は り(文責 主任研究員 伊與花音) YKK APは2024年11月、富山県黒部市に「YKKAP技術館」を開設しました。建材事業発祥の地であるアルミ溶解押出工場(1959年竣工)の建屋をリノベーションし、同社の技術の歩みとモノづくりの精神を次世代に伝える展示館が誕生しました。 「モノづくりと技術への挑戦の歴史をたどり、未来への成長につなげる」ことをコンセプトにしています。展示物を通して、YKK APの製品と技術が社会や暮らしにどのように貢献しているのかが理解できます。 館内は、無断熱建築を全面的に断熱改修することで、BELS評価※1で5つ星相当の省エネ性能を実現しています。また、カーテンウォール※2にはアルミリサイクル率100%の形材を使用し、環境負荷の軽減にも配慮されています。 「創業」「発展」「改革」「挑戦」の4つの時代をテーマとしたエリアごとの展示構成となっており、建材事業の成長を支えたアルミ押出の技術、商品の高機能化、新たなビジネスモデル展開を紹介しています。①「創業」――ファスナーから建材へと事業が拡大し※1「Building-HousingEnergy-efficiencyLabelingSystem」の略称。(一社)住宅性能評価・表示協会が運営する建築物の省エネ性能を表示する第三者認証制度。同協会に登録された機関が省エネ性能を客観的に評価し、一次エネルギー消費量をもとに6段階の星マークで表示している※2建物の荷重を直接負担しない非耐力壁。柱と梁その構成部材にアルミやガラスなどの材料を用いて作られる外壁「発展」エリアの様子。サッシフレームやガラスの断熱化技術を紹介していますを主要な構造体として、YKK AP技術館は、1959年築のアルミ溶解押出工場の建屋をリノベーションして開館。当時の鉄骨トラス屋根やスチールサッシを展示物として残しつつ、前面をカーテンウォールにした建築の新旧融合によりダイナミックに空間を大きく見せる構成となっています。1階入り口脇の光テラスから眺めた大階段の様子。屋外とつながりを持つ空間設計により、窓を考え、窓に責任を持つ会社、YKKAPらしさが感じられます詳しい内容はこちらから▶企業・団体のCSR活動● 12②「発展」――日本の窓が木製からアルミサッシへと変化する過程や、一貫生産による技術の進化を紹介しています。さらに、快適な住環境を実現するための断熱サッシやガラスの断熱化技術も展示しています。③「改革」――サッシから窓へ。窓のすべてに責任を持つ「窓事業」の最新技術や取り組みを紹介しています。また、建築家の想いを形にするカーテンウォール技術を、実物大の迫力ある展示を通じて体感できます。④「挑戦」――YKK APのパーパス「ArchitecturalProductsで社会を幸せにする会社。」や、地球環境への貢献と新たな価値創造に向けた今後の挑戦を紹介しています。 YKK AP技術館は、建築技術の歩みや技術者の想いを通して、快適で環境に優しい暮らしを支える建築資材の役割と、それを実現する技術に関する情報発信の拠点として重要な役割を担っています。 なお、見学は予約不要(10名以上の団体は要予約)で、入場料は無料です。た背景や、建材事業開始までの試行錯誤の歴史を、当時の現物展示を通じて紹介しています。シアターでは、技術者たちの挑戦や転機を描いた約10分の映像を上映しています。YKK AP株式会社技術と挑戦の歴史を未来へ「YKK AP技術館」
元のページ ../index.html#13