企業と生活者懇談会
2012年10月5日 東京
出席企業:東京ガス
見学施設:東京ガス千住見学サイト「Ei-WALK」

「『Energy innovation for the future』 人と人、人と自然が、もっとつながる未来へ」

10月5日、東京ガスの最先端のエネルギー技術が集結した実証・実験施設−千住見学サイト「Ei-WALK」(東京都荒川区)で、「企業と生活者懇談会」を開催し、社会広聴会員18名が参加しました。同社概要について説明を受けた後、「Ei-WALK」内の千住スマートエネルギーネットワーク、暮・楽・創ハウス、水素ステーションを見学、その後、質疑懇談を行いました。 
東京ガスからは、高崎進広報部広報グループマネージャー、エネルギー企画部生田目修志氏、技術戦略グループEi-WALK事務局高木大介氏、CSR室金田千絵氏、広報グループ石田訓氏が出席しました。

東京ガスからの説明
■東京ガスの概要■
 東京ガスは、現在、東京エリアを中心に1000万件を超えるお客さまに、都市ガスの供給に加え、電力・熱供給等エネルギーまわりの付加価値を提供しています。 
 東日本大震災以降、エネルギー問題について人々の関心がこれまでになく高まり、その安定供給やコスト低減などが最重要課題となっています。東京ガスは、安全性、供給安定性、経済性、環境性を兼ね備えた優れたエネルギーである天然ガスの一層の普及・拡大を通じて、この課題の解決に貢献していきます。 
 
■Energy innovation for the future■
 1885年(明治18年)の創立以来、東京ガスは、エネルギー技術の革新を重ねてきました。ガス事業をベースとして、これまで培った技術を応用し、持続可能社会に向けた様々なエネルギー技術を追求しています。 
 「Ei-WALK」は、東京ガスの最先端のエネルギー技術(Energy innovation)を実証・実験する施設を歩いて巡る(WALK)見学サイトです。昨年(2011年)9月に、実証・実験データを主に学識経験者や企業関係者などにご覧いただく施設として、千住テクノステーション内に開設しました。 
 ①スマートエネルギーネットワーク実証事業「千住スマートエネルギーネットワーク」、②ちょっと先を行く家庭のエネルギー利用とライフスタイルを提案する「暮・楽・創ハウス」、③炎を操る燃焼技術力を体感できる工業用燃焼実験施設「アス×ラボ」、④都市ガスから水素を製造して燃料電池自動車に充填する「千住水素ステーション」の4施設で構成されています。 

■スマートエネルギーネットワークとは■
 省エネ・省CO2(二酸化炭素)を実現するためには、太陽光、太陽熱等の再生可能エネルギーを最大限に活用しなければなりません。しかし再生可能エネルギー利用設備は天候によって出力が大きく変動するため電力系統の電圧や熱供給量の安定性に悪影響を及ぼすことが懸念されています。 
 その解決策のひとつが、太陽光・太陽熱等の再生可能エネルギーや廃熱等の未利用エネルギーを、天然ガスを燃料とする高効率コージェネレーション(ガスコージェネ※1)・燃料電池等の分散型エネルギーシステムに組み合わせ、電気と熱を最適に制御することです。これで不足分を補い、系統電力を安定化させることができます。隣り合う建物や地域をつなげて、それぞれがつくったエネルギーを無駄にせず、余った分を融通し合うという「熱の面的融通」も効果的です。 
 このように、再生可能エネルギーと天然ガスコージェネレーション等の分散型エネルギーを組み合わせて、これらが生む熱と電気を、エネルギーネットワークと情報通信技術を活用して、建物同士や地域同士をつないで最適利用するのが、スマートネルギーットワーク(スマエネ)です。最後の「ネ」はットワークのネです。 

※1 ガスを燃料とするエンジンなどで発電を行うと同時に、その廃熱を給湯や空調、蒸気などの形でも有効活用するシステム。
見学の様子
■千住スマートエネルギーネットワーク■
 隣接する建物の協力も得ながら、実証実験が進められています。A館の屋上に上がると、そこは太陽光発電パネルで埋め尽くされていました。構内には総面積766平方メートル分が設置され、パネルの耐久性や発電効率の確認、ガスコージェネ等による太陽光発電の出力変動の補完制御の実証実験に用いられているそうです。 
 地上には太陽熱集熱器も設置されています。太陽光発電の影に隠れがちですが、より高い効率で太陽エネルギーを取り出すことができるそうです。つくられた80〜90度のお湯は、吸収式冷凍機に運ばれ冷水を生み、館内冷房などに使われます。 
 敷地北側の背の低い建物はC館です。太陽光・太陽熱の生んだ電気・お湯、ガスコージェネの発電電気や蒸気、お湯などは、千住テクノステーション内に張り巡らされたエネルギーネットワークを通じて、すべてC館に集められます。C館内部のハイブリッド熱源システムが、これらを温水・冷水に変えて、各建屋に供給し、冷暖房・給湯に用いるという流れです。 
 屋上北側に移動すると、隣接する荒川区の特別養護老人ホーム「サンハイム荒川」が、そしてよく観察すると、道路に沿い千住テクノステーションから伸びる配管も見えます。これはガス管ではなく熱融通配管です。晴天時に、太陽熱集熱器を持つサンハイム荒川※2は、使い切れずに余ったお湯を千住テクノステーションに送ります。逆に雨天時など不足する場合は、千住テクノステーションからガスコージェネ廃熱をサンハイム荒川に融通します。サンハイム荒川では、年間の給湯用ガスと風呂追い焚き用のガス消費量を45%も削減(2011年度実績)できたそうです。 
 
※2 設備の都合上、サンハイム荒川用の太陽熱集熱器は、千住テクノステーションB館屋上に設置。これをサンハイム荒川に優先利用させることで実験環境を実現している。

■「暮・楽・創ハウス」■ 
 「暮・楽・創ハウス」は、一歩先の未来を体感するコンセプトハウスです。1階は、40代の共働き子育て世帯を想定した、都市ガスをもとに電気とお湯をつくる「エネファーム」と太陽光発電のダブル発電を備えたW2House(ダブルインカム世帯+ダブル発電)です。2階は、太陽熱利用ガス温水システム「SOLAMO」を備える、65歳夫婦二人暮らしを想定したS2house(セカンドライフ世帯+太陽熱(ソーラー))です。大きな特長は、天気の悪い日が続いてお湯が足りないときに、1階のW2Houseがつくったお湯を分けてもらえること。バスタブを見るともう1つの給湯口があります。家と家をつないでエネルギーシェアをして、それぞれの設備を効率的に活用するというスマエネの発想がここでも生かされています。 

■水素ステーション■ 
 自動車分野の環境技術のひとつとして期待されるのが燃料電池自動車。車載タンクに積んだ水素と酸素を反応させて車の中で電気をつくり、モーターを回して進みます。普及に向けては、水素供給のインフラ整備も大きな課題です。東京ガスでは、都市ガスから水素を製造する技術や車載水素タンクへの水素充填方法の実証試験を進めています。現在、水素をフル充填するのに必要な時間は、ガソリン車の燃料補給と同等の5分以内だそうです。 
 試乗したところ、静粛性が印象的です。排出する水はわずかで、道路が冠水することはないそうですからご安心を。
東京ガスへの質問と回答
社会広聴会員:
千住スマエネの実証実験の成果を教えてください。
東京ガス:
2011年度年間累計で、省エネ率13.6%、CO削減率35.8%(いずれも1990年度比)と、スマエネの効果は明らかです。さらに良い結果を得るべく、実証実験を重ねていきます。
 
社会広聴会員:
千住スマエネのポイントを教えてください。
東京ガス: 
多様なエネルギー源を適切に使い分けることで、冷暖房と給湯の省エネ・省COを実現します。
C館内部のハイブリッド熱源システムがカギです。これは5種類もの機械で構成される、さながら空調装置のデパート。これらを上手にコントロールし、太陽熱や未利用エネルギーである冷房廃熱を優先的に活用し、不足分をガスコージェネ廃熱→ガスコージェネ発電電力→都市ガスの順で補っていくように動かすことで、省エネを実現します。
 
社会広聴会員:
最近、エネルギーの地産地消がよくいわれますが、東京ガスはこれにどのように応えていきますか。 
東京ガス:
発電所で電気をつくる際には、必ず熱が出ます。大規模発電所等で発電時に生まれる熱は、有効活用することができません。 
しかし、ガスコージェネ、エネファームなどのように使う場所で発電すれば、その熱を捨てることなく、産業用や生活向けに有効利用することができます。万が一、大規模集中型電源からの電力供給が途絶えても、電気を使い続けられるというメリットもあります。太陽光発電等、再生可能エネルギーの多くも、電気を使うところの近くに設置できる電源です。
こうした地産地消型のエネルギー源を、分散型エネルギーといいます。これらをつなぎ、上手にコントロールして、①エネルギーセキュリティの向上、②省エネ・省コスト、③再生可能エネルギーの最大活用を図っていくのが、スマエネの狙いです。
 
社会広聴会員:
スマエネの可能性について教えてください。
東京ガス:            
東日本大震災を契機とした政府・行政によるエネルギー政策の見直し論議の中で、供給構造の改革の方向性として、分散型の次世代エネルギーシステムへの移行が示されています。また、望ましいエネルギーミックスのシナリオ上、ガスコージェネ・燃料電池は全体の15%の電源供給を担うものと位置付けられています。 
さらに、今後、出力変動の大きい再生可能エネルギーの普及が一層進むと、電力系統の需給調整機能の増強が求められます。調整電源としては蓄電池や揚水発電等がありますが、電気をつくる・使うの一人二役をこなせるガスコージェネやそれを核とするスマエネも、調整電源の役割を担うことができます。
 
社会広聴会員:
千住以外でのスマエネの展開状況は。 
東京ガス:
2012年(平成24年)に横浜市磯子区の社宅を新設し、「スマートハウス」として実証実験を開始しています。太陽熱利用ガス温水システム「SOLAMO」も導入し、住戸間でお湯を融通しています。 
東京都港区の田町地区では、港区と連携して、環境性に優れ、防災に強いまちづくりに貢献するスマエネを構築します。田町駅東口に設置するスマートエネルギーセンターを中心として、港区の防災拠点となる公共公益施設3施設を熱・電気・情報のネットワークで連携します。2014年4月から順次、エネルギーの供給を開始する予定です。その他、築地市場が移転する豊洲埠頭地区や西新宿地区でも構想中です。 
 
社会広聴会員: 
東京ガスのCSR(企業の社会的責任)について教えてください。 
東京ガス:
公益事業に携わる東京ガスグループにとってCSRとは、日々の仕事を通じて、果たしていくものであり、「経営理念」を実現することです。天然ガスを中心とした「エネルギーフロンティア企業グループ」として、「快適な暮らしづくり」と「環境に優しい都市づくり」に貢献し、お客さま、株主の皆さま、社会から常に信頼を得て発展し続けていきます。 
 
社会広聴会員:
CSRの重点活動は何ですか。 
東京ガス:

東京ガスは東日本大震災後の社会からの期待に応えていくためにCSR3つの重点活動を設定し推進しています。 
 「エネルギーセキュリティの向上」の取り組みでは、天然ガスの安定調達やさらなる安定供給に向けたインフラ整備や保安・防災対策等の対応を行っています。また、「環境への貢献」の取り組みでは、分散型エネルギーシステムの普及拡大や、再生可能エネルギーの活用等を通じて省エネやCO削減に貢献していきます。さらに、「地域社会への貢献」の取り組みでは、次世代や高齢者に配慮した安心・安全なまちづくりや心豊かに暮らせる社会の実現を目指し、地域社会とともに活動を行っています。 
 
社会広聴会員:
アニュアルレポートに「上流権益」という言葉がありました。その意味を教えてください。
東京ガス: 
東京ガスは、天然ガスの資源開発から原料の調達・輸送、お客さま先での販売・サービスに至るまでの「LNGバリューチェーン」を一貫して手掛けています。チェーンの最上流にあたる資源開発にも取り組み、エネルギーの安定調達に努めています。 
権益とは、ガス産出国におけるガス資源開発プロジェクトへの出資のことです。出資比率が高ければ、より多くのガスをより長い間買い付けることにつながります。 
参加者の感想から
●エネルギーを必要とする地域でつくって利用する、分散型エネルギーの有効性をよく理解できました。 
 
●ガスに様々な代替エネルギーを組み合わせることでエネルギーの効率的な利用・運用を実現するための研究を、間近に見ることができました。燃料電池で走るクルマに初めて試乗できたことも、貴重な経験になりました。 
 
●以前から、着実に真面目に研究に取り組んできた東京ガスの姿勢を、大変頼もしく感じました。新技術の本格的な普及を期待して、注目していきたいと思います。 
 
●太陽光発電、太陽熱利用、燃料電池自動車、住まいとエネルギーなど、多彩な研究開発を行っているのに感心しました。 
 
●東京ガスのCSRへの取り組みぶりを心強く思いました。「本業の遂行それ自身が、東京ガスの社会的責任であり、社会貢献である」というCSR基本方針に賛同します。
東京ガスご担当者より
 このたびは当社Ei-WALKにご来場いただきまして誠にありがとうございました。社会広聴会員の皆さまからの貴重なご意見とご質問、そして温かな励ましのお言葉を頂戴いたしましたことを感謝申し上げます。頂戴いたしましたご意見等につきましては、今後の当社の事業活動に生かしていきたいと考えております。これからもお客さまの生活に密着した都市ガスを扱う企業として、社会の皆さまとのコミュニケーションの機会を大切にしてまいりたいと思います。
お問合せ先
経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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