企業・団体のCSR活動● 10(文責 主任研究員 湯村南々帆)西日本旅客鉄道(JR西日本)は、持続可能な社会づくりへの貢献を目指し、和歌山県内における特急くろしおの主要停車駅で「戻り苗」を育成しています。水やりをしている様子紀伊勝浦駅で育成中の「戻り苗」 西日本旅客鉄道(以下JR西日本)は、社会インフラを担う企業グループとして、持続可能な社会づくりボン2050」の達成に向け、地球環境の保護に関する様々な取り組みを行っています。 同 社 は そ の 取 り 組 み の 一 環 と し て、 林 業 の ベ ンチャー企業であるソマノベースと連携し、2024年3月に「戻り苗」プロジェクトを開始しました。「戻り苗」はどんぐりから苗木を育て、山林へ植林するという取り組みであり、今回は、特急くろしおの和歌山県内主要停車駅と同社和歌山支社の9カ所に、紀州備長炭の48本ずつ計432本設置しました。苗木は駅員が水やりなど行い、生育状況の確認や定期的なメンテナンスはソマノベースが担います。「戻り苗」は、2年間各箇所で育成後、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に指定されている熊野古道近隣エリアでの植林を予定しています。 「戻り苗」は、CO2の吸収だけでなく、減少するウバメガシの保護や、伐採後放置されている山林への植林を通じて、養分に乏しい斜面の梅林の保全や、土砂への貢献を目指し、「JR西日本グループ ゼロカー原木であるウバメガシの苗木を「戻り苗」として、災害リスクの軽減へとつながっています。また、利用者は苗木の成長の様子を楽しむことができます。 今後は、同プロジェクトを発展させ、京阪神をはじめとした他のJR西日本管内の駅に展開することも視野に入れています。さらに、「木の国わかやま」において、自然環境の整備などにも関わり、地域・社会のカーボンニュートラルやネイチャーポジティブ(自然再興)に向けて貢献するとともに、関係・交流人口の創出など、様々な課題解決への取り組みを予定しています。 同社は、「人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす。」をパーパスに定めています。その上で、持続可能な社会づくりと、企業グループの持続的な発展にとって重要となるサステナビリティの観点から、事業活動による社会的価値と経済的価値の創出を通じ、SDGsの達成に貢献することを目指します。詳しい内容はこちらから▶和歌山エリアで植林用苗木を育成「『戻り苗』プロジェクト」西日本旅客鉄道株式会社
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