企業と生活者懇談会
2008年8月7日 北海道
出席企業:出光興産
見学施設:北海道製油所

「暮らしを支えるエネルギーについて考える」

8月7日、北海道苫小牧市にある出光興産北海道製油所にて、「企業と生活者懇談会」を開催しました。22名の生活者が参加し、出光興産の概要や北海道製油所の概要についての説明を受けた後、実際に製油所内を見学しました。質疑懇談では、安全への取り組みや原油高への対策など、幅広い話題をテーマに活発な意見交換を行いました。
出光興産からは、北海道製油所の水田清継執行役員製油所長、西田英一副所長、原田和久副所長、加来祐二総務課長、IR・広報室の足立晶彦広報課長が出席しました。また、石油連盟から、青木秀生常務理事が出席しました。
出光興産からの説明
■出光興産の歩み■
 出光興産は、1911年(明治44年)、前身である出光商会が、北九州の貿易港・門司で石油販売業を営んだことが始まりです。創業者の出光佐三が掲げた経営理念、「人が中心という人間尊重の事業経営を実践し、事業を通して国家社会に貢献する」をもとに、創業から97年、持続的な成長を通し、一貫して社会に貢献する企業を目指しています。2006年(平成18年)には、東京証券取引所第1部に株式を上場し、成長のための投資をさらに積極的に展開しています。

■出光グループの事業展開■
 出光グループは、「人間尊重」の理念に基づいた消費者本位の哲学のもとに、国内18カ所、海外36都市に事業所を有し、多彩な事業を展開しています。
 石油の精製・販売、石油を原料とする基礎化学品の製造・販売を基盤事業としつつ、資源事業においても、ノルウェー領北海油田での生産活動や、保有鉱区での炭鉱活動、地熱開発などを積極的に進めています。また、次世代ディスプレイとして期待される有機EL材料など、競争力のある高付加価値製品の開発・製造にも力を入れています。出光グループの2007年度(平成19年度)の連結売上高は3兆8643億円、従業員数は 7503名です。

※有機EL(Electro Luminesence:エレクトロ・ルミネッセンス)
電気エネルギーによって有機蛍光物質(EL材料)を発光させる現象のこと。


■北海道製油所の概要■
 北海道製油所は、北海道、東北、北陸などにエネルギーを供給する基地として、1973年(昭和48年)に操業を開始しました。同製油所は、63万坪の広大な敷地面積を持ち、一日に14万バーレルの原油を精製できる常圧蒸留装置や、灯油と軽油の需要が多いという北海道の実状に対応した、重油を分解して灯油、軽油、ガソリンなどに変える最新鋭の重質油分解装置を備えています。
 同製油所には、中東などで原油を積み込んだ、30万キロリットル級の大型タンカーが、沖合3kmにあるシーバース(沖合桟橋)に年22隻着桟し、海中にある直径150cmのパイプラインを使って、製油所内のタンクに荷揚げしています。この原油を分離・精製することにより、石油製品として仕上げ、タンクローリーや船を使って、ガソリンスタンドなどに届けています。

■北海道製油所の特長■
 同製油所には、原油の受け入れから精製、出荷までを一つのコントロールルームで一括して操作できる、プロダクションセンターがあります。この一元管理システムがあるのは、国内では同製油所だけです。このシステムにより、優れた石油製品を効率よく作り出しています。
 同製油所には372名の従業員が従事し、社員一人ひとりが創造性と自主性を発揮して、全員参加型の製油所経営を目指す、TPM活動を展開しています。同製油所は、TPMの分野で、装置産業として日本で初めて優秀事業場賞特別賞を受賞しました。
 また、「地元とともに繁栄し、人々に愛される製油所を」という操業当時からの考え方に基づき、様々な地元密着の活動を展開しています。構内にある八重桜並木の一般公開や、コンサートなどのイベント企画、「苫小牧港まつり」への参加、臨海部通勤道路の清掃活動などを行っています。

※TPM(Total Productive Maintenance)活動
(社)日本プラントメンテナンス協会が提唱する、生産・開発・営業・管理などのあらゆる部門にわたってあるべき姿を追求する全員参加の生産保全活動、および企業の体質改善活動を指す。出光グループでは、このTPM活動を、Total Productive Managementと位置付け、製油所の経営全体に拡大し、一人ひとりの創造性の発揮と自主的、挑戦的な行動により、「全員参加の製油所経営」を目指している。


■火災事故防止への取り組み■
 同製油所では、2003年(平成15年)9月に地震による大きなタンク火災がありました。この経験を踏まえ、大きな自然災害にも耐え得る製油所とするために、設備の見直しを行いました。タンクの浮き屋根を二重にしたダブルデッキ型のフタを採用し、強度の改善を図る一方、地震が発生した場合に、石油製品がタンク外へ流出するのを防ぐため、タンクの貯蔵量を減らすなどの対策をとっています。また、タンク火災が発生したときに備え、優れた消火能力を持つ、大型高所消防車や大容量泡放水砲を導入しています。特に、他社に先駆けて導入した、大容量泡放水砲は、一分間に3万リットルと世界最大級の放水能力を持ち、短時間で火災を消火することができます。タンクの周囲には、石油の流出を防止するため、堤防を整備しているほか、緊急の場合にはすべての装置が安全に一瞬で停止するシステムを導入しています。こうしたハード面の対策だけでなく、ソフト面においても、製油所の所員が、危険をいち早く知り、それに備えるための危険予知活動や安全教育を全員参加で実施するとともに、定期的な防災訓練を行い、安全への取り組みを強化しています。

■製油所内見学■
 出光興産の企業概要や北海道製油所の施設概要について説明を受けた後、広大な製油所内をバスで巡り、数々の大規模なタンクや装置を車内から見学しました。タンクエリアでは、2003年に発生した火災で被害を受けたタンクの跡地を実際に見て、改めて事故の大きさと事故防止の大切さを実感しました。
 また、同製油所のプロダクションセンターを見学し、精製装置、貯蔵、入出荷設備の運転・保全情報を一元管理している様子や、各装置の役割などについて説明を受けました。最新鋭の設備とそれを担う人たちの絶え間ない努力が合わさって、初めて安全が守られていることがよく分かりました。
出光興産への質問と回答
社会広聴会員:
昨今の原油高に対してどのように取り組んでいるのか教えてください。
出光興産:
各製油所で合理化や、省エネ、リサイクル活動を積極的に推進するとともに、石油を輸送する船やローリーの大型化、また営業にかかわる人員のスリム化など、様々な方面でのコスト削減の努力を最大限積み重ねているところです。石油産業は他産業と比較して、売上高に占める利益の割合が小さく、トータルの利益を燃料油換算してもリットル1円あるかないかという状況であり、最近の原油価格の変動は桁違いであると受け止めています。
 
社会広聴会員:
石油に代替するエネルギーを確保するために、どのような取り組みをしていますか。
出光興産:
代替エネルギーとしては、風力発電、バイオエネルギーなどを考えています。風力発電については、昨年(2007年)11月、日本風力開発(株)に出資し、株主として風力発電を応援する取り組みを始めました。バイオエネルギーについては、麦わらや木くずといったセルロース系の材料からの燃料開発を進めています。また、今年(2008年)1月に商社やメーカーなどと一緒に合同会社バイオガス・ネット・ジャパンを設立し、バイオガスの供給基地をつくっていく事業にも着手しています。
 
社会広聴会員:
近年、影響力を増す産油国との関係については、今後どのようにお考えでしょうか。
出光興産:
産油国との関係については、ただ原油を買うだけの関係ではなく、共同での事業展開により、お互いに信頼関係を高めながら、絆を強化していくことを考えています。カタールの製油所事業への出資や、今年発表したベトナムの製油所事業への進出も、そうした取り組みの一環です。
 
社会広聴会員:
石油諸税(ガソリン税など)に掛かる暫定税率について、どのようにお考えでしょうか。
出光興産:
石油諸税、特にガソリン税は高率であることから、これまでも長年にわたり、石油業界全体として消費者のために石油諸税を軽減してほしいという運動を国会・政府に対して行ってきました。一方、ガソリン税などの一般財源化についても議論がありますが、ガソリンや軽油の税金は道路のために使うという約束で設けられ、そして増税が繰り返されてきました。本当に必要な道路はなにかをよく議論した上で、もし財源に余剰があれば、税率を下げるべきであると私共は強く主張しています。昨年、石油業界では自動車業界などと協力して、一般財源化に反対する1035万人のドライバーの署名を集め、道路以外の目的に使うのであれば税率の軽減をすべきことを訴えましたが、今秋も税制抜本改革の議論に合わせて運動を展開する予定です。
 
社会広聴会員:
石油業界は、他産業と比べ、会社間の物流提携が進んでいるといわれますが、それについては、どのようにお考えですか。
出光興産:
会社間の物流提携については、以前から行っています。石油業界は、コストに占める物流費の割合が大きいため、物流をすべて自前で行うと、非常にコストが掛かります。当社においても、以前は6カ所の製油所を保有し、日本全国に供給する体制をとっていましたが、コスト削減の徹底と、石油の安定供給を両立させるため、新日本石油(株)との物流提携を進めました。現在はお互いの基地から、近隣のお客さまに輸送する体制を組み、4カ所の製油所で全国に供給しています。これは両社にとってメリットがあり、他の石油会社でもこうした物流提携が行われています。
 
参加者の感想から
●今後、石油に替わるエネルギーとして、バイオやウランなど様々な分野が期待されています。科学技術の目覚ましい発展を考えると、10年後はどうなってい るのだろうかと、お話を伺いながらワクワクしました。世界の先端を行く出光興産の技術に今後も期待しています。

●生活者としては、燃料はもちろん、様々な石油製品を粗末にせず、大事に使っていかなければいけないと、出光興産の方々の説明を聞きながら切に思いまし た。

●低炭素社会の実現に向けて、できるだけ二酸化炭素排出量の少ない、再生可能なエネルギーが開発・推進されることを期待しています。また、企業単体の活動 から、地域のNPOや市民団体との結び付きを重視した活動に広がっていくことを望んでいます。

●飛行機を使って出張するたび、上空から製油所をよく見ていましたが、初めて中に入り、その広さやきれいさ、緑の多さに驚きました。事故防止についての活 動や設備にも感心しましたし、CSR活動、地域活動、メセナ活動にも積極的に取り組まれている姿勢は、大変素晴らしいと思いました。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
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