人が400~500人います。
また、現在は女性の役員はいません。部長職も1人ですが、フォードとの資本提携以来、女性社員の待遇を進めることで、課長職、主任職はかなり人数が増えています。過去の採用方法と違い、現在は男女とも全員総合職で入社してきますので、10年後には、女性の幹部職員が相当数になるでしょう。
 
社会広聴会員:
マツダ財団の活動を教えてください。
マツダ:
当社の社名変更と、併せて創立65周年を記念してマツダ財団をつくりました。目的は青少年の健全育成と科学技術の振興で、今は文部科学省所管の財団として活動をしています。特に青少年健全育成・市民活動支援については、当社の工場が広島と山口にある関係で、その2県を対象にしています。
そのほか、広島県内の大学に対して寄附講座を開設しています。また、講演会を年1回実施しており、今年は、皆さんご存じの『国家の品格』を書かれた藤原正彦さんに来ていただく予定です(2007年1月24日実施済み)。
 
社会広聴会員:
ロータリーエンジンをなぜデミオなど、ほかの車種に載せないのですか。
マツダ:
基本的にロータリーエンジンは、非常にコンパクトです。コンパクト、軽量ということを生かすと、やはりスポーツカーに向いています。少々専門的ですが、ロータリーエンジンはエンジンをあまり回さない状態で走るよりもむしろ、高速で回す方が得意なエンジンなので、スポーツカーに搭載しています。
 
参加者の感想から
●見学できる機会が少ないロータリーエンジン工場は、世界に1 つしかないもので、日本の伝統技術を若い社員へ伝承され、創意工夫の日々に感動しました。また、ロータリーエンジンで水素燃料使用の「RX-8」の試乗は世界1000人以内と聞きました。その一人になれたことを光栄に思います。

●今回の工場見学では、一人ひとりが決められた仕事をきちんとこなし、一台の車が造られるのだということが分かり、これだけの人が自分の仕事に誇りを持ち、車を造られているのだから安心だと思いました。

●30年間、古い機械をそのまま使用して工夫し、改良を加えながらの製品づくりには見習うべきものを感じました。

●マツダのブランドメッセージであるZoom-Zoomの精神を実感する機会となりました。数年前テレビ番組で、初めてマツダのロータリーエンジン開発の苦難の日々と取り組んだ方々のひたむきな姿を知りました。広島県人として大変誇りに思ったことから今回の懇談会には何が何でも参加し、自分の目で、身体で確認したいとの思いでした。あの時感じた感動は事実であったと現場で働く人たちの姿、目の輝きを見て改めて実感できました。

●自動車が造られていく工程がよく分かり、大変よいチャンスでした。時代のニーズに合わせてコンピューター化、ロボット化をされていても、究極は「人の手」であることも理解できました。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
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