企業と生活者懇談会
2007年8月1日 東京
出席企業:凸版印刷
見学施設:トッパン小石川ビル

「印刷を通じた事業展開とその歴史について」

8月1日、凸版印刷のトッパン小石川ビル(東京都文京区)で「企業と生活者懇談会」を開催しました。社会広聴会員22名が参加し、同社の事業概要について説明を受けた後、昼には「ランチタイムコンサート」に参加、その後同ビル内のVR(バーチャルリアリティ)シアターや印刷博物館の見学、質疑懇談を行いました。
凸版印刷からは、広村俊悟取締役広報本部長、渡辺幹夫広報本部部長、山本正己法務本部課長、真梶重徳文化事業推進本部デジタルコンテンツ部課長、竹島寿子広報本部係長が出席しました。
凸版印刷からの説明
■トッパングループについて■
 1900年(明治33年)、凸版印刷を設立したのは、大蔵省印刷局出身の技術者4名でした。社名は、当時の最先端印刷技術であった「エルヘート凸版法」が由来です。創業当時からその技術を基に証券印刷や商業印刷を中心に事業を展開し、現在では、印刷技術を進化させエレクトロニクス、ICビジネスなど情報コミュニケーション産業に進出しています。トッパンの2006年度(平成18年度)の連結売上高は、1兆5578億円で、世界一の印刷会社に成長しました。

■トッパングループの事業概要■
 凸版印刷は、2000年(平成12年)に創業100年を迎えました。この年にトッパンの未来へのシナリオを示す「TOPPAN VISION 21」を制定しました。ビジョンは、企業像を示す「企業理念」「経営信条」「行動指針」と事業領域で成り立っています。事業領域は、既存事業を3つの「系」(「情報・ネットワーク系」「生活環境系」「エレクトロニクス系」)にまとめ、さらに「パーソナルサービス系」「次世代商品系」を加えました。

<情報・ネットワーク系>
 証券・カード部門は、偽造や改ざんを防止するセキュリティ技術を強みとしてICカードを核としたシステム開発や情報管理の総合支援をしています。同社の技術は、各国のパスポートやIDカードにも使われています。商業印刷部門は、企業のカタログ制作やプロモーション、キャンペーンといったコミュニケーションツールなどを作成しています。出版印刷部門は、従来の出版や制作だけではなく、出版社のコンテンツを印刷以外の用途に展開するビジネスなど、新規事業にも取り組んでいます。

<生活環境系>
 パッケージ部門は、衣食住を中心とした生活シーンにおいて、各種包装材の企画・開発・製造などを通じ、「製品の顔」となるパッケージを提供しています。産業資材部門は、住宅の壁紙などの多彩な生活空間関連資材を提供しています。

<エレクトロニクス系>
 エレクトロニクス部門は、テレビ、パソコン、携帯電話、デジタルカメラなどに使用される液晶ディスプレイに不可欠なカラーフィルタなどを生産しています。オプトロニクス部門では、印刷技術で培われた薄膜コーティング技術を基にテレビやパソコンのディスプレイ用反射防止フィルムなどの製品を送り出しています。

<パーソナルサービス系>
 人とモノをつなげる革新的なサービスやツールを開発・提供している領域です。現在、トッパングループが運営するインターネットのコンテンツの一例として、地域のスーパーなどのチラシ情報を集約した日本最大の電子チラシサイト「Shufoo(シュフー)!」や地図情報を検索できる「マピオン」などがあります。

<次世代商品系>
 印刷技術を核に、将来への成長が見込める事業分野を開拓し、次世代へつながる高機能産業材を提供する領域です。

■印刷業界について■
 印刷産業の特徴は、主に4つあります。

   1. 受注産業であるということです。他の製造業は、受注見込みを算出し生産していますが、印刷産業は、供給先と供給量が決まってから製品化するので、ロスが少ない産業といえます。
   2. 労働集約型の産業ということです。多岐にわたる顧客ニーズに社員一人ひとりが細かく対応し、製品を提供します。
   3. 中小規模の企業が多いという点です。現在、約1万8000社の印刷会社がありますが、その9割弱が従業員30人未満の企業です。
   4. 内需産業という点です。経済のグローバリゼーションが進む中、エレクトロニクス分野を除き、得意先のほとんどが国内企業です。

  トッパンが他の印刷会社と異なる特徴は以下の3点です。

   1. すべての印刷品種を扱う総合印刷会社であること。
   2. 印刷だけでなく、デジタルメディアを活用した情報・コミュニケーション産業であること。
   3. エレクトロニクス分野が主要事業のひとつであること。

■トッパングループのCSRへの取り組み■
 トッパングループは「TOPPAN VISION 21」で定められた「企業像」を実現することがCSR(企業の社会的責任)を実践することであるとし、「情報・文化の担い手としてふれあい豊かなくらしに貢献する」ことを目指してCSRの取り組みを行っています。
 お客さま、取引先、社会・地域社会、社員、株主・投資家の5つのステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーションを大切にしながら、コンプライアンスや環境などの重点テーマを設置し、具体的な取り組みを展開しています。
 コンプライアンスおよび顧客企業との信頼関係維持のためには、機密情報と個人情報の取り扱いについて「行動指針」に明記するなど、厳格な対応を行っています。環境への取り組みでは、環境を保全するエコガード活動と、環境に配慮した製品を作り出すエコクリエイティブ活動を展開しています。間伐材から作られた用紙を使った紙製飲料容器「カートカン」は2006年「エコプロダクツ大賞」農林水産大臣賞を受賞しています。
 また、2000年に創業100周年を記念してトッパン小石川ビルを竣工し、社会・文化貢献活動の一環として、印刷博物館およびクラシック音楽専用のトッパンホールを開設しました。トッパンホールでは地域貢献のために無料の「ランチタイムコンサート」を定期開催しており、懇談会当日にも満席の中、公演が行われ好評を博しました。

■VRシアター、印刷博物館の見学■
 VRはバーチャルリアリティの略です。日本語では仮想現実と訳されています。よく使われているものとして、都市景観のシミュレーションがあります。この土地にビルが建つと景観はどのように変わるのか、あらかじめ建物などが建つ前に、日当たりの問題や景色の問題をシミュレーションすることができます。また、飛行機の操縦訓練でもVRを用いたシミュレーションを使って操縦訓練をしています。VRシアターでは、印刷を通じて培った高精細デジタル画像処理や色再現などの技術力、さらには制作力、企画力などを結集し、文化財の復元などの価値あるコンテンツ開発を進めています。
 また、印刷博物館は、人類の発展に大きく貢献してきた印刷の歴史的な役割や意義を広く社会に発信していくことを目的に設立されました。
凸版印刷への質問と回答
社会広聴会員:
多岐にわたり事業を展開されていますが、人事制度は、どのように取り組んでいるのでしょうか。
凸版印刷:
会社主導と個人の希望によるものの2つの人事制度を取り入れています。個人の希望によるキャリアアップには2つの制度があります。ひとつは、チャレンジングジョブ制度です。これは、FA宣言と同様に、本人が異動希望を申告するもので、希望と適性が合えば、異動になります。もうひとつは公募制度で、各部門が公募し応募者を面接して、適正な人材を選ぶ方法です。
 
社会広聴会員:
VRはどのように作られているのでしょうか。アウトソーシングをしているのですか。
凸版印刷:
VRは一から作っています。非常に手が掛かりますが、実際に現地に出向き、VRの素材を撮影して社内に持ち帰って、画像を制作しています。撮影は、光の加減や光の当たり具合などを様々な角度から撮影しなければなりません。「ナスカの地上絵」の場合は、ナスカの地で、1週間ほど飛行機とヘリコプターで撮影しました。
 
社会広聴会員:
「凸版印刷」「トッパン」「TOPPAN」の表記に違いがあるのでしょうか。
凸版印刷:
正式な社名は漢字で書く「凸版印刷株式会社」です。凸版印刷には150社を超えるグループ会社があり、その多くの社名にはトッパンがついています。研究開発・製造・販売の各場面でグループ各社が事業連携を行っているので、グループ企業を含めた企業集団として「トッパン」を用いています。  一方の「TOPPAN」は、ブランドロゴタイプと考えています。グローバル化を進めていくには日本語だけではコミュニケーションは図れないという観点から、アルファベットで表記しています。
 
参加者の感想から
●VR技術の臨場感に驚きました。証券などの偽造防止技術が各国の公的機関でIDカードに使用されていたり、ICカードが中国で使用されていたり、日本の技術が海外で利用されていることに感動しました。

●印刷だけでなく、地域社会に向けて働きかけをしていらっしゃることがよく分かりました。

●名前だけは書籍を通じてよく知っていましたが、こんなにも生活に身近な「作品」にかかわっている会社だとは知りませんでした。

●凸版印刷が印刷を核とした事業を通じ、幅広い分野の発展に寄与されていること、そして、社会・文化への貢献活動を推進していることを初めて知るとともに、実感しました。

●コンプライアンスでは、「トップダウンの指示を受け、若手社員も含めたチームで、コンプライアンス遵守のルールを作った」というところが、キーだったように感じました。

お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
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