企業と生活者懇談会
2011年9月28日 和歌山
出席企業:花王
見学施設:花王エコラボミュージアム

「“いっしょにeco”を知り、体験する」

2011年9月28日、和歌山県和歌山市の花王和歌山工場で、「企業と生活者懇談会」を開催しました。参加した22名の生活者は、花王および和歌山工場の概要について説明を受けた後、花王エコラボミュージアムと和歌山工場を見学。続いて質疑懇談を行いました。
花王から、花王エコラボミュージアムの川俣章館長、繁田明室長、和歌山工場地区サービスセンターの小林英司課長、細川利男課長代理、平野資明氏、サステナビリティ推進部の横見瀬薫課長、生活者コミュニケーションセンターの金谷郁穂子室長、広報部の坂倉隆仁部長、塩澤聡グループリーダーが出席しました。
花王からの説明
■花王について■ 
 花王は、「長瀬商店」として1887年(明治20年)に創業しました。今では約3万5000人の従業員が働き、1兆1868億円(2010年度)を売り上げる企業グループに成長しました。ビューティケア事業(化粧品、プレミアムスキンケア製品)、ヒューマンヘルスケア事業(サニタリー製品、健康機能飲料)、ファブリック&ホームケア事業(衣料用洗剤、台所用洗剤)、ケミカル事業(産業界向け工業用製品)の4つの事業部門から成ります。国内には、北から酒田、栃木、鹿島、東京、川崎、小田原(カネボウ化粧品)、豊橋、和歌山、愛媛の9つの工場があります。 
 
■和歌山工場について■ 
 和歌山工場は、主に衣料用洗剤、シャンプー、リンス、その他工業用製品などを年間約79万トン(2010年度)製造する基幹工場で、約1700名が働いています。約42万5千平方メートルの広い敷地をもち、北側に生産設備が、南側に研究施設が配置され、原料を積載した船が着く工場専用の埠頭もあります。 
 船で運ばれてきたヤシ油などを原料に、まず脂肪酸、グリセリン、脂肪エステルなどを製造し、これを元に界面活性剤をはじめとする油脂誘導体を生産します。一部はそのまま産業用として販売されますが、さらにこれらを原料として家庭用の洗剤などを作ります。原料加工の川上から最終製品の川下までを、一貫で生産をしているのが和歌山工場の特徴です。 
 
■花王エコラボミュージアムについて■ 
 花王は、経営の根幹にエコロジーを据え2009年(平成21年)に「環境宣言」を発表し、併せて「2020年中期目標(2005年を基準にCOを35%削減、水は30%削減するなど)」を設定しました。この目標達成を目指し、“モノづくり”でエコロジー経営を具現化するために、ここ和歌山工場内に花王エコテクノロジーリサーチセンター(ETRC)を今年(2011年)6月に新設しました。和歌山は次世代環境技術を研究するのにふさわしい場所です。何より緑豊かです。また、南方熊楠という日本で初めてエコロジー思想を紹介した大学者が和歌山県出身ということをご存知でしょうか。 
 ご見学いただく花王エコラボミュージアムは、ETRCの1階にあります。ここでは、花王が、環境配慮のためにどのような“モノづくり”をしているかを、原料調達、製造、運搬、使用そして廃棄に至る製品ライフサイクルの順でご紹介しています。毎日ご利用されているお客様のご協力が、花王製品の環境負荷軽減に欠かせません。花王が“いっしょにeco”というテーマでご提案している、毎日の暮らしの中でできるエコについても、併せてご理解いただければ幸いです。 
見学の様子
■花王エコラボミュージアム■ 
 広く高いスペースに、実物やカラフルな造形を多用した展示は、どれも分かりやすく印象的です。 
 「花王のエコデザイン」のコーナーでは、製品のライフサイクル―原材料選択、工場での製造、店頭への運搬、家庭での使用、ゴミとして廃棄に至るまで―の各段階で発生するCO排出量が造形されています。家庭で製品を使うところとゴミを出すところでライフサイクル全体のCO排出量のおよそ65%までを占めることを、すぐ理解できました。 
 「ゴミに出すときのエコ」のコーナーでは、同じ洗濯回数を持つ、従来型洗剤、コンパクト化洗剤、詰め替え品の3種の使用後容器が積んであります。参加者一同、頭上はるか高く積み上がった従来品本品を見上げ、そして足元の詰め替え品を見下ろし、ゴミ削減効果を実感しました。 
 エコ家事ラボのコーナーでは、従来型の液体洗剤と、すすぎが1回で済む「アタックNeo」の比較実験に参加。「アタックNeo」の泡切れと汚れ落ちのよさは一目瞭然で、参加者から驚きの声が上がりました。 
 
■植物バイオマス研究棟■ 
 続いて見学した植物バイオマス研究棟は、油脂原料となる植物を育成し、その生態を研究するETRCの一施設です。ココヤシやアブラヤシなど油の原料になる植物、薬や香料として使われる植物など全部で60種類もの植物が植えられています。室内はココヤシの性質に合わせて27度前後に保たれているそうです。 
 
■和歌山工場■ 
 見学の最後は、工場北側の生産エリアです。広い場内に生産設備が整然と並び、その間をたくさんのパイプラインが張り巡らされています。すべてをつなげると「和歌山―東京3往復分」になる長さだそうです。ヘアキャップをかぶり、クリーナーで体の埃を除去して入場した衣料用洗剤、食器用洗剤の充填ラインは、ほとんどが自動化されています。機械音が響く清潔な場内で、身近な商品が次々とできあがっていく様子を見学しました。 
 充填ラインの見学後、バスは、和歌山工場のシンボル―工場を南北に貫く美しい松林に沿って走り始めました。約380年前、初代紀州藩主の徳川頼宣公が造成した防潮林です。従業員が定期的に消毒などの手入れをし、大切に守っているそうです。 
花王への質問と回答
社会広聴会員:
原材料にかかわるエコの取り組みを教えてください。
花王:
原材料として、パーム、ヤシなどのCOの発生が少ない天然系の原料を主に使っています。これらの原料を、環境を壊さず、生物多様性にも配慮した形で調達できるように「持続可能なパーム油の円卓会議(RSPO)」に加盟しています。
ただ、パーム、ヤシは食べられる植物なので、食料需要とバッティングします。そこで現在、食べない植物を油脂原料に使うための研究に注力しています。植物バイオマス研究棟で見ていただいたヤトロファという植物は人間は食べません。しかも荒地でも育ちます。畑にできないところで育つ油脂を生産できれば、食べ物とバッティングせずに原料を調達供給できます。
 
社会広聴会員:
“モノづくり”における環境配慮の工夫を教えてください。
花王:
素材の技術開発が重要なポイントになります。今日、環境性能を実感していただいた「アタックNeo」の成分であるアクアW(ダブル)ライザーもその大きな成果です。 
家庭用商品以外では、ケミカル事業部のコピー・プリンター用のトナーバインダーが挙げられます。コピー機などは、中のドラムを熱して糊の役割をするトナーバインダーを溶かして顔料を紙に付着させるという仕組みで機能します。トナーバインダーが溶ける温度を下げれば、ドラムをあまり熱する必要がなくなり、電気の大きな節約になります。花王は、低温定着トナーバインダーを開発しコピー機などの電力消費などの低減にも寄与しています。
 
社会広聴会員:
洗剤は化学製品ですが、消費期限はありますか。
花王:
法律などの定めはありません。化粧品では薬事法で「特別な表示がない場合は未開封で3年以内」と決められているので、これに準じて使い切っていただければと思います。なお、3年経ったからといってすぐに劣化するわけではありません。 
ただし、粉末タイプの洗剤は水に溶けやすく作ってあるので、湿気を吸って固まってしまうことがあります。ビニール袋にくるんでの保管をお勧めします。 
 
社会広聴会員:
新しい洗剤の洗濯排水の環境負荷は、従来品と比べていかがでしょうか。 
花王:
基本構造は従来品も新製品も同等ですし、実験で生分解性(微生物によって分解される性質)を確認しています。新製品の開発時には、必ず環境影響に関する試験をし、以前より悪くなるようであれば商品化しません。
 
社会広聴会員:
昔、企業は、「安全や環境にお金を使うともうからない」と、この分野に無関心でした。花王の環境配慮への積極的な取り組みは利潤のためですか、それとも環境保全を本当に大事だと考えて注力しているのか、どちらですか。
花王:
現在金融界には、社会的責任投資といって、企業を利益水準だけではなく環境への取り組みも併せて評価する動きがあります。花王の株式は、環境への取り組みが認められ、複数の社会的責任投資指標の組入対象に選ばれていますが、環境に配慮しない会社は資金調達に不利となり、グローバルな事業展開が難しくなるのが、今日の企業の置かれた現実です。
もちろん投資家からの評価とは別に、環境に取り組んでいきたいという思いは強いです。見学いただいたエコラボミュージアムの真上では、まさにそうした研究に取り組んでいます。花王のこれからを楽しみにしていただきたいと思います。
 
参加者の感想から
●新たな油脂原料として荒地でも栽培可能な植物を研究されているとのこと、ぜひ頑張ってください。明日は「1回すすぎ」に挑戦します。 
 
●洗剤の高性能化、コンパクト化、容器の使いやすさ向上などの様々な工夫は、「よきモノづくり」の精神の表れと感心しました。 
 
●工場が整理整頓されすっきりしていること、あらゆるところにエコ精神が溢れていることに驚きました。 
 
●花王の環境配慮への姿勢・取り組みは地球環境のためにも大事なことと思います。そしてこうした取り組みが利潤を生む源になるのではないでしょうか。“いっしょにeco”私たち消費者にとっても大事なことと思いました。
花王ご担当者より
 このたびはご来社いただきまして、ありがとうございました。和歌山工場と花王エコラボミュージアムをご見学され、弊社の環境への取り組みをご理解いただけたと思います。また環境に配慮した製品作りや安全対策などについて、有意義な意見交換をさせていただき、感謝しています。皆さまの貴重なご意見は、今後の事業活動に生かしていきます。
お問合せ先
(財)経済広報センター 国内広報部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館19階
TEL 03-6741-0021 FAX 03-6741-0022
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