碧南火力発電所の概要碧南火力発電所の「燃料アンモニア転換実証事業」企業と生活者懇談会 ● 2ります。「発電・環境エリア」には、1号機から5号噴射して毎分約3600回転の速さで回転させ、発電をRA ゼロエミッション2050」を掲げ、達成に向けた取り組みを開始しました。①火力発電においては、水素やアンモニアといった、燃やしてもCO2が出ない燃料の導入を進めて「ゼロエミッション火力」を追求し、発電量が自然条件に左右される再生可能エネルギーの導入を支える、②国・地域ごとに導入可能な再生可能エネルギーの種類や送電網・パイプラインの有無などが異なることから、その土地の実情を踏まえた最適な脱炭素化計画を策定し、排出されるCO2の実質ゼロに向けた取り組みを行う、③今ある技術や既存の設備に、イノベーションにより利用可能となった信頼のできる技術を積極的に組み合わせながら、低い技術リスクで脱炭素社会への移行を促進する、という3つのアプローチで「ゼロエミッション」を目指しています。 JERA はこれからも、「世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供する」というミッションに基づき、最先端のエネルギーソリューションを導入しながら日本が直面するエネルギー問題の解決に貢献し、日本で構築したエネルギーモデルを同様の問題に直面する国々に提供し、世界のエネルギー問題の解決に貢献していくことを目指して、挑戦を続けます。 碧南火力発電所は1991年に1号機が運転を開始し、2002年までに5機が建設されています。石炭火力発電所としては世界最大級の総出力410万キロワットを誇り、年間発電電力量は約300億キロワットアワーで、愛知県の電力需要の約半分を賄うことができます。広大な敷地は約208万平方メートルあり、その広さは東京ディズニーリゾートの2倍相当となります。所内は「貯炭エリア」「発電・環境エリア」「灰埋め立てエリア」の大きく3つのエリアから構成されています。「貯炭エリア」には、海外から船で運ばれた石炭を陸揚げする船着き場、石炭を山積みにして保存する貯炭場、船着き場から貯炭場をつなぐベルトコンベヤーなどがあ機まで5つの発電設備があります。ボイラでは貯炭場からベルトコンベヤーで運ばれてきた石炭をバーナーで燃やし、蒸気を発生させます。発生した蒸気は扇風機の羽根のような形をしたタービンと呼ばれる設備に行っています。また、全ての発電設備をコントロールする中央制御室があり、安全な操業に向けて24時間体制で監視しています。他にも、排煙を環境規制値や協定値以内に抑制する環境保全設備や、排出するための2本の煙突などがあります。「灰埋め立てエリア」は石炭を燃焼した際に発生する石炭灰を埋めるエリアです。同発電所では、燃料の石炭を年間約1000万トン使用して発電しており、石炭灰は年間約100万トン発生しています。石炭灰の大半はセメント原料や土地造成材として有効利用されていますが、有効活用されなかった一部がこのエリアに埋め立てられます。 「JERA ゼロエミッション2050」の取り組みは国内において既に具体的に進められており、中でも碧南火力発電所では、IHIなどと共同で、世界初となる大型の商用石炭火力発電設備での「燃料アンモニア転換実証事業」が行われました。アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないため、発電の燃料を石炭から段階的に転換することで、排出されるCO2を石炭から置換した分だけ減少させることができます。また、アンモニアは燃焼速度や発熱量が石炭と近いことから、安定した燃焼が可能という利点もあります。加えて、既存設備の改修はバーナのみであり、比較的短期間の工期で実証事業の実施が可能となりました。 2021年6月、5号機ボイラのバーナの一部をアンモニア燃焼用に改造し、同年10月から2022年7月まで、燃料アンモニアの小規模利用試験を実施しました。2022年10月には、4号機で本格的な実証試験を実施するため、電力安定供給を確保しながら、燃料アンモニアに関するバーナ、タンク、気化設備、配管などの設置工事を開始するとともに、燃料アンモニアの利用に伴う安全対策も整備しました。実証試験は2024年の4月から同年6月まで実施し、燃料の20%をアンモ碧南火力発電所の空撮写真。中央の青・白の建屋が右側から順に1号機~5号機。2本の煙突は排煙用。右上には船着き場と貯炭場が見える
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