企業と生活者懇談会
2008年10月22日 栃木
出席企業:カゴメ
見学施設:那須工場

「食の安全について考える」

2008年10月22日、栃木県那須塩原市にあるカゴメの那須工場で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員15名が参加し、カゴメや那須工場の概要説明を受け、工場を見学した後、質疑懇談を行いました。
カゴメからは、村松才兵衛執行役員、村上満昭那須工場長、畠山俊次品質保証部長、柳田美喜雄那須工場生産管理課長、安本光政那須工場製造1 課長、杉浦浩那須工場品質管理課長、大澤則和CSR推進室主任、羽月政裕調達部国際調達グループ主任、広報部から曽根智子課長、林田三知代氏が出席しました。
カゴメからの説明
■カゴメの概要■
 カゴメは、1899年(明治32年)に愛知県で農業をしていた蟹江一太郎が創業し、2009年で110周年を迎えます。愛知と東京に本社を置き、1支社、10支店、6工場と総合研究所を有しています。総合研究所では、原料となる野菜の栽培・研究や商品開発、野菜の持つ機能性についての研究を行い、最近では、乳酸菌などの研究開発にも力を入れています。各工場では、旬にこだわり、生の原料を一番栄養価の高い時期に商品化しています。商品は、一部イタリア産トマトと一部業務用商品を除き、すべて日本国内工場で製造しています。

■企業理念「感謝」「自然」「開かれた企業」とは■
 カゴメは、企業理念に、「感謝」「自然」「開かれた企業」を掲げ、2000年(平成12年)に制定しました。「感謝」とは創業者である蟹江一太郎の晩年の遺訓です。自然の恵みと多くの人々との出会いに感謝し、自然生態系と人間性を尊重するという考えです。「自然」とは、自然の恵みを活かして、時代に先駆けた深みのある価値を創造し、お客様の健康に貢献するという歴史的なカゴメの商品哲学そのものです。「開かれた企業」とは、情報が開かれていること(情報開示)と人に対して開かれていること(機会均等)を意味します。これらの企業理念が、カゴメのすべての企業活動の原点といえます。

■那須工場の概要■
 那須工場は、1961年(昭和36年)に設立しました。那須塩原市(旧那須郡西那須野町)に誘致された、企業の第一号です。
 国内に 6カ所あるカゴメの自社工場の中でも最大規模で、敷地面積 4万3000坪は東京ドームの約3個分の広さです。工場はトマト産地(茨城、栃木、福島、新潟、長野)のほぼ中央に位置し、周辺にはきれいな水が豊富にあり、新鮮な野菜を水で洗浄し加工するのにふさわしい場所といえます。
 ここでは、野菜飲料や六条麦茶を生産しています。飲料の生産量は自社 6工場の中で最も多く、全体の約40%(年間約2100万ケース)に上ります。夏(7~9月初旬)は、トマト 1万6000トンを加工し、冬(12~2月)は、人参5000トンを加工しています。加工トマトの処理数は日本最大で、日本全国の約半分がここで加工されています。また、飲料の缶やペットボトル、紙パックのラインがあり、特にペットボトルの充てんスピードは日本トップクラスです。六条麦茶の2リットルペットボトル専用ラインは、厳しい品質管理のもとで無菌充てんを行い、厚労省がHACCPを認証したラインです。

※HACCP
HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis Critical Control Pointの略で、食品の原料の受け入れから製造・出荷までのすべての工程において、危害の発生を防止するための重要ポイントを継続的に監視・記録する衛生管理法。(厚生労働省のホームページより)


■ものづくりの考え方■
 カゴメでは、「良い原料」×「良い技術」の最適組み合わせ=「良い商品」をものづくりの基本思想としています。「良い原料」と、それを活かす「良い技術」があってこそ、「良い商品」が生まれるという考えです。
 「畑は第一番目の工場」の信念のもと、畑の選定と農家との信頼関係の構築に力を注ぎ、「カゴメブランド」の製造に携わる従業員が共有すべき「ものづくり」の価値観を、行動指針で示しています。行動指針には、作業中に何かがおかしいと感じたら、全員に製造ラインを止める権限があることが明示されています。一度ラインが止まれば、その先の全工程に影響を及ぼすため、通常、効率を重視する工場では、導入している所は多くありません。品質を最優先するカゴメならではの取り組みです。また、一日の仕事を振り返り、自分の仕事を家族に自信を持って話すことができるかを問う文言も盛り込まれています。次世代にも「カゴメブランド」を引き継いでいくために、お客様に満足していただける工場でありたいと思い、全社員が自信を持って製造に携わっています。

■トマトの豆知識■
 トマトはナス科の植物で、学名は、日本語訳で「食べられる狼の桃」です。原産地は、中南米の高冷地です。日本には、江戸時代に伝わりました。
 世界のトマトの生産量は 1億トンを超え、生産量第1位は中国(3000万トン)で、2位は米国(1000万トン)です。一方、トマトの一人当たりの年間摂取量が最も多い国は、ギリシャで約129kg、イタリアは70kg弱、日本はわずか10kg程度です。世界の摂取平均が、約18kgなのに対して、日本はトマト摂取後進国といえるでしょう。

■見学の様子■
 旬にこだわるカゴメの工場では、原料の加工は、収穫の限られた時期に行われます。今回は、工場の見学通路に掲示してあるパネルやビデオを見ながら、トマトや野菜が入荷してから加工されるまでの工程についての説明を受け、野菜ジュースが充てんされる様子を見学しました。高速で次々と製品ができる様子は圧巻で、特にジュースが、特殊な筒状の紙容器に注ぎ込まれ、機械がその容器をカットしながらシールをして紙パックの製品になる様子は、興味深いものでした。缶、ペットボトル、紙パックと容器により殺菌方法や充てん過程が異なり、特性によって、保存期間が異なることも知りました。
カゴメへの質問と回答
社会広聴会員:
安全、安心な食品を提供するために、どのような取り組みをしていますか。
カゴメ:
「安全」とは、科学的評価に基づく客観的な価値であり、「安心」とは、個々人が感じる心理的な価値です。「安全」と評価されても、必ずしも「安心」とは評価されないことが多々あります。  そのため、(1)原料製造工場の選定、(2)原料製造工場の「プロセス管理」(栽培契約→栽培→記録確認→農薬分析→改善)、(3)カゴメによる品質確認の3つを厳しく行っています。また、原料を検査し、規格を満たすだけではなく、現地との信頼関係を築くことに力を入れています。こうして「安全」な商品を提供すると同時に、「安心」を高めて いくために、お客様や取引先へ積極的に情報を開示し、「信頼・信用」を築く努力をしています。
 
社会広聴会員:
原料調達について教えてください。
カゴメ:
原料は、国内外から調達しています。那須工場近辺では、生の原料を仕入れていますが、海外からは現地で一次加工したものを輸入しています。世界中に産地を分散させることにより、品質・量・価格の安定供給ができるよう、グローバルネットワークを構築しています。また、現地の企業とは複数年の契約を結び、中長期的調達を行うことにより、技術指導を実施し、カゴメ品質となるようレベルを向上させています。
 
社会広聴会員:
原料の品質管理について教えてください。
カゴメ:
すべての取引先と、品質契約を締結しています。生原料から調達管理をスタートし、データをシステムに入力することにより、すべての製品についての情報を追うことができる体制を整えています。また品質を一定に保つため、社員による現地工場の巡回や、日報類のチェック、検味を行っています。日本でも海外から送られてきた書類を日本の基準に照らし合わせて確認しています。書類だけでは判別できない場合は、社員が直接現地に赴いて確認、指導を行い、品質管理を徹底しています。
 
 
社会広聴会員:
海外の工場で品質やモラルを維持するために、どのような取り組みをしていますか。
カゴメ:
日本人は香りにとても敏感です。海外では「香り」と思われる範囲でも、日本人は「臭(にお)い」と思うことがよくあります。そのため、日本人と同じ臭覚を持つ人を海外で養成しています。また、日本では商品の外見も大事な品質のひとつですが、外国のスタッフには理解しにくいので、日本で研修を行い、日本人の感覚を身に付けてもらっています。
 
社会広聴会員:
農薬の対処法について教えてください。
カゴメ:
日本でトマト栽培に使用が認められている農薬は約160種類ありますが、カゴメは独自基準で45種類のみを使用可能としています。また、指定外農薬の飛散被害を防ぐため、畑の近隣の農作物の調査を行い、トマトの指定外農薬の使用を控えるよう、生産者組合を通して協力をお願いしています。契約農家には、散布記録の事前提出を義務付け、事前に検査した葉と農薬散布後の状態を比較し、残留農薬の分析をしています。農薬は、時期や使用方法を守り、正しく記録しておくことが最も重要です。万が一、飛散農薬の被害が確認されれば、すべての苗を根から引き抜き、その畑の商品が誤って出荷されないようにし、農家と近隣農家にも注意喚起とともに指導しています。
 
社会広聴会員:
中国で栽培される作物も、他の海外産の作物と同じ対応で大丈夫なのですか。
カゴメ:
国内外を問わず、科学的データを用いて「安全」を確認していますので、問題はありません。ただ、消費者の中国産原料に対するイメージがよくないので、お客様に安心感を持っていただくため、中国産の野菜はすべてカゴメが残留農薬検査を行い、直接品質保証をしています。また、検査体制を強化するために、2008年 7月に中国に品質保証事務所を開設し、駐在員を配置しました。中国産原料に限らず、製品になった段階で、必ず人による検査を行いますので、安心してお召し上がりいただけます。
 
参加者の感想から
●カゴメの信用は、トマトへの並々ならぬ思いや努力の上にあるのだと思います。孫たちが、ずっと飲めるジュースであってほしいです。

●食材を土づくりから、農薬、肥料に至るまできめ細かくチェックし、できるだけ生産者の顔が見えるように近県での生産を行い、海外では社員が徹底して生産者教育を行うという、原料に対するこだわりに安心と信頼を得ることができました。

●「安心」「安全」の考え方の元に発刊された冊子『食の安心と日本人の食について考える』は食品企業として、大いなる評価をしたいです。機会あるごとに今日の食に対する不安を払しょくしてほしいです。

お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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