ネットワーク通信103号
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はくじょう駅構内で白杖を利用したお客さまを検知する様子PKSHA Technologyの事業全体像 PKSHA Technologyは、2012年、先端情報技術の研究を行う技術者・研究者により東京都文京区本郷に設立された日本のAI企業です。2017年9月に東京証券取引所マザーズ(現:グロース市場)に上場、2024年9月には東証プライム市場へ区分変更しました。当社では、「未来のソフトウエアを形にする」というミッションを掲げ、自然言語処理、機械学習/深層学習技術に関わるアルゴリズムの研究開発、AIソリューション、AI SaaS(サース)事業を展開しています。ソリューション事業ではお客さまのニーズに合わせたカスタマイズ型AI、SaaS事業ではパッケージ型AI(汎用プロダクト)を提供しています。 AIと言うと、映画「ターミネーター」のような、人間と同じように思考し、行動する存在を想像するかもしれません。しかし、それはAGI(汎用人工知能)と呼ばれる自律型のプログラムで、AIが人間を上回る能力を持ったときに到達するものだと言われています。現在のAIは、自ら学習することで答えを導いていくプログラムであり、主に予測・最適化、自然言語処理、動画像認識・合成、音声認識・合成の4つの領域で活用されています。当社では4つ全ての領域を扱い、社会実装を進めています。 以下は実際に提供しているサービスの例です。①コンタクトセンターの支援 お客さまからの問い合わせに対し、AIチャットエージェントが自動応答を行います。電話応対業務では、AIが音声をリアルタイムで解析し、簡単な問い合わせには自動で回答、複雑な問題についてはオペレーターへつなぐシステムを提供しています。また、お客さまとの対話をテキスト化し、生成AIが要約を自動作成することで、オペレーターの業務削減、効率化を図っています。②クレジットカードの不正使用検知 かつては、夜中の連続決済など、決まった条件と合致することで不正を検知していました。その後、過去に発生した不正使用のデータを学習した結果、これまで見分けることができなかった不正使用を高い精度で検知することが可能となっています。③駅構内で白杖や車いすを検知 大阪メトロと共同開発した「AI見守りシステム」は、画像認識技術を用いて、防犯カメラの映像から駅杖や車いすを利用しているお客さまを検知構内で白し、駅員に通知するシステムです。本システムの導入により、サポートや見守りが必要なお客さまにいち早く気付き、寄り添うことが可能となっています。AI(人工知能)の歴史は、1950年代に数学者アラン・チューリングがAIの基本概念を提唱したことにさかのぼります。探索・推論から始まった第一次AIブームは、音声認識などが組み込まれた第二次AIブームを経て、ディープラーニング(深層学習)をはじめとした革新的な技術の登場により、第三次AIブームとして社会で実用され得るAIが開発され、世の中に浸透していきました。2022年頃からの生成AIの急速な普及により、現在は第四次AIブームに入ったとも言われています。今回、日本のAI分野の草分け的存在であるPKSHA Technology社を訪問し、執行役員兼AI Solution事業本部Finance&Security管掌パートナーの佐野長紀氏からお話を伺いました。AI技術を活用して社会課題の解決に挑み続ける同社の姿や考えをレポートします。● PKSHA Technologyの事業内容について教えてください。● AIの社会実装は今、どこまで進んでいますか。7 ● ネットワーク通信 No.103株式会社PKSHA TechnologyAIの進化と社会実装「未来のソフトウエアを形にする」AIの社会実装研究所特集

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