「Safety」「Healthcare」「Life Style」エリア11 ● ネットワーク通信 No.102炭素繊維を貼った板は全く曲がりません。最後に、炭素繊維と樹脂でつくられた、実際の航空機に使用されているパーツの約半分の長さである約3メートルの構造材を持ち上げました。見た目はとても重そうな部品ですが、1人でも持ち上げられる軽さです。参加者は、炭素繊維の特徴を、見て触れて体験し、その強度と軽量性に驚いていました。 「Mobility」エリアには他にも、アラミド繊維「テクノーラ®」「トワロン®」を使用した自動車用タイヤやブレーキパッドなどが展示されています。アラミド繊維は耐熱性、難燃性、耐摩耗性に優れており、その成形物は軽量でありながら非常に高い強度を持ちます。摩擦によってすり減らないことから、自動車の安全な運用を支えています。 「テクノーラ®」は米航空宇宙局(NASA)が2020年に打ち上げた無人火星探査機に搭載された着陸用パラシュートのサスペンション・コード(パラシュートと探査機をつなぐコード)にも採用されました。実験では30トンを超える荷重、平均気温マイナス63度の低温環境、砂塵嵐や大気電気といった過酷な条件にも耐え得ると実証されています。参加者は、様々な産業で活躍する同社の製品について広く関心を寄せていました。 続く「Safety」エリアでは、安全・安心・防災に関わる製品を紹介しています。最初の展示は、アラミド繊維「コーネックス®」「コーネックス®ネオ」を使用した消防服と、電気自動車カーレース「フォーミュラE」で使用されているレーシングスーツです。耐熱性、難燃性といった特徴を持ち、400度以上の熱でも衣服が溶けることはなく、過酷な現場で働く人たちを守ります。 次に説明を受けたのは、木材に炭素繊維を複合させた建築用材「LIVELY WOOD(ライブリーウッド)」です。通常の木材の2倍以上の強度を実現しており、参加者が床に置かれた通常の木材と、同じ外寸の「LIVELY WOOD」製の板とを乗り比べたところ、「LIVELY WOOD」は全くたわみませんでした。見た目は木材と変わらないため、木の質感や温かみを残しながら頑丈な建築が可能になります。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の一部パビリオンでも使用されているとのことです。 「Healthcare」エリアには医薬品・医療機器などが展示されています。目を引いたのは、酸素濃縮装置の「ハイサンソ®」と睡眠時無呼吸症候群治療器(CPAP)の「スリープメイト®」です。これらの製品においては、小型化・軽量化の取り組みが進んでおり、現在では旅行や出張といった外出の際に持ち運びが可能なサイズも実現しています。最新の機器はタッチパネル操作が可能で、利便性が格段に向上しています。また、通信機能も付帯しているため、日々計測された数値を「LIVELY WOOD」と通常の木材を乗り比べる。「LIVELY WOOD」は全くたわまず、強度の差を体験することができた睡眠時無呼吸症候群治療器(CPAP)の「スリープメイト®」実物。小型化・軽量化により片手で持ち上げられるサイズになった航空機に使われる炭素繊維と樹脂でつくられた構造材を持ち上げる
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