ネットワーク通信105号
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● では、米の価格はどのように決まるのでしょうか。市場や需要動向の影響についても教えてください。(聞き手 主任研究員 湯村南々帆)カントリーエレベーター(JA伊勢提供)生産から販売までの流れ(JA全農「米流通に関するファクトブック」より) 流通においては、JAグループの場合、各JAや全国農業協同組合連合会(JA全農)の販売事業を通じて小売店などに届けています。また、農家が直接消費者に販売するケースもあります。米卸売業者は玄米を受け取り、精米工場で白米に加工した上で、小売店や中食・外食店などに販売します。JAグループは全国各地に精米工場を持っており、集荷から販売までをグループにおいて一元的に受け持つことが可能です。このようにして、消費者は安全で品質の確かな米を購入することができるのです。 2025年に市場流通した備蓄米ですが、基本的な運用として、凶作や天災などによって米が不足した場合に備えたものであり、すぐ消費者向けに供給されるものではありません。国が定めた入札制度に基づき落札され、玄米のまま保管されます。一般的には、5年持越米となった段階で飼料用などとして販売されます。 米の価格は、基本的に市場の需給バランスで決まります。農業者が収穫した米は、売り手(JAなどの集荷業者)と買い手(米卸売業者)が直接交渉して銘柄ごとに価格が決定されます。その後、米卸売業者から小売店や中食・外食店へ供給される際には、流通や加工など多くの業者が関わります。そうしたことから、価格が変動することがあります。 近年の米価の上昇には、需要と供給の両面の変化が影響していると考えられています。高温の影響で稲の品質が低下すると、精米に適した良質な玄米が不足しやすくなります。日本の人口減少により、国内需要は減少傾向にあると見込まれていましたが、コロナ禍以降はインバウンドなどにより需要が増加しました。その結果、店頭価格が例年より上昇したと考えられています。 さらに、農業機械の燃料費、肥料や農薬などの資材費の高騰などによって農業経営にかかるコストが増加していることも、価格に影響しています。従来の価格水準では十分な利益を確保しにくく、安定した農業経営が難しい状況です。このため、需要に応じた生産や、適正な価格の形成が重要になっています。● 米づくりと食の安定に向け、JA全中が目指す姿についてお聞かせください。 気候変動やインバウンドなどの需要増加により、生産量と消費者需要のバランスが難しくなっていますが、需要に応じた生産を行い、安定した供給を進め、農業者が安定して農業を続けられる環境づくりを目指しています。 また、JAグループは「私たちの国で消費する食べものは、できるだけこの国で生産する」ことを意味する「国消国産」の考えのもと、日本で生産された農産物を日本で消費することが、地域農業を支え、食の安心につながると考えています。消費者の皆さまには、国産品の価値をご理解の上、納得して購入いただきたいと考えています。 さらにJAでは、ドローンやロボットなど農業ICTを活用したスマート農業にも取り組み、省力化やノウハウの継承、農業者の働き方改革を推進しています。 2024年度には、58.4%のJAがこの取り組みを実施しており、農家が持続的に農業を行えるよう、生産性の向上や農業者の意欲を支える仕組みづくりを進めています。こうした取り組みを通じて、今後も地域と日本全体の食の安定につなげていきたいと考えています。特集 米の生産と流通の仕組み ● 10全国農業協同組合中央会(JA全中)

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