企業と生活者懇談会
2014年9月5日 北海道
出席企業:サッポロホールディングス
見学施設:サッポロビール博物館、北海道工場

「豊かで潤いのある生活の実現に貢献することを目指して」

9月5日、サッポロホールディングスのサッポロビール博物館(北海道札幌市)と北海道工場(北海道恵庭市)で、「企業と生活者懇談会」を開催し、生活者25名が参加しました。会社概要の説明を受けた後、サッポロビール博物館と北海道工場を見学、その後、質疑懇談を行いました。 
サッポロビールから、北海道工場の寺本幸司工場長、生産部の潮井徹部長、北海道本社戦略営業部の安藤達也副部長が出席しました。

サッポロホールディングスからの説明

■サッポロホールディングスの概要 ■
 2003年(平成15年)に、サッポロビール株式会社から純粋持株会社へ移行したサッポロホールディングス株式会社は、国内酒類事業、国際事業、食品・飲料事業、外食事業、不動産事業の5つの事業を行っています。幹となるのは国内酒類事業ですが、酒類を巡る環境の変化に伴い、多角的経営で安定的に成長する戦略を行っています。 
 国内酒類事業では、ビール事業を中心にワイン洋酒事業などを展開しています。国際事業では、海外の現地工場などで外国仕様のビールを造り、販売しています。米国でサッポロブランドは、日本のビールとしてナンバーワンのシェアを誇ります。また、日系メーカー初のビール工場であるベトナムでは、国内にとどまらずASEAN各地で販売しています。食品・飲料事業では、2013年(平成25年)にポッカコーポレーションとサッポロ飲料が経営統合し、ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社として新たなスタートを切りました。外食産業では、サッポロライオンをはじめ、和食やイタリアンなど各種飲食店を経営しています。不動産事業の大きな軸は、恵比寿ガーデンプレイスとサッポロファクトリーです。いずれもビール工場の跡地です。 

■サッポロビールの沿革 ■
 サッポロビールのルーツは、1876年(明治9年)開業の官営工場「開拓使麦酒醸造所」にさかのぼります。明治政府はロシアの南下政策への対抗策として1869年(明治2年)に開拓使を設置し、外貨を稼ぐ手段の1つとしてビールを考案したといわれています。外国から来た開拓の技師が、偶然、岩内で野生のホップを発見したこと、寒冷地では米より麦栽培の方が効率が良いなどの幾つかの条件が重なり、未開の土地でビール造りが始まりました。 
 北海道の開拓は荒涼とした原野で始まりました。方位を知るための重要な北極星に希望を託したことから、開拓使の旗には、青地に赤い星がシンボライズされています。この赤い星は、1877年(明治10年)、初出荷の商品に付けられ、北海道旗や道庁、札幌市時計台などにも取り付けられています。また、現在のサッポロビールの社章には黄色い星が用いられています。 
 開業5年目の1881年(明治14年)、明治天皇が行啓の折にお立ち寄りいただいています。ビールを試飲され、お褒めの言葉を頂いたという話が社内では伝わっており、これを励みに事業を続け、今に至ります。 
 開業後10年で民間に払い下げられ、その後、製造量を上げるため道内初の企業として東京進出を果たしました。しかし、明治30年代にビールが爆発的な人気となり、ビール会社の数も増えて競争が激しくなったため、国の指令のもと、札幌麦酒(サッポロビールの前身)、日本麦酒(恵比寿麦酒を製造)、大阪麦酒(アサヒビールの前身)の3社が合併し「大日本麦酒会社」となりました。戦後は、1949年(昭和24年)に独占禁止法の適用を受けて、サッポロビールとアサヒビールに分かれて現在に至ります。 
 ビール製品は長らく、熱で酵母を死滅させた熱処理という方法で造られていました。サッポロビールでは赤い星の歴史を受け継ぎ、現在も熱処理ビールを約140年の伝統の味を守り販売しています。一方、生ビールは製法がドイツから入ってきて、1957年(昭和32年)に日本で最初に造りました。東京、横浜、札幌のみの限定販売でしたが、20年の歳月を経て1977年(昭和52年)に全国で発売しています。当時は別の名称でしたが、瓶のラベルが黒だったため、お客さまからはすでに「黒ラベル」の名で親しまれていました。1989年(平成元年)、「黒ラベル」を正式に商品名にしています。

見学の様子

■サッポロビール博物館 ■
 日本で唯一のビールに関する博物館「サッポロビール博物館」を見学しました。1890年(明治23年)、札幌精糖会社の工場として建設されたレンガ造りの建物です。高さ50メートルの煙突の先端をはじめ、建物の至る所に赤い星があります。 
 館内には、1877年に最初に製造・販売された「冷製札幌麦酒」に始まり、歴代に製造された数々のビールの瓶や缶が並んでいます。また、札幌にあった工場で使用され、未来技術遺産にも登録されている大きな「麦汁煮沸釜」も展示されています。 
 ビールの原料である、麦とホップの実物も見ることができました。ビール造りには、でんぷんを多く含みビール造りに適した「二条大麦」を使用します。ホップは爽やかなビールの香りや苦味をつけるためにスパイスのような役割を果たし、ビール造りには欠かせない重要なものですが、香りが強くあっという間にビールに香りと苦味が移るそうです。乾燥させたホップは、お世辞にも良い香りとは言えませんでしたが、貴重な体験ができました。 
 おいしい缶ビールの飲み方の実演もありました。グラスにビールを3回に分けて注ぎ、泡をしっかりつくることで、樽生ビールの味に近くなるそうです。「黒ラベル」の秘密は、泡持ちが良くなるよう20年かけて品種改良した「うまさ長持ち麦芽」です。実演では、ビールが注がれたグラスを振っても泡が壊れず、斜めに傾けても落ちない様子を、参加者一同驚きながら見学しました。 

■サッポロビール北海道工場■
 北海道恵庭市にある工場は、札幌市内からの代替工場として1989年に建てられ、2014年(平成26年)に25周年を迎えました。札幌ドーム約6.5個分の敷地内の約62%が緑地帯です。ビアホール園や35ホールあるゴルフ場も備え、地域に開かれているのが特徴です。恵庭市に工場を建てたのは、支笏湖の北に位置する恵庭岳の良質で豊富な水源が使え、また、高速道路が近く、全道へ製品をお届けするための物流面で優れていたからです。 
 原料の大麦とホップは、産地や生産者が明確で、生産方法もはっきりし、安全でおいしいものを使用しています。フィールドマンと呼ばれる専門家が世界中の産地へ飛んで行き、生産者と交流を持って確認しています。「協働契約栽培」と言い、サッポロビール独自の取り組みです。また、大麦とホップ両方の研究所を持ち、育種も行っていますが、これも世界中のビール会社で唯一とのことです。 
 工場では、これらの厳選された材料を用いてビールを造っています。敷地内にはサイロやタンク、建物内部はキッチンの役割を果たす釜が並んでいます。サイロ内から取り出された「麦芽」はまずは仕込釜に入り、ゆっくり煮込まれ、甘い麦のお粥になります。続いて、濾過槽でこされ麦汁になり、煮沸釜でホップペレットを加えて煮込みます。ここで加えるホップがビールの泡に重要な働きをします。その後、ホップのかすなどを取り除いてから、発酵・熟成へ進みます。発酵タンクでは、麦汁にビール酵母を加えることで、糖分がアルコールと炭酸に分解され、麦のジュースがお酒へ変化していきます。それを熟成タンクに移し、摂氏零度くらいで1カ月間眠らせて味をなじませ、下に沈んだビール酵母を取り除くと、琥珀色の美しいビールが出来上がります。 
 長年の経験と技術を有する醸造技術者は、仕込む温度やタイミング、時間などを微妙に調節し、毎回同じ品質のビールを造ります。まさに職人技です。 
 こうして出来上がったビールは、パッケージのラインで缶、瓶、樽へと詰められ、厳しいチェックを経て出荷されます。缶に蓋を取り付ける工程では、もとは分かれている缶と蓋を、2つのローラーを使い巻き締めという方法で、蓋を内側に巻き込んで付けていく様子を見学しました。アルミ缶は金属とはいえ紙よりも薄く、力加減を間違えるとすぐ曲がったり破れたりするそうです。 
 北海道工場は、工場から出る廃棄物は1998年(平成10年)に100%再資源化を達成するなど、環境にも力を入れています。例えば、「モルトフィード」と呼ばれる麦のお粥の搾りかすは、乾燥させて家畜の餌にしたり、使用したビール酵母は、栄養剤やお菓子に加え、無駄なく利用されていることを学びました。 

※:ホップの花を摘んで乾燥させ、細かく砕いて凝縮した状態のもの

サッポロホールディングスへの質問と回答

社会広聴会員:
初期の開拓使時代にどのような苦労がありましたか。
サッポロホールディングス:
先人から伝え聞いているところでは、とにかく何もない不揃いな中でスタートしたということです。
今のような手法が確立していない中、おいしいビール造りの経験を積み重ねていきました。瓶1つをとっても同じ規格はなく、輸入してきた不揃いの大きさの瓶にコルクを入れて、針金で閉めていました。失敗を重ねながらも、商売を軌道に乗せてきました。販路も何もない中ですべてゼロから始めたのです。社内ではよく「フロンティア精神」の言葉を旗印にしますが、まさに開拓者、ゼロから造っていくという精神に基づいています。これからの商品開発もゼロから造っていくという発想で、他社とは一味違う着眼点でやっていきます。
 

社会広聴会員:
ビール造りでは、腐造はあるのでしょうか。
サッポロホールディングス:
現在の衛生管理、設備、検査からは、失敗して腐造するということはありません。しかし今のような技術がなかった時代は、ビール造りの成功を神様にお願いをしていたころがあると聞いています。北海道神宮には開拓・発展の守護神として3つの神様が祭られていますが、その1つが少彦名神という酒造の神様です。そこから分けていただき、現在でも、北海道工場内の神社、博物館、サッポロファクトリーの一角の、道内3カ所でまつっています。
 

社会広聴会員:
第三のビールについて、税金との関係を教えてください。 
サッポロホールディングス:
お酒は課税されますが、その中でもビールは比較的課税率が高く、350ミリリットル缶当たり77円が税金です。 
この状況の中、税率の低いビールを造ろうという流れになりました。定義的には、麦芽を67%以上使用し昔ながらの方法で製造したものがビール、67%未満に抑えたものが発泡酒で軽減税率の対象です。さらに第三のビールは、ビールに近いものの法令に定めがなくビールの税率が適用されません。例えば、2005年(平成17年)発売の「ドラフトワン」は、麦芽を一切使用せずエンドウたんぱくでお酒を造っています。しかし飲み心地はビールに近いことから、発売と同時に爆発的な人気になりました。 
「極ZERO」は第三のビールとして売り出しましたが、現在は発泡酒として再発売しています。中身は同じ価値を持つお酒ですが、税金区分を変更しました。 
発泡性酒類に関しては税体系が複雑化しており、消費者の皆さまが混乱しないような制度設計が待ち望まれると思います。
 

社会広聴会員:
海外販売用のビールについて、教えてください。
サッポロホールディングス:
日本で生産して輸出もしていますが、どちらかというと現地生産でビールを造っています。海外のお客さまの好みに合わせて、味や缶の形も違います。嗜好品なので、どのように好みに合わせるのか、海外ではスタンダードな層かプレミアム層を狙うのか、といったマーケティング上の悩みもよくあります。 
 

社会広聴会員:
環境への取り組みについて教えてください。
サッポロホールディングス:
工場内の各個所ではエネルギーをどの程度使っているかを「見える化」し、リアルタイムで把握して省エネを図っています。二酸化炭素(CO2)は1990年(平成2年)と比べて2010年(平成22年)で54%削減しました。設備的にも、コジェネレーションシステムの導入で効率よく熱回収を行ったり、排水処理設備では、水をきれいにする菌が発生させるメタンガスを利用して工場内で使用し、ガス使用量の15%程度をまかなったりしています。また、燃料転換も積極的に進め、ほとんどの設備で天然ガスを利用しています。ガスは完全燃焼するため、環境への負荷が少ない燃料となっています。
 

社会広聴会員:
地域貢献の取り組みについて教えてください。
サッポロホールディングス:
北海道洞爺湖サミットが開催された時に、会場近くで森づくりのお手伝いをさせてもらう協定を結んだことが大きな契機となり、様々な活動をしています。 
北海道で生まれた会社という特徴を生かし、お客さまの生活行動に結び付ける活動を心掛けています。例えば「麦とホップ」はコープさっぽろと協力し、1本買うと1円が寄付される仕組みです。また、イオンとは北海道遺産を守る活動を行っています。 
札幌に関しては、札幌近郊で食材関係を扱う会社と、道内外の飲食店関係者とのビジネスマッチングのお手伝いや、市内の観光ボランティアが着る青いビブス(ベスト状のもの)を用意させていただいたりしています。
 

参加者の感想から

●博物館のビールの歴史史料は特に興味深かったです。ビールが出来た当初、北海道からの輸送は大変だったということで、試行錯誤したのだろうと当時の苦労を思わずにはいられませんでした。 

●サッポロビールの歴史は北海道の開拓の歴史とともにあったことを学びました。開拓者精神でビール造りをされていること、安全に消費者に届けるものづくりの真摯な姿勢に、道民として応援したいと思います。 

●サッポロビールの歴史をはじめ、環境への取り組みを詳しく学ぶことができ、ますますサッポロビールのファンになりました。これからも「フロンティア精神」を基本として頑張ってほしいです。 

●札幌市に在住して30年近くですが、躍進していく北海道の企業を誇らしく思いました。星のマークの意味が分かり、歴史を知ってさらに身近な企業になりました。 

●ビール業界は日進月歩で競争も激しく、グローバル化で世界を相手においしいビールを製造しなければなりません。これからも新しいユニークなビールを創造し、人類を幸せにしてくれるよう祈ります。 

サッポロホールディングスご担当者より

 遠方のお客さまも含め多くの皆さまにご参加いただけ大変うれしく存じます。
 私どもの「出発点」である札幌でビール造りが始まった背景、現在に至る道のりをお伝えし、実際の商品生産現場をご覧いただけたことで、より理解を深めていただけたのではないかと思います。
 質疑においても様々な観点から問題提起を頂きました。今回のコミュニケーションを「気付き」として、皆さまの毎日に潤いをお届けしたいと存じます。 
 サッポロ「乾杯をもっとおいしく」

お問合せ先
経済広報センター 国内広報部
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