CO2を資源に―新素材と循環ビジネスが描く未来● カーボンリサイクル事業を始めたきっかけについて教えてください。 「LIMEX」の開発を進めることで、素材開発や生産に関わる技術を蓄積する一方、石灰石の成分である炭酸カルシウムに着目し、より環境負荷を低減させるための新しいアプローチを模索していました。その中で、CO2そのものを原料として炭酸カルシウムを生成できる技術に可能性を感じたことが、カーボンリサイクル事業に挑戦するきっかけとなりました。IEAの予測では、エネルギー起源のCO2排出のうち、カーボンリサイクル技術を含むCCUS(Carbon Capture, Utilization, Storage =炭素回収・活用・貯蔵)に期待される削減貢献量は全体の約20%であり、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献することができる技術です。 TBMでは早くからNEDOからの補助金の採択や大学 と の 共 同 研 究 を 続 け て お り、「CR LIMEX」 を2024年に製品化するに至りました。 さらに、カーボンリサイクル市場は2022年時点で世界約18兆円、2050年代には270兆円規模への拡大が見込まれており、環境面だけでなく事業面での成長可能性も大きな後押しとなりました。● 「CR LIMEX」にはどのような特徴があるのでしょうか。 「CR LIMEX」の主原料である炭酸カルシウムは、排ガスから回収したCO2と、発電所や工場から出されるコンクリートスラッジや鉄鋼スラグなどのカルシウムを含む副産物を反応させて生成しており、素材自体にCO2を吸収・固定することで、CO2排出量を抑制し、製品化できる点が大きな特徴です。 また、副原料である樹脂部分には廃プラスチックな2050年のカーボンニュートラル実現に向け、CO2排出量を削減するため、様々な技術開発が進められています。中でも、CO2を「資源」として捉え、回収して再利用する「カーボンリサイクル」は有望な手段として注目されており、経済産業省もロードマップを策定し、普及を推進しています。分離・回収したCO2をコンクリートなどへの鉱物化や化学品・燃料の原料として活用することで、大気中への排出を抑制し、脱炭素社会の実現に寄与する技術です。国内でも産業由来のCO2を活用した製品化が進みつつありますが、技術開発やコスト面など社会実装に向けた課題は多く、スタートアップの果たす役割が期待されています。今回TBMを訪問し、CO2を資源として活用するカーボンリサイクル事業の内容や、CO2を原料とした新素材「CR LIMEX(シーアールライメックス)」の開発背景と活用事例、そして同社が描くビジネスモデルについてお話を伺いました。CO2を循環させ、社会に還元する新たな挑戦を紹介します。● TBMの会社概要について教えてください。13 ● ネットワーク通信 No.106TBMが展開する素材開発・資源循環の概要 TBMは2011年に設立した、GX領域で先端技術を基盤に事業を展開するスタートアップです。企業価値が高く評価され、日本経済新聞の「NEXTユニコーン調査」にも選出され、2019年ユニコーン企業として評価されました。環境・資源分野の社会課題を技術で解決することを目指し、素材開発から循環システムの構築まで幅広く取り組んでいます。 事業の起点となったのは、石灰石(炭酸カルシウム)を原料とするプラスチックの代替素材「LIMEX」です。この素材技術を基盤に、資源循環事業やカーボンリサイクル事業へと事業領域を拡大してきました。資源循環事業では、神奈川県横須賀市のリサイクル工場を中心に、回収した家庭由来の容器包装プラスチックから、TBM独自の技術を用いて高強度、高機能な再生材「CirculeX」を製造・販売し、循環型社会の実現を目指しています。 さらに近年では、カーボンリサイクル事業を重点領域として位置付けています。カーボンリサイクル技術を用い、従来のLIMEXを進化させた低炭素素材「CR LIMEX」やCO2由来の炭酸カルシウムの製造・販売に加え、CO2を回収・再利用へつなげるプラントの建設・運営など、事業を一段と広げています。今後は、カーボンリサイクルと資源循環の両分野を中心に、GX領域での事業展開をさらに加速していく方針です。株式会社TBMカーボンリサイクル特集
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