● 見学の様子実際の滅菌センターを見学国際くらしの医療館・神戸の概要医療器材の洗浄 ― 滅菌センター歯髄再生治療への取り組み・くらしの医療企業と生活者懇談会 ● 6フィルターなどを用いて滅菌後の器具に菌が再付着しないよう管理されています。 国際くらしの医療館・神戸は、エア・ウォーターの「ヘ2019年5月に開設しました。医療と防災の両領域を支える多様な機能を備えた、同社のウェルネス分野における中核施設となっています。 同施設は、神戸市の「神戸医療産業都市」に位置しています。この地域は、阪神・淡路大震災の復興事業の一環として整備され、現在では研究機関や高度専門病院、医療関連企業など約370の団体が集まる国際的な医療・健康産業の拠点となっています。医療館もその一員として、人々の健やかな暮らしを創造する研究開発拠点というテーマのもと、多様な事業を展開しています。 建物は地上5階建てで、各フロアはエア・ウォーターグループの取り組む医療関連サービスの提案や、歯髄再生治療の研究・開発、医療・介護製品の展示紹介が行われているほか、病院設備と同様の手術室やICU(集中治療室)を備えたシミュレーションセンターも設けられています。 研究開発の拠点であると同時に、教育・人材育成の場としても活用されており、地域医療の高度化と安全・安心な暮らしの実現に貢献しています。 参加者は、初めに滅菌センターを見学しました。滅菌センターは、医療機関で使用された器材を安全に再使用できるよう、洗浄・組み立て・滅菌・点検・配送・回収といった一連の実務を行う専門施設です。医療現場では、メスやはさみなど体に直接触れる器具が日常的に使用されますが、それらを次の患者にも安心して使用するためには、確実な滅菌処理が不可欠です。 医療機関内にも「中央材料室」と呼ばれる滅菌室がありますが、処理量や設備面の制約から、全ての処理を院内で完結することが難しいケースもあります。そこで、こうした一連の作業を専門的に請け負うのが滅菌センターの役割です。 エア・ウォーターは全国で23カ所の滅菌センターを展開し、サービスを提供しています。 見学当日は、実際にスタッフが滅菌作業を行っていルス&セーフティー」事業を推進する拠点として、る様子を見ることができました。機材、器具の仕分け、洗浄、滅菌、パッキングなどの工程が、それぞれのエリアで丁寧に実施されている様子は、作業の専門性と徹底した衛生管理の重要性を実感させるものでした。 センター内は3つのエリアに分かれています。まず、使用済みの機材が搬入されるエリアで、仕分け作業が行われます。分解が必要な器具はここで分解され、細かい部分の洗浄や作業員による手洗いなどの前処理が施されます。続いて、洗浄機を通じて自動的に機材が中央の洗浄エリアに送られ、洗浄・乾燥が行われます。さらに滅菌処理後、滅菌済みエリアに移され、パッキングが行われます。 滅菌済みかどうかは、パッキングのシールにつけられた黒いラインで判別できます。これは視覚的に確認できるようにするもので、安全管理の重要なポイントです。また、滅菌処理には専用の検査機能もあり、滅菌器に投入する際には、検証用の菌を一緒に入れて滅菌効果を確認する工程も組み込まれています。 素材によっては高温処理ができないため、高圧蒸気ではなくガスを使用した滅菌が行われることもあります。施設の空気管理にも配慮がなされており、HEPA 続いて、歯髄再生治療への取り組みやその必要性について、プロジェクションマッピング、展示や模型を通じて解説が行われました。近年では、歯の神経である「歯髄」を再生させる「歯髄再生治療」の実用化が進められています。 虫歯が重症化すると、神経(歯髄)にまで感染が及び、激しい痛みを伴います。現在の一般的な治療では、感染した神経を抜き取り、代わりに人工物を詰める方法が取られますが、神経を失った歯は水分や栄養が行き届かず、もろくなりやすいという欠点があります。結果として、数年後に歯が割れたり、抜歯が必要になったりすることも少なくありません。
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