ネットワーク通信104号
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〜社員食堂から始まる持続可能な水産資源の普及と意識改革〜食堂の注文場所すぐ脇にサステナブル・シーフードの説明資料が置いてある※IUU漁業:Illegal(違法)、Unreported(無報告)、Unregulated(無規制)で行われる漁業。資源管理の実効性を脅かしている国際問題の一つ 持続可能な生産(漁業・養殖)に関する認証に加え、加工・流通・販売における管理認証を取得している事業者が供給する水産物を指します。 現在、世界の水産資源の約3割以上がすでに限界まで利用されている状況にあるといわれています。さらに、IUU漁業※に伴う人権問題なども深刻化しています。限りある水産資源を守るために、責任ある漁業・養殖業が求められており、そこで登場するのがサステナブル・シーフードです。 サステナブル・シーフードとして認められるためには、漁業や企業が認証を受ける必要があります。中でも代表的で信頼性の高い認証制度は、持続可能な漁業に関するMSC認証、責任ある養殖業を対象として認証するASC認証です。これらの認証制度では、認証を取得した漁業、養殖場で生産された認証水産物が食卓に届けられるまでの加工・流通過程で、非認証の水産物と混ざらないように厳格に管理されており、全ての過程で第三者機関のチェックを受け、信頼性が確保されています。サステナブル・シーフードには、これらの認証ラベルが付けられています。 パナソニックグループは約30年以上にわたり環境活動に取り組んできました。その一つとしてWWFジャパンと協働で「海の豊かさを守る活動」を行っています。この活動の一環として「南三陸における環境配 慮 型 の 養 殖 業 復 興 支 援 活 動 」 を 応 援 し た 結 果、2016年に南三陸の養殖牡蠣が日本で初めてASC認証を取得しました。これまでは主に「生産者側の支援」に力を注いできましたが、これからは「消費者としての支援」も重要であると考えるようになりました。そこで当社グループとしてもサステナブル・シーフードの消費拡大に貢献するため、日本で初めて社員食堂への導入を開始しました。2025年3月末までに日本国内の累計57拠点の社員食堂で約15万7000食を提供しました。 この活動は、単にサステナブル・シーフードのメニューを提供するだけにとどまりません。2018年から約7年間にわたりWWFジャパンとパートナーシップ契約を結び、MSC・ASC認証の認知度向上に向けた取り組みも進めてきました。従業員一人ひとりに「なぜ今、サステナブル・シーフードなのか」を知ってもらうため、WWFジャパンによる従業員向け勉強会や、動画・説明のPOP・リーフレットなどを活用した啓発も実施しています。無理に勧めるのではなく、課題に共感して「自ら選んで食べる」行動につながるような工夫を続けています。また、イベントやサイトでの発信、問い合わせ対応などを通じて次世代への啓発も推進しています。● サステナブル・シーフードの社員食堂の人気メニューや従業員の反応はどうですか。 門真本社の食堂では、月に一度、サステナブル・シーフードの特別メニューを提供しています。社内では親地球温暖化や海洋資源の枯渇といった環境問題が深刻化する中、企業にも持続可能な社会づくりへの積極的な関与が求められています。パナソニックグループは日本で初めて、社員食堂に環境へ配慮し国際認証を受けた「サステナブル・シーフード」を導入しました。単なる食の提供にとどまらず、環境や社会課題への理解促進にもつなげています。「サステナブル・シーフード」導入の背景や従業員の反応、社外への広がり、今後の展望について担当者にお話を伺いました。● サステナブル・シーフードについて教えてください。● 社員食堂にサステナブル・シーフードを導入したきっかけと想いを教えてください。9 ● ネットワーク通信 No.104パナソニック ホールディングス株式会社サステナブル・シーフード特集

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